たまには目的を持って

 

2009年6月13日

 

0.目的を持つ意味

 

何事も目的を持つということは大切なことだ。それがどんな些細で、クダラナイものだったとしてもだ。管理人がアホみたいに毎年10,000km以上も2輪車走行を楽しみ、肋骨を折っても懲りずに林道に出かけているのも「バイクを転がすことそのもの」が目的であると自認することができているからだ。その動機は「楽しいから」ということのみだが、楽しいことほど楽しいことは無い。

 

他人からみればまったくクダラナイ目的・動機だろうし、また理解し難いものであろう。別に構わない。その経験は管理人本人だけのものであるし、その事実は一生取り消されることはない。時々思い出しては人生の糧になることは間違いないのだ。これは乗るものにだけ許された、数多くある特権の1つである。ということでバイクは止められませんね。

 

こんな自己満足の説明ではあまり説得力が無いので、我らが地元のヒーローで、日本における4輪レースの普及に大きく貢献した(している)人物の一人、中嶋悟氏の言葉を引用しよう。彼が駆け出しのF1ドライバーであった頃の著書に

 

「・・・バイクや車が自分の足の足りないところを補ってくれる・・。」

 

という記載があった。つまり歩いているだけでは到達できないところへ自分を運んでくれる輸送機械を運転することが楽しかった、そしてもっと上手く運転したいと思った、ということであったようだ。管理人も今思えば、その感覚が楽しくてバイクに乗り始めたのであると思う。もっとも中嶋氏のように4輪フォーミュラの最高峰と言われるF1まで極めたこととは次元が全く違うことは言うまでも無い。氏が何百倍も努力をした結果であろう。中嶋氏はさらに、体の小さな自分が大きな人と互角かそれ以上に戦うことができるレースに没頭していったわけである。その動機は上手く運転できるようになって、でかいヨーロッパの連中よりも速く走ることで自分の存在意義というか、努力の成果というか、そういう達成感を得ようとしていたと思われる。

 

このように目的を持って、その動機付けがはっきりすれば努力する際に対峙する自分の弱さ、その過程で経験する辛さにもなんとか耐えることができるのであろう。逆に言えば、目的無く物事を行うということは非常に苦痛であると言えそうだ。管理人がいつも槍玉にあげている「俗に言う学校(高校まで)」における環境がこのことを端的に表している。特に中学校あたりでは、目的も示されずにやれ公式を覚えろ、単語を覚えろと言われて、何も疑問を持たずして「ハイそうですか」と言えるだろうか。子供は勉学にそれぞれが励むことは義務であることは当然だが、目的と言うか効用というか、そういうものは全く議論にならないことは非常に問題であると考える。

 

勉強する意義とは何か、なぜそれが必要か、勉強とは何か、学問とは何か、本来はこの辺りから始めることが筋であると管理人は考えるのである。

 

1.そんなわけで今回は

 

別な話題でつい熱くなってしまった。ところで、管理人の住む地方もついに入梅が発表された。しかも明日は英検だ。家にずっといることは辛いが、そうそう遠出もできない。ならばしばらくご無沙汰の飛行機ウオッチに行くか、ということになった。

 

こういうことで、前述のよう、いつもならば転がして楽しむ2輪車であるが、今回は「飛行機を見る」というも目的を持って出かけることになった次第だ。なぜ飛行機か。だって、100トンも200トンもあるものがジェットエンジンで風をおこして加速し、離陸して向きを変えて、高度10000mまで上昇していくなんて、いったいどんな機械的・電子的制御をしているのかと考えるだけでじっとしていられないではないか(俺だけ?)。管理人は複雑な機械の仕組みなんかを知ることが大変好きなんだな、これが。

 

さて、幸いにも管理人の居住地には2つの空港がある。旧名古屋空港の小牧空港、そして現在の名古屋空港として機能しているセントレアこと中部国際空港である。軍用機と小型機と少々の旅客機ならば前者、旅客機と貨物機ならば後者に出かけるわけだ。どちらもそれぞれ面白い。特に小牧の小型機は様々な機種がみられ、旅客機もブラジルのエンブラエル社製、170型機が最近新たに就航したりとなかなか話題性がある。

まあ今回は機種は限られるが、大型の旅客機を見ようと後者であるセントレアに向かうことにした。

 

さて、TDMの運航前点検が終了し、出発準備が整った。タワーにコンタクトしてATCクリアランスという飛行計画の確認と許可を得る。「名和北交差点までの走行をを許可。管理人宅を滑走路27(西向き)で出発し、赤池1番出発経路で赤池交差点まで暖機をしながら走行。その後、管理人空港の管制圏を離脱して右折し、国道153号線の植田交差点を左折し、県道59号線、と乗り継ぎ、名和北交差点で国道247号線へ入れ」というとのが今日の往路の走行計画である。

 

2.セントレアへ向けて飛行開始

 

上記のルートは街中ばかりなので、非常に退屈である。よって特に記載することもないのであるが、だいたい危険と思われる(自分は除いて考える)車両は周りの状況を把握せずに、走行していることが多い。故に突然の減速、進路変更を平気で行う。もちろんその際にも安全確認なんてものはしていない。また、バイクと見るや、煽り立ててくる車両もよく見かける。さらには「ヌリカベのような背の高い自称高級車」は走行車線と追い越し車線を縫うように割り込みを繰り返して、前へ前へと追い越していく。結局次の信号で止まるから一緒だよ。街中は川を流れる水の如く、周りと同調していく方法が燃料を無駄にしないし、かつ安全だ。

 

さて、走行計画に従って、名和北交差点に到着。ここからは国道247号線を南下するのであるが、この区間は産業道路と呼ばれており、制限速度が70㎞/hに設定されている珍しい道路だ。ただ、警察の取り締まりが厳しく、常に白バイがウロウロしているので、本当に制限速度で走行することになるのであるが、70㎞/hなのでそれほどの苦痛はない。これが現実的な設定であろう。

 

3.セントレア到着

 

スカイデッキに出て、駐機場の状況を確認し、撮影を開始する。カメラはコンパクトデジタルカメラというショボイものであるが、管理人程度の知識ではこれでもオーバースペックだ。

 

それにしても駐機している機が少ないぞ。特に国際線の方は半分くらい空いているじゃん。ここのところの不景気で、ユナイテッド航空などが撤退した影響がでているようだ。まあ嘆いてもしょうがない、滑走路に目を転じると、アシアナ航空のB767型機がRWY18にアプローチをかけている。今日は南風なので、北側から進入してきているね。また駐機場を見てみると、国際線スポットのキャセイパシフィック航空機のA330はプッシュバックされている。離陸する模様だ。再び滑走路、日本航空のジャンボ機がやってきた。Wind160 5ノット、マックス7ノットくらいかな。

 

             

                                         キャセイパシフィック航空のエアバスA330-200型機の離陸                 アシアナ航空のボーイング767-300型機の着陸

                                                 (行方不明になったエールフランス機と同型機)

 

やあやあ、これクラシックジャンボのB747-300 じゃあないですか。正式名称はボーイング式 747-300型機。このタイプは今年中に引退するらしく、下地島へのツアーも計画されているようだ。因みに登録記号はJA812Jだ。ところで、クラシックジャンボとそうでないジャンボってあるの?ある(単友のオヤジのように目をひん剥いて)。型式では747-400系というもので、2名で操縦が可能な機体だ。対してクラシック機は操縦士2名に航空機関士が乗務する。航空機関士はエンジン出力の微妙な調整や燃料タンクの切り替え等々の機械的な事項を監視をする役目を担っている。400型機はこの業務をコンピューターが行っているというわけだ。余談だが、使用する燃料タンクはいちいち切り替えることが航空業界の基本のようだ。これにより、常に燃料の残りに注意を向けることができるからだそうだ。

 

日本航空のボーイング747-300型機(JA812J)

 

そうこうしていると、同じく日本航空のマクドネルダグラス式 MD90型機がスポットを離れて、滑走路18の端へ向かっている。おっと、貨物機の駐機場にはエア香港のエアバスインダストリー式 A300-600F型機がいるじゃん。この最後のFはFreigter=貨物機の略である。話しは逸れるが、貨物機にも純正貨物機と改修貨物機が存在する。例えば747-400BCF、767-300BCF、MD-11BCFなどと表記される。BCFってのは、Boeing Converted  Freighterの略で、ボーイング社改修の貨物機ということだ。そのほかにもSF=Special Freigherというものもある。

 

日本航空マクドネルダグラスMD-90型機(JA0040)

T尾翼と後方マウントのエンジンが美しい機体

後方にエアセントラル?のDHC-8 Q400型

更にその向こうにエア香港のエアバスA300-600F型機

 

ところで、当方はこのリアマウントエンジンのT尾翼機が好みだ。性能の観点から見ていくと、この型の尾翼を装備する機はSTOL(Short Take off and Landing)性能に優れる。要するに短い滑走距離で離着陸が可能なわけだ。その訳は機首の上下制御に関係する昇降蛇(水平尾翼の後端二装備されている)が機体の一番高い位置にあることに由来する。また、翼にエンジンが無いのでその分揚力を目一杯引き出すことができることも関係していそうだ。ちなみに今はメーカーはボーイングに吸収されてしまった。

 

その後も続々と離着陸が続く。ボーイングでいくとJEXのB737-400、A-nextのB737-500、ANAのB737-700、B767-300、エアバスだとA320、ボンバルディアDHC-8 Q400等がみられた。

 

          

                           手前:エアネクストのボーイング737-500型機           エアーニッポンのボーイング737-700(せり上がった翼端板が特徴)

                               (エンジンのイルカが目印)                           後方:エアーニッポンのエアバスA320型

 

             

                            全日本空輸のボーイング767-300型機                  キャセイパシフィック航空のボーイング777-200ER型機

                         (黄色い線の際にいる人間と大きさ比較すると・・・)                  後方には日本航空のボーイング767-300型機

 

                  

                              エアセントラルのDHC-8 Q400型機                ノースウエスト航空のボーイング747-400型機(N666US)

                                                                      (2名乗務のハイテク型で、翼端板を装備している)

     

                                                  JALエクスプレスのボーイング737-400型機(JA8996)

                                                  眉毛みたいな小さい窓は航法士が乗務していた名残

                                                      また、楕円形のエンジンが特徴

 

写真撮影をしていると、プッシュバック中の全日空B767機の機長(向かって右側)が出発時に手を振ってくれました。うれしいですね。ありがと。

 

ところで、先にも示したように、管理人は飛行機を見てはその機械的構造を観察して喜んでいる。巨大なターボファンエンジン、翼や翼端の形状、APU(補助動力装置)口、給油作業の様子、貨物牽引車の動き、飛行機の牽引車、様々なものに想いを馳せる。翼端板、後退翼、T尾翼、エンジン、空気の流れや内部を想像して飛び立つ飛行機を眺めることは大変面白い。たとえば、何十トンもの推力を発するエンジン、その内部ではファンやコンプレッサーがものすごい速度で回転している。その回転をつくりだすタービンは燃焼室内で燃やされたジェット燃料(灯油に近いらしい)の高温高圧ガスをブレードで受けて回転するわけだ。また、プロペラ機にしてもエンジン自体はジェットエンジンだ。ただ、その回転でプロペラを回しているか、カウルの中で大きなファンを回しているかの違いがあるだけだ。プロペラ機も現在の旅客機はジェット機の派生種と考える方が正しい認識だ。

 

さて、その力で押し出された機体は加速して翼上を流れる空気は速度を増し揚力を発生させて、操縦士のコントロールで下向きに反ったフラップや昇降舵で機首を上げて離陸する。おっとと、横風が吹いたら補助翼や方向舵で修正してまっすぐと飛行を続ける。着陸にしても、ゆっくり(具体的には約3度の角度で降下してくる)と高度を落として、最後の数十フィートではフレアといって少しだけ機首を上に向けて滑らかに主脚を地面に降ろす。ここが操縦士の腕の見せ所らしいのであるが、確かによく見ていると上手い下手は存在しているようだ。まるで風船のようにふわっと地面に触れるように着陸する機もあれば、ややストンと落ち気味に着地する機もある。その後は自動でブレーキがかかり、翼上のスポイラがエアブレーキの役割を果たし、ピタリと減速する。

 

見ているだけならば優雅にみえるが、実際はこんな単純でないし、緊張の連続、乗組員同士の意思疎通などストレスとなる原因が山ほどあるはずだ。また操縦士は早朝や深夜でも勤務することもあろう。もちろん盆正月は関係ない。だいいち訓練が強烈に大変のようだ。車の教習のようにトコロテンみたいに押し出されて卒業するわけではないのだ。

 

そんなことをひとりで考えて、ニヤニヤしている中年のオヤジは怪しいと思われいるにい違いない。それはどうでもよいが、今日のメインは国内線が中心のようで、国際線の方のスポットは空き気味である。いつもならば長~い胴体と巨大なGE90-115Bエンジンが特徴の777-300ER、数少ない4発機であるエアバスA340型機がいたりするのにな。たまに今となっては珍しいMD-11Fなんかも飛来することもあるのだが。

 

4.周りの人々

 

このスカイデッキと呼ばれる展望台には様々な方々がみえる。見送り、迎えの人。子供連れの夫婦、恋人同士と思われる二人組、イヤーホーンをして立派な撮影機材を携行している「スポッター」と呼ばれる人などなど。さて、管理人も今日はショボイ機材を携えたにわかスポッターとして行動しているが、撮影対象を待っている時に近くにいるカップルの会話が耳に入ってきた。

 

男:「ANAだな。プロペラジャン」

女:「なんか形が違うね。あ、尾翼の形がちがうのよ。水平板が上にあるもの」

男:「・・・」

女:「こちらの方が良いわね」

男:「胴体着陸したやつだ」

 

この会話の話題になっている機体はDHC-8であるが、この一連のやりとりを聞いて管理人は、「ああ、女と男はやはり違う世界に生きているのだな」と感じた。男は機械的な部分と航空会社を示す塗装にミクロ的に着目して言葉を発しているのに対して、女は飛行機の形全体から尾翼の形に言及している。結果男の方は会話に乗れていないようだ。男と女のすれ違いは恋人同士の頃から既にほしのあき、ではなく星の数ほど存在しているのであろう。ただ、恋人時代には問題にならないだけなのだろうか。まさに恋は盲目である。

 

5.帰宅

 

帰りは違う道を使用することが管理人の慣わしだ。復路の走行計画はまずセントレアラインで知多半島へ。そのまままっすぐ針路090で県道265号線を走行。途中ごんぎつねの舞台となった半田市岩滑地区を通過し、住吉地区で県道55号へ乗り換える。その後は北に針路変更して半田農免道路を快走して実家近くを通り、国道155号線、県道56号線で帰宅だ。

 

6.まとめ

 

飛行機を観察して、その設計思想なんかを知ると「頭の良い人がいるものだな」と感心してしまう。それも管理人が知るところなどはほんの一部のことなのであろうから、実際はそういう頭の良い人が考えついたものが山ほどあるに違いない。管理人も少しは頑張らないといかんかな?

 

本日の走行 100㎞

 

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