エアロビクスインストラクターが誕生するまで

〜管理人自らが挑戦した、120日間+∞のドキュメント〜

 

第12回講義 (7月22日)

 

0.  いよいよラストスパート

 

先週分のレポートにも記載したが、この頃になると講義内容も実践的なものになってきた。もちろん、医道の日本社刊、「身体運動の機能解剖」で筋肉の講義も受けているのだが、わりとチャチャっと終わってしまい、実践に移っていく。これは少々残念なのだが、その分は同書の章末にある課題をまとめて提出していた。これらについては、また別項を設けて徐々にまとめていきたい。

 

1.レッスンのリーダーとしてのインストラクター

 

この日はリーダーとしての指導技術について、講義を受けた。よく誤解されるのだが、「インストラクターは一緒に踊って、参加者に指導していればいいのでしょう?」と聞かれるのだが、それはそうなのだが、実際には基礎となるある程度のまとまった知識の上に乗りつつ、常にレッスンをコントロールしながら展開していくことが必要だ。その為に、コリオの展開方法や床反力、骨盤の向き、基本ステップなど、様々なことを学んできたわけだ。

 

さて、そのリーダーとしてレッスンをコントロールするには、概ね以下の要素がある。

 

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例えば、45分のクラスを受け持ったとする。当然、この中にアップ、メイン、ダウン、ストレッチを入れていかなければならない。その配分であるが、アップが7〜10分、メインが25分、ダウンが3〜5分、ストレッチが残りの5分程度となる。因みに、ストレッチは立ち姿勢のままとなるが、60分のクラスならば是非マットを敷いて、体の後面である背中、腰、もも裏、ふくらはぎをしっかりと伸ばすことが師匠の推奨である。

 

◆.ューサインの出し方、タイミング、方法etc.

 

エアロビクス・ダンスエクササイズは音楽に合わせて動くものなので、自分が乗り遅れてはならないことはもちろん、参加者がうまく乗ることができるように指導することが大切だ。そこで、あらかじめ合図を出して、次の動きを指示することが大切だ。この合図をキューと呼んでいるのだが、体の動きで示すボディーキュー、言葉で言うバーバルキューがある。また、後者には擬態語を用いる描写キュー、ステップ名を言うキューをたくみに、バランス良く用いることが必要である。さらに、そのタイミングも重要で、キューを出した後に一拍置いてから動きが始まるのが理想である。ただ、あえて動きと同時に出す、同時キューというものもある。これは、前もって言う必要が無かったり、参加者の心をつかむために使われる場合がある。これらもバランス良く用いることが必要である。

 

 動作間のつなぎはスムースか?

 

エアロビクスには様々なステップがあり、おおむね、「マーチ系」、「ステップタッチ系」、「ディック系」の3種類に分けられることは、以前に記載した。ただ、これらのステップは組み合わせ方によっては、とても動きにくいものになることがある。顕著な例が「ディック系」のステップを踏んだ後に「ステップタッチ系」の動きに移行しにくいというものだろう。というのも、ディック系の動きは重心を体側にのこしたまま足を出しているにもかかわらず、ステップタッチ系のそれは大きく重心をカウント2の方向へ移動させている。つまり、重心を残しつつ足を出していくと、その足を出した方向に対して踏ん張る=足を戻した時にはその方向へとエネルギーを開放するということになるのだ。たとえば、サイドタッチ1回とステップタッチをおこなってみる。ほら、やりにくいですよね。

 

この他にも、床反力、骨盤の向き等、動きをつなげていくことはとても難しい。中級エアロなんかで様々なステップが繰り出される度に、「インストラクターの苦労」を感じる。皆様本当にすごい。当方は簡単なものでも行き詰ってしまう・・・。

 

また、スムースさには似たような動きをつなげていくことも必要だ。これはアップ等の、リニアプログレッション動きを考える際に必要な考え方である。大概ニーアップ、レッグカール、ステップタッチ、グレイプバイン、ランジアップといった具合である。これは理論というか、実際に動くことにより、自分がどう感じるか、参加者がついてくることができるか、という基準で考えることが必要だろう。

 

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エアロビクスのステップには基本形があるが、それらにレイヤーをかけることにより様々な変化を加えることができる。いわゆる変化要素というやつである。これらは12個程度スラスラと言え、さらに実際に動いて見せることができなくてはインストラクターとは言えない。もちろん、当方はできないので、インストラクター見習いである。因みに、このレポートを記載している現在も「永遠のアシスタント研修生」を自称している。はい、次いこ!

 

ァ_山擇了箸な(局面に合致したモノを使用しているか、BPM、A節がとりやすいか等)

 

基本的に、エアロビクスに用いる音楽は、8拍子X4節=32カウントで流れていく音楽なら何でも良い。というか、エアロビクスのコリオがそういう構成になっていて、それに合わせて踊るものがエアロビクス・ダンスエクササイズなのである。

 

ただ、何でも良いとは申し上げたものの、選択をしないとうまくいくレッスンもパーになってしまう。というのも、その音楽によって人間の気分が変わってくるからだ。落ち着きたい時にヘビーメタルを聴く人はいないだろうし、眠さを防ぎたい時にクラシックを選択することもない。

 

つまり、アップ、メイン、ストレッチなどの曲面に合わせて、長調、短調、ノリ、ビートの強さなどを考慮して、音楽を選ぶ必要があるのだ。例えば、アップは「これから頑張って運動していくよ」という局面なので、明るい、長調が連なる曲目のCDがよい。そしてメインの教えていく過程では、ちょっとおとなし目のものとして動きに集中できるもの、メインのバリバリではノリノリ、ストレッチではインストの落ち着いたもの、という感じだ。

 

さらに、これら要素に加えて、速さも考慮せねばならない。これについては、以前に記載した通りで、初級は最高135b.p.m.程度、中級は145b.p.m.ぐらいまで、上級はそれ以上が目安となる。因みにアップは130b.p.m.程度がやりやすい。

 

そしてもうひとつ、これはどちらかというとインストラクター側の都合なのだが、先程のエアロビクス・ダンスエクササイズの構成でお話した、8カウントX4節をしっかりと認識しやすいものがよい。というのも、最初の節が判別しにくい音楽では、レッスンを進めていくことが難しいからだ。我々インストラクター(見習い)は、レッスンに用いるCDを日常的に聴いて、感覚的にその部分が判別できるようにする必要がある。それができないと、レッスンは進まない。因みに同期生のE氏はとてもその辺りが上手く、スパスパと展開していく。当方は・・・、きかないでくれ!

 

Α.灰潺絅縫院璽轡腑鵑里箸衒(視線や指導する面、位置など)

 

レッスンにおいて、一番大切な意思疎通はキュー出しだと思われる。というのも、こちらが出した指示を理解してもらい、その様に動いてもらうわけだからだ。キューについては以前記載したので省略するが、問題はそれらを適材適所に用いることだ。言葉だけでは伝わらない部分もあるし、繰り返しでは「くどい」と思われることもある。そこで、手や腕を用いてトラベル方向やステップを示しつつ、言葉添えをするという手法が一般的である。しかも、その動作に移る前、カウント5、6、7で指示して、8を1拍空白として、1で動作開始になるように計算していなくてはならない。そのためにも、逆カウントで8、7、6、5、と数えつつステップ名などを出していくなど、より効果的に伝える努力が必要だ。

 

ただ、例外的に同時キューという、動作直前に指示を出すという手法もある。これは参加者も「え?」と一瞬思うが、インストラクターの動きを真似して、流れに乗っていくことができるものだ。ということは、もちろん、これは上記のような単純な動きに限られることはいうまでもなかろう。

 

これ以外にも、参加者と意思疎通を図る方法がある。基本的にインストラクターは参加者の一番前に出て、背中を向けて指導するのだが、鏡越しに通してお客さんと目を合わせ微笑をなげかけるという技もある。すると、ちょっとはにかみながらもたいていの参加者には喜んでもらえる。

 

次に、動きによってはお互いに顔を見合うこともある。上記の背中越しの指導を「背面指導」と呼んでいるが、これは「対面指導」と呼ばれる。こちらはお互いに目が合うのでさらに参加者との親近感が深まるという利点があるが、矢状面の動きは伝えずらいという欠点もある。背面指導は概ねどの動きでも見せやすいが、やはり矢状面は不利な場合が多い。そこで、自分だけ横向きになって動きを説明する「横向き指導」という。これならば、矢状面の動きでもバッチリ見てもらうことができる。ただ、この際は「私だけ横向きます」と但し書きを述べておかないと、皆さんが横を向いてしまう。きをつけよう。

 

そしてさらに、ステップにレイヤーをかけて、横や後ろを向くようにした場合、その方向へ自分が移動していくことも時には必要だ。例えば、当方のコリオで、グレイプバインをL字型に踏み横を向くところがある。そういう時はその走っていき、動きを見せなくてはならない。もっとも、また、反対側に鏡がある場合は、最初の位置から動きを指示する。こうすると、参加者の皆さんは必ず鏡越しに視線を送ってくるので、とびきりの笑顔で応えて見ましょう。

 

最後に、皆様がノリノリになってきたら、自らがその中に移動して指導することもある。これを並列指導というのだが、これはすごく喜ばれるか、嫌がられるかどちらかである。また、インストラクターが定位置から移動することにより、参加者の動きが止まってしまうことも往々して起こりうる。つまり、これは最後の切り札的に、皆さんが飽きてきたころに出す技であると言えよう。

 

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もちろん、始終笑顔で要ることが必要である。養成コース入学当初は、10期生全員が緊張のあまり堅い表情をしていたが、当方は知らないうちに楽しさのあまり、口角が上がっていた。師匠からは「このくらいの笑顔でないといけない」と珍しくも褒められた。いや、褒められたのはこれっきりだったかもしれない。また、このことを逆に考えると、笑顔で指導できるように、自分も楽しむことが一番大切なのかもしれない。

 

─.ラスの目標とするレベルに合致しているか

 

エアロビクスのクラス分けは概ね、初心者向け、初級者向け、中級者向け、上級者向けというように分けられる。これらはジムが発表するレッスンスケジュール表に記載されている。インストラクターはこれに従った強度や難度のレッスンを構成していく必要がある。例えば、初級者向けクラスに上級者が入ってきたとしても、基本は初級を貫かなくてはならない。ただ、全体的に参加者が動けているのならば、少しだけ逸脱するという柔軟性も備えていなくてはならかい。つまり、初級に軸足は置いているのだが、せっかく参加くださった皆様に、少しでも楽しんでいただくという謙虚な姿勢を持たなくてはならないということだ。

 

逆もしかりで、なるべく強度、難度を落とさないで、参加者が楽しむことができるように工夫することが大切である。

 

つまり、看板に偽りがあってはならないが、多少の幅を持たせることも大切であるということだ。

 

 演出効果(照明、音の変更方法等)

 

1通り教え終わったら、照明を落として音を大きくし、ノリを重視した指導に移る。

 

 指導者としての教え方、コリオの説明

 

養成コースで習う基本指導技術を元としつつも、自分の言葉添え、動きの説明など、いかに参加者に伝えるかを常に考えていなくてはならない。これには終わりがない。つまり、養成コースを無事に卒業したとしても、永遠の課題として、インストラクターでいるうちは挑戦を続けていかねばならない。

 

2.模擬レッスン(その1)

 

以上のように、運動指導のリーダーとしての心得を、今まで3ヶ月近く習ってきたことの集大成的にまとめて、今一度思いだしてみた。エアロビクスのインストラクターって本当に大変な仕事なのねぇ。当方の本業よりもある意味きつい。

 

そんなことを考えていたら、師匠が一般のお客さんを連れてこられた。今から、これらの方々ご協力いただいて、模擬レッスンをおこなうというものだ。おっと、ついにこんなこともしなくてはいけないのか。いわゆる実習というやつか。いつもは養成メンバーだけで交互に前に出て、各人のリードで動いているだけなので、お互いに手の内を知っている。つまり、皆は誰それはこの動きとわかっているので、自分のリード間違いも他の受講者が修正してくれるので、それほど「自分がリードしている」と意識することは少ない。

 

今日は、一般の方々なので、どこまで伝えることができるか。いや、その前にきちんとブレイクダウンから完成形にもっていくことができるのだろうか。ええい、なるようになれ!!

 

ということで、当方は声と動きの大きさを全面に出すことだけに集中する。まずはレッグカールを4つにしてリードチェンジムーブを形成して、音の最初を見計らってグレイプバインを足していく。ここで早速、レッスンに参加されている方がバラバラとなってしまう。キュー出しが遅かったね。4、3、2のカウントで次の動きを指示できていなかった証拠だ。

 

さらに右リード時に、2節16カウント、前に4つ、後ろに4つ、ステップタッチ8回を足していく。インストラクターとして活動している現在でも、このブレイクダウンから完成形にもっていくには神経を遣う。音を外してはいけない、新しく足した部分を左リード時に忘れてはいけない、適切なタイミングでレイヤーをかけていかないと、グダグダになってしまう・・・、などなど、集中していないと必ず間違えてしまうからなぁ。

 

ここまでできれば。32カウントから外れることがないので、その部分の緊張から開放される。これでやっとレイヤーをかけることに集中できる。当方の場合はグレイプバインの面、トラベル方向変化、ステップタッチのインパクト変化を入れていく。

 

もちらん、この際は上記まとめで習ったコミュニケーション維持のために、スタジオを走り回り、キューを出し続けていく。汗はダクダク、で心臓バクバクであるが、なんか楽しいぞぉ。とにかく夢中だった。

 

3.反省

 

他のメンバーをそれぞれ、自分の持ちネタを披露し、クタクタになっている。そのような中、今日の講評を師匠からいただく。

 

それによると、様々な点を改善するべきであるが、動きがベタであり、をもっと大きく、歯切れよくすることが一番重要だということだった。えー、結構一生懸命動いたのになぁ。まだ足りないのかぁ。そしてさらに、ブレイクダウンの進め方が悪いと。丁寧にするところ、サクサクいくところを見極めてメリハリをつけることが必要であるそうだ。つまり、簡単な変化はチャチャッと終えて、難しそうなところはじっくりと行うということだ。確かにその通りだが、俺はそこまで見極められる程の余裕がないぞ。

 

他のメンバーもエネルギーレベルがイマイチ、動きの精度が良くないので、何をしているのかわからない、などなど強烈にダメ押しをされていた。ただ、それぞれの良いところもあるとフォローがあったので、「また頑張るか」という気にならなくもない。因みに当方は「エネルギーレベル」については、「最低限クリア」ということだった。頑張り自体は伝わっていたのね。

 

それにしても、音楽に乗りつつ、自分が次の動きを先取りしつつ、言葉でも指示して伝えていくことがこれほど難しいとは思わなかった。一応当方はエアロビ歴は5年程度になるのだが、今までは何も考えずにレッスンを受けていた。大変失礼だが、「つまらん」と思うこともチョコチョコとあった。

 

しかし、あらゆるレッスンは、インストラクターは皆さんがそれぞれ、時間を取ってコリオを考え、選曲し、ブレイクダウンを検討し、自らが練習するという決して平坦ではない過程の上に成り立っているのだ。

 

逆に言うと、レッスンを行うということは、当方がこれらを実践するということに他ならない。これから、さらに意識を高く持ち、たくさん練習をすることがもっともっと必要である。