エアロビクスインストラクターが誕生するまで

〜管理人自らが挑戦した、120日間+∞のドキュメント〜

 

 

第6回講義(6月10日)

 

1 K先生の経歴

 

いつもはM先生とK師範代がレッスンしてくださるのだが、今日は加えて元ボデービルダーであり、米国でトレーニング理論等を学んだK先生が講義をしてくださる。

 

彼は大手航空機製造会社付属の運動施設で、トレーナーをしていたこともあるそうだ。そしてボデービルダーとしては、愛知県大会で2位など素晴らしい成績を収めている。今は自分でジムを開き、スポーツ選手の筋力強化やモデルさんなどの体型づくりの指導をしている。

色々と筋肉自慢をする人は多いが、K先生は間違いの無い本物である。因みに、M師匠とはボデービルつながりの知り合いということだ。

 

2 授業

 

2-1筋活動のエネルギー

 

我々が自分の意思で動かすことができる随意筋において、筋肉は大きく.織ぅI、▲織ぅ廰a、タイプbに分けられる。これらは何が違うかというと、,詫酸素運動に優れており、遅筋と呼ばれている。マグロやかつおなど、長い距離を回遊するような魚に見られる赤色をした筋肉である。爆発的な力は出せないが、長い時間の単純動作などに威力を発揮するものだ。

 

そして△任△襪、無酸素運動に優れる速筋に分類される。しかし、完全に無酸素運動用として特化しているわけではない。概ね40秒程度の時間は力を発揮することができるもので、具体的には、400m走などで主な役目を果たす。因みにこの競技は、人間が全力疾走できる限界時間とされている。

 

さらには、無酸素運動に特化した速筋である。エビやヒラメなど、瞬発動作を得意とする魚に見られる白色の筋肉である。爆発的な力を発揮するが、数秒しか力を発揮することができない。具体的には、100m走のスタートダッシュなどで主な役目を果たす。

 

また、上記の筋肉では体内で糖質や脂肪を分解して得られる、ATP(アデノシン3リン酸)をエネルギー源としている。ただ、速筋と遅筋内では、その燃焼方法とATPの生成方法が異なる。

 

タイプIの遅筋は筋肉だけでなく、体に蓄積された脂肪や、糖質の一種であるグリコーゲンが分解され、生成されたATPをエネルギー源としている。これは、細胞内のミトコンドリアにある、クレプス回路内で酸素が十分に供給された状態でゆっくり燃焼されるので、乳酸が発生しにくく、長時間に渡って活動が可能である。これが有酸素運動という呼称の由来である。

 

タイプaの筋肉内でも、糖質の一種であるグリコーゲンが分解された、ATPがエネルギー源になっている。ただしこの際、乳酸が生成されるので、筋活動は時間経過とともに制限される。結果、タイプaの筋肉は、概ね40秒程度が活動の限界になる。

 

 

タイプbの筋肉では、筋肉内に蓄えられたATPが筋活動のエネルギー源となる。そしてATPがADP(アデノシン2リン酸)とP(リン酸)に分解される際に筋活動のエネルギーが放出される。そして、また、筋肉に蓄えられているCP(クレアチンリン酸)と上記ADPが反応し、再びATP(アデノシン三リン酸)が合成されるが、CPは筋肉にはごく微量しか蓄えられておらず、およそ数秒の筋活動で枯渇してしまう。尚、クレアチンリン酸は肝臓で合成され、筋肉へ運ばれる。上記一連の物質が生成・分解される過程をコリ回路と呼ぶ。

 

2-2 筋肉の伸張と収縮の適正化

 

筋肉には伸張や収縮を適切に制御する器官が遍在している。一つ目は「筋紡錘(きんぼうすい)」であり、というもので、筋肉の中に遍在している。これは、筋収縮の速さや大きさを感知するセンサーである。たとえば、素早く筋が伸長した場合、これを感知して中枢神経系へ信号を送る。そして、中枢神経系からは筋を収縮させる信号が出される。こうして、筋の伸びすぎを防ぐというわけだ。

 

我々はこの働きを無意識のうちに利用している。例えば垂直跳びを行う場合、一旦かがんでからジャンプする。これは、かがんだ際に筋紡錘が筋肉の伸張を感知・中枢へ信号を送ることにより、今度は筋収縮の信号が送られてくる。これにより、より大きくジャンプできるというわけだ(伸張反射)。

 

また、脚気の検査で膝蓋骨下部にある腱を軽く叩く方法がある。これは、叩かれた腱が伸張し、その伸び過ぎを抑える為に大腿部の筋紡錘が作用、筋肉が収縮し、下肢が上がるというものだ(膝蓋腱反射)。

 

もうひとつは「ゴルジ腱器官」というもので、腱と筋肉の移行部分に存在している。これは、筋肉が伸張すると興奮し、筋の収縮も抑制する。ストレッチの際などに適度な伸びを感じるようにする際は、筋の収縮と伸長のバランスが取れている状態であり、ゴルジ腱器官がうまく働いている状態と言える。

 

2-3 関節と「てこ」

 

人体には各所に関節があり、さらにその関節を動かすために筋肉が存在する。筋活動について考える場合、関節や筋肉と骨の付着部に着目すると、そこにてこの原理が存在することに気がつく。ところで、「てこ」とは何か。一般的には固い棒状のものを使い、その棒を支える所が支点、力が作用する点が作用点、力を加える点が力点である。通常作用点に重いものがあったとしても、力点には小さな力を加えるだけでそれを動かすことができる。

てこの原理の基本形?

 

この構造を人体に当てはめてみよう。関節を支点、負荷をかける場所を作用点、筋肉の停止部を力点と考えることができる。

たとえば、ダンベルを持ち、上腕二頭筋を鍛えるとする。ダンベルを持つ手に作用点があり、肘関節を支点、筋肉の停止部(概ね橈骨側面)が作用点と考えられる。この場合、支点から力点の距離が遠く、作用点が支点に近いため、「てこ」としての効率は良くない。よって、あまり大きな負荷をかけることができない。

 

前腕に例えてみると

 

逆に、足をつま先立ちして腓腹筋を鍛える場合、支点をつま先、力点を踵骨(腓腹筋停止部)、作用点は足関節となる。つまり、支点が遠く、力点と作用点間の距離が短いので、非常に効率の良い「てこ」と言える。なるほど、腓腹筋は全体重を軽々と持ち上げることができ、さらにバーベル等を担いでもトレーニングが可能である。

 

足に例えてみると

 

2-4 有酸素運動と最大酸素摂取量(Vo2max)

 

エアロビクスとは有酸素運動を意味し、我々はその一種である「エアロビクス・ダンスエクササイズ」の基礎的指導法を勉強している。さて、その有酸素運動能力を高めるにあたり、最大酸素摂取量(Vo2max)の向上を目的としたトレーニングを行う必要がある。因みにこの単位であるが、(ml/kg/min.)であり、一分間あたり、自分の体重1kgあたり、何ミリリットルの酸素を取り込むことができるかという意味を持つ。

 

もちろん、その数値が高いほど運動持久力に優れるわけで、マラソン選手は一般人の2倍以上の能力があるそうだ。また、その人のVo2maxに対して、概ね40%相当の運動負荷をかけると血液中の乳酸値が上がり始め(LTポイントと呼ばれる)、65%相当以上の運動では、筋活動が制限される程の乳酸が生成される(OBLAポイントと呼ばれる)。

 

つまり、有酸素運動を持続するには、上記のLTポイント、OBLAポイントの間の強度で運動を行うことになる。

 

LTポイントとOBLAポイントの関係図

(数値は便宜的に付与しているのみで、意味無し)

 

さらに、有酸素運動系のトレーニングを積むことにより、最大酸素摂取量を上げることができる。つまり、LTポイントとOBLAポイントを、グラフ上で右側に移動させることができる=高い強度の運動にも耐えることができる、ようになるのだ。

 

3-1 実技指導

 

学科はかなり多くのことを教わったのでとても疲れたのだが、この後はさらに実技指導もある。今日は自分でベースとなる動きを考えてくるというものだ。当時のレポートを参照しつつ、今HP用の文章を作成しているが、こんなヘンテコリンな動きをよく発表したものだ。情けないくらい恥ずかしい。

 

先生や諸先輩方からは「失敗を繰り返して成長することが、この養成コースでは大切なことだ」と助言を受けていたが、やはり「♪悔しぃけれどぉ、エアロに夢中ぅ」という感じである。さて、その内容を以下に示そう。

 

a. レッグカール(上から下へ引くアームバリエーションを行う)

b. マーチ・チャチャチャ(リードチェンジムーブ)

c. ニーアップ

d. ステップタッチ

 

こんなの話にならんわなぁ。でも当時はこれで精一杯だったようだ。さて、M師匠の指摘事項であるが、

 

  マーチチャチャは、トラベルが無い=同じ位置で動いているので、解りにくい。

  アームのロングレバーでのカールは、腰を反る方=肩関節の稼動域の狭い参加者がみえる場合に危険を伴う。せめて横からにするか、又は安全面の言葉がけを行い、よく監視する必要がある。

  膝上げはステップタッチ系の動きである。指導する際は、基本ステップを使え!

 

ということだった。当方全く何も解っていなかったんだなぁ。

 

今の自分なら、

 

a. レッグカール(横から引くアーム付)

b. クロスウォーク6歩+チャチャチャ(リードチェンジムーブ)

c. サイドタッチ、バックタッチ

d. Aステップ・Vステップ

 

というところかな。右リードで考えると、c節の終わりはディック系のバックタッチなので、左足に重心が残っている。ということは、床半力から考えるに、次の動きは後ろ側でなくてはならないので、Aステップを最初に持ってきてみた。

 

実は上記床半力の考えであるが、当日E氏が受けていた指摘である。レポート上に偶然見つけたこの指摘であるが、忘れてました。

 

まとめると、ディック系ステップは体重を体に残しつつ行うステップだ。つまり、タッチの場合、出した方とは反対の足にも体重が残っているので、次の動きは(床反発を利用して)その足を踏ん張った動き、つまりは最後に出した足とは逆の方向へ動くことが自然なステップ移行の鉄則なのだ。

 

今なら少しはわかるけど、当時はチンプンカンプンでした。また、その他の方の指摘事項として、マンボチャチャを行いリード足を左から右へ変えた後、左足をかけるボックスステップにする時、骨盤の向きはやや左を向いているので、一旦左足を横へ踏んでから、右足へかけるとよいというものがあった。これはその通りであり、確かにやりにくい。どうせならそのまま左足をかけてしまえばよいのかなぁ、なんて思いますが、どうなんだろうか。

 

また、ディック系とステップ系は相性が悪いということも、この時学んでいるようだ。というのも、ディック系の8カウント目が終わった時、ステップ系のリード足に体重が乗っているからで、「足が出しにくい」と感じる。

 

さらに、キューの出し方にも言及されており、「自分が迷った同時キュー」はNG、「計算して行う同時キュー」はOK、なんて書かれている。これは、シャッセからマンボといった、自然な足運びが可能(考えなくても足が出るステップ移行)なら良いという意味だ。

 

そういえば、この日はかなり熱い指導が行われ、時間延長したんじゃあなかったかな。

 

傑作なのは当方の感想である。「たくさんの間違いを提供し、たくさんの指摘を頂き、進歩したい」と書かれている。確かにたくさんの間違いを提供して、たくさんの指摘を得ているが、進歩しているかどうかは甚だ疑問だ。

 

第7回講義へ続く