残暑厳しい青山高原ツーリング

 

2001年9月

 

 

青山高原にてR1-Z氏と共に

 

0.集合

 

さて、R1-Z氏とは恐らく2回目のツーリングであろうか。酷寒の中田島砂丘から半年以上が過ぎている。間が空いたのは別に理由があるわけでもない、ただ二人の予定が合わなかっただけと思われる。無理に予定を合わせようとしたり、また合わせてもらいたいと思うのは厳禁だ。というのも、ツーリングは仕事の憂さ晴らしを目的としているわけで、ツーリングそのものでストレスを発生しては逆効果だ。もっとも、管理人は相手に気を遣わせることが良くないと思っている(実際には周囲が気を遣ってくださるので、こうして生きていることと思う。この場を借りて感謝いたします)。

ともかく、友達である以上、共に楽しみを共有して語り合いたいではないか。というわけで、残暑厳しい折であるので、三重県の青山高原へ出かけることとした。フライトプランは今回も不肖管理人が立ててみた。

集合は多分午前8時で、場所は某名古屋市内の松坂屋ストア前。R1-Z氏の家から近いし、今回は西に行くので都合も良い。道路の路肩にTDMを停めて、佇んでみる。丁度どこかへ出かける方々が、家族の運転する車で、ここにある駅まで送ってもらっているようだ。この広い直線道路の向うから、2ストの音、煙、丸目一灯の光。R1-Z氏の登場だ。勢い良く加速してくるのだが、煙がひどい。

「おはようございます」とお互いに挨拶を交わして、フライトプランを提示、あっさりと承認を得る。もっとも街中はスペシャリストのR1-Z氏に先導をお願いする。氏は学生時代に配達のアルバイトをしていたので、都市部の道にはやたらと詳しい。あと、バイクのタイヤサイズもかなりの数を知っている。

 

1.なぜ軽飛行機?

 

街中を抜けて、国道1号に乗る。だいぶ陽が高くなってきて、暑い。まだまだ夏の終わりにはほど遠い。おまけにこの渋滞ときたもんだ。うだうだと走り、なんとか亀山の国道25号の入り口に到着。ここには、セスナ152?ビーチクラフトボナンザ?と思われる(全く別物です)単発ピストンエンジンの軽飛行機が置いてある。所有者は不明だし、もう二度と飛ぶこともないという趣だ。ここで、氏と機械的な内容について語らう。だが、この当時はまだ(今でもさほどではないが)飛行機のことは全くわからなかったので。エンジン的な話に始終した。この手の航空エンジンは水平対抗エンジンを搭載している。理由は、パイロットの視界向上、シリンダヘッドの冷却性に有利などの理由がある。ちなみに空冷エンジンが一般的だ。この絡みでBMWの2輪車が話題になった。こちらは車両の重心を下げ、張り出したシリンダーがヤジロベエの重りの役割を果たし、非常に安定性が高い。さらにはライダーは安心できるので、疲労も少ないというわけだろう。などど管理人は例により、薀蓄を並べるのであった。R1-Z氏は黙って聞いてくださるので、感謝。

 

2.名阪国道から青山高原へ

 

いよいよ怒涛のように車が流れる国道25号線、通称名阪国道へ合流。瞬発力、伸び、TDMは必要十分なものをだいたいリミットの60%程の回転で引き出すことができる。ミラーでR1-Z氏が合流しているか確認する。猛烈な煙幕とそこに浮かぶライトの光。問題なく合流して加速しているようだ。氏の話では、こういう場面で「2スト」を感じることができるそうだ。はじける加速、軽い吹け上がり、オイルの匂い、2ストには何かライダー心を捕まえるようなものが内在しているようだ。

管理人は大排気量のトルクとDOHC5バルブの吹け上がりの速さを利用して、坂道でもスイスイと前走車を抜いていく。R1-Z氏も煙幕を張りつつピタリとついている。250cc2ストはそのパワー、軽量を利用すればかなりの走りをするようだ。限定解除して早くも7年が経過して、大排気量にお任せの走りが身についてしまった管理人には新鮮な驚きであった(もっとも、これは単なる序章にすぎなかった)。

国道422号に乗り換えるために、上野東I.C.にて降りる。上野といえば伊賀忍者の里だ。どうりで、R1-Z氏は煙幕を多用していた訳だって、「うるさい!!」とお叱りの言葉が聞こえてきそうだ。ここからはのんびりと南へ下り、さらに国道165号に乗り換え東へ向う。途中、近鉄の駅周辺を探訪したかもしれない。他人事のようだが、昔のことなので忘れてしまった。記録はしっかりと取るべきか。

高原道路の入り口を発見。イッチョやったるか、と思いきや、家族連れの車でノロノロだ。仕方ありませんなぁ。でも、この辺りまでやってきたら結構涼しいですよ、このトン汁。ともかく、高原の頂上へ景色を楽しみつつ上っていく。霧が出てきたので、さらに涼ですな。

頂上では、名物の風車がある。この当時はまだ2基しかなかったが、今では相当の数があるらしい。

 

 

                                                               2枚ともに風力発電の風車前にてR1-Z氏

 

3.バトルと田んぼと温泉と

 

目的地に着いたらあとは帰るだけか、いやツーリングはその行程全てに楽しみが詰まっている。高原から下る際は、やや狭い屈曲路を走るのだが、我々の前に一台のT車が。ミッドシップのリア駆動車であるが、容赦はないぞ。とコーナー毎に差を詰めていき、追いついた。右へ、左へ、と小気味よく走る2台の2輪車に、T車ドライバーも火がついたか、振り回しているが、如何せん山の細い道なので2輪に分があることは明らかだ。TDMはその車体の細さ、2気筒エンジンのトラクション性能の高さで、管理人の腕のないところを補ってくれる。タイヤもZR規格なので、安心感抜群だ。ドルン、ドルン、とアクセルを開けると、クルクルとバイクは向きを変えるので面白い。結局途中で道を譲ってもらい、一気にふもとまで駆け下りた。このバトルは後年まで話題になるほど面白かった。もちろん、安全第一であることが前提である。

 

 田んぼの前でポーズを決めるR1-Z氏

 

高原のふもとはおりしも実りの秋を迎えており、一面金色夜叉という趣だった。思わず停車して、写真を撮った。R1-Z氏もいたく喜んでいたようだ。2輪の良いところは、この爽快感、充実感を存分に味わうことができるところにあろう。先のバトルでも、集中して他のことは考えていなかった。自分が会社員であることさえ忘れている。また、バイクと一体に、時に自然の空気と一体になりつつ駆け抜ける。なんと素晴しい乗り物であろう。

ところで、ツーリングとくれば温泉だ。青山高原のふもとには名湯の誉れ高い榊原温泉がある。ここは母方の祖母の実家の裏であり、風景には見覚えがある。というのも、子供の頃によくカブトムシなんかをとりに、山へ連れて行ってもらったからだ。その祖母も今は亡くなり、やや寂しいが、満95歳であったことを考えると仕方ないのであろう。こうしてたまに思い出したり、お墓に参ることなんかが供養になるんだろうなぁ。ともかく、榊原温泉に入ろうということで、湯の瀬という日帰り温泉施設に到着。昼飯も食っていなかったので同時に済ませようと、出前を頼んだが、夕方になってしまうとのこと。それでは仕方ないので、ここでは軽く済ませ、地元に戻ってから飯にすることとしよう。

風呂では相変わらずに、仕事のあるべき姿、取り組む姿勢なんかが話題になった。何でもそうだが、結局その取り組み方が結果に反映されるんであろう。だいたいそのように、のぼせるくらいに風呂に浸かって、体をほぐすと走り出しが良い。

 

4.まとめ

 

今のツーリングのスタイルを構築し、定着した時はこの頃であったと思う。ロング(走行300km)、飯、温泉、このツーリング三大要素を満たすことが大きな満足に、さらには翌週の仕事の活力になるのだ。最近はそれでも埋められない溝ができてしまったが。

また、このツーリングではR1-Z氏との活発な意見交流を通して、先輩としての尊敬、意見の一致など、得るものが多かった。ここに改めて御礼と今後の末永いお付き合いを申し上げたい。

 

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