初夏の一日

〜久々参加のハーレー氏!まさかの機材変更〜

 

2011年6月4日

 

いきなりの機材変更(ハーレースポスタ→BMW K1200)したハーレー氏

 

0.早くも梅雨入り

 

今年の5月は天候があまり良くないなぁと思っていたら、下旬には梅雨入りしてしまった。早い時期に梅雨入りしたのだから、早い時期に梅雨明けとなれば問題はないのだが、こういう場合は大抵長引く可能性が多いように思う。昨年は割合とすっきり梅雨明けしたことを思い出すが、今年はどうだろうか。

 

さて、前回のWRTツーリングから1ヶ月が過ぎた。その間上記のように、天候不順であまり距離を稼ぐことができなかったが、今日はしっかりと走りたい。そう思って就寝したのだが、当日の朝は少々寝過ごして、7時過ぎに自宅を出発した。

 

ところで、当方のメイン機材であるTDMは累積走行が約72,000km程になった。結構な距離を走っているのだが、先々週にオイル交換を済ましておいたので今日も絶好調だ。このまま10万km超えを目指して大事にしていきたい。

 

1.集合

 

今回のツーリングの先導機長はW氏であるが、今日は久々に氏の店繋がりの仲間であるハーレー氏も参加とのこと。ところで、氏と言えば、アメリカンとは思えない鋭い走り、そしてCB750FZボルドール仕様で仏坂峠を走行中に吹っ飛んだりしたことだ。しかし、ここ1〜2年はお会いしていないので、半ば伝説のライダー化していた。

 

再会を楽しみにTDMを飛ばして、集合場所である下山のコンビニに約10分遅れで到着した。早速店舗西側でW、ハーレー両氏を発見して近寄っていく。お二人は既に、本日参加予定のイベントのエントリー用紙を記入しているのだが、よく見るとハーレー氏の機材がBMWのK1200になっているではないか。また、R1-Z氏の姿が見えない。すると、ハーレー氏に「東海環状道鞍ヶ池P.A.でエンコ中」との情報が入ったことを聞かされる。え、そうなの?と驚きつつ、当方の携帯も見てみると、こちらにも入電があった。「デスラー総統からの入電です」ではないが、この「入電」という言葉は現在の複数機能を持つ携帯電話にぴったりの言葉であると思うが、如何に?

 

それはそうと、そのトラブルの内容であるが、「白煙を大量に吐いた」とのことだった。しかし、その後走行は可能ということで、遅れて到着予定とのことだった。何だろうなぁ、ピストンリングとかピストンの破損、軽い焼きつきでなければよいが。

 

さて、R1-Z氏が到着するまでの間に、W氏よりイベントエントリー用紙をお借りし、R1-Z氏の分もコピーしておく。おっと、申し遅れたが、今日は静岡県の森町にある「デイトナ社」で、バイクガイド誌主催の撮影会が行われ、それに参加することがツーリングの主な目的である。

 

用紙を書き終えて、ハーレー氏の新機材であるK1200に話題が移る。今でこそ横置き直四のリッターマシンで日本車の存在を脅かす存在となっているBMW社であるが、当時の同社ラインナップでは4気筒車はマイナーな存在であった。しかもクランクが車体前後方向になるように搭載された、いわゆる「縦置き型」である。もちろん、当方は事実あまり実物を見たことヶ無く、ましてや所有している仲間なんて1人も存在していなかった。まさか身近な仲間が購入したとは、結構な驚きだ。

 

ところで、何でBMのKシリーズなのか。ハーレー氏曰く「スポーツスターは動力性能がイマイチ良くないし、コーナリングも大変だ。何か良いスポーツバイクは無いかと物色していたところに、知り合いから丁度声がかかった」とのこと。前オーナーは最近めっきり乗らなくなってしまっていて、家族からも売却の圧力がかかっていたらしく、渡りに船状態で購入したそうだ。もちろん、個人売買なので値段の交渉も融通が利いたし、さらに良いことに、前の機材であったスポーツスターはバイク王が良い値で買い取ってくれたとのこと。今日はタイヤ交換も済んで絶好調だと張り切っておられた。やはり氏にはスポーツバイクがピッタリくるようだ。

 

そんなことを話していたら、R1-Z氏が登場。早速専属メカ?である当方がトラブルの詳細を尋ねる。それによると、「寝坊した分の時間を挽回しようと100ノット近い速度で走行していたところ、なんだか熱ダレっぽくパワーダウンしてしまい、上記PAに入ったところチャンバーから白煙を吐いていたそうだ。また、重大な故障の可能性もあるので今日は参加を遠慮するということだが、当方が点検したところ、ピストンの抱きつきや破損という症状は見受けられなかったので、参加を薦めた。だいたい抱きつきなどがおきていれば、エンジンのツキが極端に悪くなるはずだが、至ってスムースについてくる。恐らく高速で走行したので、やや熱ダレ気味になってパワーダウンし、その熱でチャンバーやサイレンサー内の燃え残りオイルが焼けて白煙を出したのではないだろうかと推測した。そして、W氏もこの見解を後押ししてくれたので、R1-Z氏も参加の方向性でいごくことになった。せっかく今日のためにタイヤも交換したことだし、第一、皆が揃わないと楽しくない。

 

2.出発

 

こうしてW査察操縦士が機長、ハーレー氏がコパイ、当方とR1-Z氏は乗客という最近では珍しい編隊で走行を開始する。まずは、国道301号から473号、420号と繋いでいき、県道32号で南下する。途中稲目トンネルから仏坂峠への入り口を通過するが、ハーレー氏の一件があるので、その話題は今日に限ってタブーとしておく。ところで、ハーレー氏の新機材は、縦置きの直列4気筒DOHCエンジンを横倒しの状態で搭載しており、非常に重心が低い位置にあることが一目でわかる。当然今日走行していくワインディング路でその恩恵を受けるのだが、早速、この低い重心を活かして、軽快に右へ左へヒョイヒョイとコーナリングしていく、ハーレー氏+K1200を目の当たりにすることができた。また、それだけではく、不思議なことに、バンク角が浅めであるにも関わらず、車体はクルクルと向きを変えていく。この現象は、BMWのサスペション形式テレレバー方式によるものと思われる。要するに、タイヤの接地面積が一定になる=路面の凹凸に対して非常に忠実に追従しているために、タイヤのグリップ力を一定かつ高いレベルで維持できるからこその芸当だ。

 

この後鳳来寺の横を通り、国道151号線へ合流する。全くの余談だが、この鳳来寺山のふもとには、最近まで当方の出身地である東海市が所有していた「山の家」なる研修施設があった。ここへは小学校5年生の夏休みに林間学校と称した2泊3日の宿泊学習がある。もちろん、鳳来寺山にも登るのであるが、これがけっこうきつかった思い出がある。

 

さて、この5年生の夏休みが終わった後、写真の販売があったのだが、もちろん、今のようなディジタル写真機はなく、フィルムからポジを焼いた写真が番号を付与されて張り出される。ここで当方は痛恨のミスをして、西尾さん?だったかに、迷惑をかけてしまった。とういのも、当方の出席番号が男子で4番だったのだが、誤って女子の4番の欄に自分の欲しい写真の番号を記入してしまった。これに途中で気がついた当方は、改めて自分の欄に印を書き直したのであるが、西尾氏の欄に記入したものを消し忘れてしまった。結局西尾氏は当方の写真を買う羽目になってしまったのだ。今この場で懺悔します。って、今更遅いよ。

 

4.道の駅鳳来三河三国

 

そんなことを思い出しつつ、道の駅鳳来三河三国で休息をとる。

 

道の駅 鳳来三河三国にて

 

まずは、水分補給をしつつ、ハーレー氏の走りについて皆で話し合う。当人は「随分楽に走れるよ。CBR1100RRブラックバードは目じゃないよ」とのこと。えええ、そうなんですか。今でこそ若い人もスポーツバイクメーカーとして認知しているBMWであるが、K1200が発売された当時はオジサンバイクの代表という感じであったはずだ。ところが、意外や意外、当時からBMWはスポーツバイクメーカーとしての技術を持っていたということだ。そういえば、元GPライダーの平忠彦氏も「BMWはスポーツバイクだ」とおっしゃっていたことがある。イメージだけで物事を捉えることは危険だ。

 

そして、当方が後方から読み取っていたバンク角の件であるが、やはり、タイヤに小指一本分の余裕を残している。これで今までのコーナリング速度を維持できるとは、BMW恐るべしだ。少ないバンク角で大きな旋回性を出すことができる、これはさらに速いコーナリングが可能であることも意味する。通常のテレスコフォークのマシンにしか乗ったことの無い当方には、ちょっと想像できない。いや、単なる腕の問題だ。失礼。

 

さて、そんなKも、停車時の取り回しが重いことが欠点らしい。装備重量で300kg近くあるようで、立ちゴケもしやすいとか。

 

そして、一通りKの話題が終わると、道の駅裏にある寺に話題が移る。その名も「満光寺」である。当方のテンションが上がったことは言うまでもなかろう。岐阜の恵那市上矢作町にも「万光寺」があるし、新城市には紛らわしい「方光寺」もある。寺の名前だから仕方ないが、この名称は誤解を招きかねない。もちろん、メンバーに触れ回り、呆れられたこともご想像の通りだ。

 

因みに女性器の方は「満紅」からきているという説があるらしい。

 

そういう名前の寺なんだから仕方ない

 

それにしても、この辺りまで来ると、太陽もだいぶ高い位置まで昇り、結構暑い。また、日焼けも進んでいるのだろう、なんだか首周りがヒリヒリする。ハーレー氏はたまらず、日陰で休息している。

 

ところで、ハーレー氏は何か変わったというか、何かが足りないというか、そんな違和感を持っていたのだが、なんと「先ごろの値上げを機にタバコを辞められた」ということだった。なるほど、それでいつもと行動が違うな、と感じていたのだ。ところで、電子タバコを活用して、本物のタバコを辞めていたてR1-Z氏であるが、最近は仕事が立て込んできているので、一週間に一箱程吸っているとのこと。このくらいなら財布に響くこともなかろうし、単なる「たしなみ」のレベルだ。本来のタバコっていうのはそういうものだったんだろう。

 

談笑するハーレー氏(左)とR1-Z氏(右)

(後方には当方が嫌いなOO集団がいる)

 

5.いよいよデイトナ社へ

 

再び今までの編隊を保ちつつ、走行を再開する。県道359号、259号、68号と複雑な繋がりを計器飛行で行くW査察操縦士であるが、この辺りはさすが1万時間の経験が活かされている。迷い無く正確な経路を辿っていくので、当方等はミスコース時に行う「Uターン」を必要とすることは無かった。

 

さて、「Uターン」といえばドルーの「転びながら叫ぶ」事件だ。だいたいUターンなんてできなければ無理することはないのだが、失敗して「何でこんなところで曲がるだーぁ〜」って叫ぶとはどういうこと?誰でもミスはするが、そりゃ変だ。因みに休息中、ハーレー氏に一連のドルーネタを披露したところ、「一度お会いしてみたいねぇ」と呆れていた。全くその通りである。

 

こうして、W機長の上手い先導に続いて、連続するカーブを楽しみながら走行を続けていく。この辺りは基本的に交通量が少ないのだが、時々遅い乗用車に追いついてしまうことがある。こういう時には、前回の開田高原へのツーリングで教わった「車間距離を開けて加速し、一気に抜き去る方法」をかっこよく実演して見せてくれた。さすが査察操縦士だ。当方なんてまだまだまだ教官機長にもなり得ない。

 

そんなことを思いながら、国道362号線へ乗り換えて、建設中の第二東名高架橋を見つつ天竜市街地へ入っていく。この辺りはかの有名な「本田宗一郎」の故郷である。

 

そして県道40号線へとスイッチし、中遠広域農道へ乗り換えるといよいよ今日の目的地である「デイトナ社」が見えてくる。ご存知の方も多いと思うが、この会社の製品はバイク乗りならば一度はお世話になるか、そうでなくとも用品店でその名を目にする大手部品メーカーである。当方の兄貴の友人「赤ディー氏」もブレーキホース交換時にここの製品を使用していた。もっとも、どういうわけかトルクレンチでボルトを締めたにも関わらず、破損してしてしまったという結末ではあったのだが・・・。

 

前述のように、今日はここでバイクガイド誌の撮影会があるのだが、なにやら入り口から大渋滞をおこしている。ひとまずスタッフと思われる方に事情を尋ねてみると「並んでください」とのこと。よく見ると、「培口人」のノボリも出ている。

 

 

なんじゃこの行列は??

 

R1-Z氏は「今日は試乗会もあるんですよねぇ」と事前情報を入手していた。当方は全てW氏にお任せだったので、そんなこと初めて知った。それにしても主催者はもうちょっと考えて欲しかった。全国誌やアフターパーツメーカーとの合同イベントだったら、混雑することは当たり前なのだから、あらかじめ駐輪場をきっちりと整えておいて欲しかった。あるいは、「どうせバイク人口は減っているのだから、このくらいでよいか」と楽観視していたのかもしれない。それもそれで、あながち間違っているとは言えなくもない。まあ、世の中こんなもんか。

 

結構な暑さの中、100m以上はあるかと思われる行列に並んで入場を待つ。この間、あまり行列が進まないようだったら目的地変更をしようという話をしていたが、幸いにも少しずつではあるが確実に前に進んでいくので、撮影会に参加することに決定した。

 

ところで、ハーレー氏のKであるが、走行中は至極軽快・快適なマシンであるが、こういう押し歩きになると一転して強烈に重い鉄の塊になってしまうようだ。暑さでバテ気味であるのに、それに加えてこのマシンの重さは御歳を重ねられた氏には堪えているようだった。これについて、ハーレー氏は「この重さじゃあ、押し歩きで倒したり、立ちゴケくらいは仕方ないなぁ」と半ば開き直っていた。当方が思うに、単なる慣れの問題であると思うが、これに対して氏は「やっぱり年齢がくると、どうしても体力が落ちてくることを感じる」ということであった。さらに、「家の前でマシンを倒してしまった時は、嫁さんがえらく不快感を示していた」ということだった。確かにそれはきついなぁ。

 

そんなことを話していると、やっとデイトナ社の敷地内に入ることができた。ところが、この先も行列が続いており、まだ時間がかかりそうだ。もっとも、下り坂になっていることが救いではあるが、ハーレー氏は檀れいのマシンの重さで、下り坂に対しても苦戦を強いられている。お手伝いしたいところだが、こちらも結構大変なので、話をして気を紛らわしてあげることしかできなかった。

 

するとバイクガイド誌のスタッフがやってきて、この場で写真撮影を行うとのこと。なんだかやりにくいが、時間短縮の為には仕方なかろう。下り坂でサイドスタンドが外れないかヒヤヒヤしながら、写真撮影を済ませた。いったいどんな顔して写っているのだろうか。なんだか不安になってしまう。

 

6.試乗会

 

30分程待った後、やっと倉庫の裏にある駐輪場へバイクを停めることができた。「やれやれ」という様子でさらに下方にあるテストコースを見てみると、上記の試乗会が行われている。主にはパーツメーカーのカスタム車が走行しているのだが、中にはトラのタイガー800やKTMのDUKE125といった外国車も含まれている。R1-Z氏はこれを結構楽しみしていたようで、どれかに乗るつもりだそうだ。そう聞いたので、当方もなんだか乗りたくなってきたので会場へ降りていこうとすると、そこへバイクガイド誌の名物(迷惑?)男「コウ」が自慢のCBR1000で通っていった。W氏や当方は喜んで「やっぱり来やがった」と顔を見合わせた。ところで、この「コウ」なる御仁がなぜ名物なのか。この人は同誌スタッフに向かって「俺は毎回きているのだから、皆勤賞をよこせ」という旨、堂々と申し出ていたのだ。そんなもん、紙面に掲載してもらっているのだからそれで十分だと思うのだが、それ以上のモノを求めるとは、いったいどういう神経をしているのか。

 

デイトナ社のテストコースを見下ろす

(左からR1-Z氏、W氏、ハーレー氏)

 

そんなことを話しながら試乗会の受付を済ませて、またまた列に並ぶ。すると、前述のトラなどの大きなマシンの試乗は休息時間に入ってしまった。そりゃないですよと思ったが、幸いにもKTM DUKE125は試乗が続行されるようなので、そちらの列に入って順番を待つ。

 

そういえばW氏やR1-Z氏、ハーレー氏の姿が見えないなぁと思っていたが、W氏は各ブースの訪問、ハーレー氏は掘り出し物の物色、そしてなぜか先に受付を済ませたR1-Z氏が当方から20人くらい後方に並んでいる。各人がそれぞれの楽しんでいるのだが、これぞ理想のマスツーリングである。というのも、WRT憲章にも謳っているように、「バイクは自己責任」の乗り物である。それは集団であっても何ら変わる事は無い。ということは、各々がそれぞれの楽しみ方で満喫すればよいだけのことで、また他の人の楽しみを尊重することも必要だ(この点は当方はちょっと自信が無いので、でかい声では言えない)。それを皆が行動で示している、WRT連合会のメンバーは本当に良い人たちばかりだ。全くもって嬉しく感じたと同時に、この仲間達を大切にしていかねばと誓いを新たにした。

 

さて、小一時間待ったところでようやく順番が回ってきた。DUKE125に乗り込み、スタートの合図を待つ。ところで、この試乗会の先導車は先ごろホンダから発売されたCBR250である。我々の年代でいくと、CBR250RR =4気筒の超高回転型エンジンでありながら、低速トルクもある程度備える、という図式が成り立つが、この新発売のものはDOHCヘッドを採用するものの、単気筒エンジンを搭載している。なんだか、ボソボソという音のCBRであるが、これも時代の流れだろう。

 

走行前の当方の雄姿?

(撮影はW氏、ナイスシャッターチャンス!)

 

さて、わざと列の最後尾から前走者にくっついていく。まず一周目はコースを覚えるためにやや抑え気味に走行していく。このデイトナテストコースであるが、全長約600m、道幅は10m強、最初に100R程の大きな左コーナーがあり、裏側は各々800RくらいのS字となっている。そして60Rと40Rくらいの複合となった最終コーナーがあり、ホームストレートが100mくらい続いていく。因みにコース脇は芝となっていて、万が一飛び出しても怪我をすることはなさそうだ。

 

そう思いながら2週目に入り、速度を上げていく。おっとと、いきなり最初のコーナーで内側に入りすぎてしまった。これは遅れてはならないとアクセルを開けてS字に飛び込むが、今度は前走車に追いついてしまった。あらら、リズムが崩れっぱなしだ。そして最終の複合コーナーであるが、各々独立したコーナーのようにしか曲がることができなかった。何が総飛行時間7,000時間だと鼻で笑われそうだが、まったくその通りだ。

 

そしてストレートを全開で走り抜けてチェッカーフラッグを受けるも、そのままもう一周クールダウンラップに入る。ここで頭を冷やしてマシンのインプレを短く述べてみよう。まず乗車姿勢であるが、体が直立する典型的なモタードタイプである。また、車体は非常に細くて軽いので、簡単にバンクさせることができて、ハンドルもそれに合わせてペコンと切れる。当方のXLR125Rの感覚よりも遥かに軽いので、もっとバンクしていく速度を遅くして、ハンドルの切れ角を調整してやるように乗ると、前述のような切れ込み過ぎを防ぐことができよう。

 

また、これらを支えるフレームであるが、かなりオーバークオリティというか、堅牢な印象だ。このクラスでこれだけの剛性が必要なのだろうかとちょっと疑問に思えてくる。その剛性感は特にスイングアームからくるものであろう。XLRで高速コーナーを曲がると「ヘニョヘニョ」とした感覚でリアタイヤがコーナー外側へ振られていき、コーナーリング姿勢に入るという感じだが、DUKEはかなりの速度でもヨレることはなく、タイヤのグリップを目一杯使うか、さもなければスライドさせていくくらいのことが必要だろう。

 

そしてエンジンであるが、これは125ccの4ストにしてはかなり力強い。確かにDT125RやKDX125SRに比べれは、アクセルを開けた瞬間の瞬発力には劣るが、その分低速域からでもトルクで押していき、高回転域はDOHCエンジンの絞り出されたパワーで伸びていく。絶対的なパワー・トルクでは2ストが勝るが、これはこれで十分に楽しい。ただ、ちょっと硬質な振動があるので、もう少しこれが抑えられていると安心感が向上して、心理的にも攻めてやるかという気分になっていたかもしれない。つまり、振動により、もうエンジンが限界ですという合図を出しているかのようであったのだ。後日最高出力を出す回転数を調べてみたら、10,500r.p.m.といことだった。そりゃそれだけ回せば振動も出ようが、SOHCのXLR125とて9,000r.p.m.であるし、こいつは「まだまだいくらでも回りまっせ」と言わんばかりに伸びていくし、振動もマイルドで安心だ。この辺りはエンジンのホンダに一日の長がある。

 

その他概観であるが、最近流行のスタイルで無難にまとめていると言える。ただ、ホイールはマルケジーニの鍛造なのか、と思われるような良い見栄えである。

 

これらを総合で考えると44万9千円という価格はがんばったと言えそうだ。うーん、最近の日本車は高くなりすぎた感があるので、国内4メーカーも知恵を絞ってエントリーモデル、セカンドバイクモデルを開発していく必要があるだろう。もちろん、大型車についても、もっとベーシックな、いらん装備を削った、しかし各パーツはそれなりのものを使用したものを発表して欲しい。そうすれば価格もそれほど上昇することもなかろうと思うが。

 

この後、R1-Z氏も試乗を行ったのだが、彼も車体の出来の良さが印象的だったとのことだ。

 

ところで、氏の走行については、実は当方が動画を撮影していたのだ。動画には当然声が入るので、当方がクダラナイ実況を付け加えたことは言うまでもなかろう。例えば、

 

「本日の解説はモータージャーナリスト、ベルクカッエW氏です」、「さて、今日のGB氏の具合はいかがでしょうか」、そして、「おっと、最後の直線で追い上げてくるのはゼッケン25番、オリバー・ペトロチァーニだぁ〜」というお決まりのやつも含まれている。ご希望の方はCD-Rに焼いてプレゼントいたします。

 

走行中のGB(Gold Blend)氏

 

7.昼食

 

我々2名が試乗をしている間、ハーレー氏は「夏用のメッシュグローブを2,000円で見つけた」と、思わぬ掘り出し物に満足していた。また、W氏はドカの他のモデルやKTM、トラなどの気になるメーカーのブースを回っていたそうだ。それというのも、氏は先月トラのタイガー800シリーズに試乗してきたばかりで、かなりの好印象を持ったからだ。まだモンスターを購入したばかりだが、他のマシンに食指が動くということはよくあることだ。

 

こうして暑さと空腹で少々バテ気味になったので会場を離れ、昼食を食べに一旦天竜市街へ戻ることにする。中遠広域農道をheading180、県道40号でheading270で走行し、さらに国道152号線へ繋いでいく。

 

さて、この暑さではさっぱりしたものが食べたい、という皆の意見を反映しそば屋を探すが、ここはW機長の嗅覚に全てを委ねる。そしておもむろに道路脇に適当な店を選び、入店することになった。因みに氏は査察操縦士、一級航法士、そして食事処選び名人と多数の肩書きを持っているので安心だ。現に今まで氏の選ぶ店には外れはないと認識している。が、その件を話したところ、以前当方が欠席したツーリングではえらい目にあったこともあるとか。果たして今日は如何に。

 

こうして国道沿いの「小松屋」に入店して、ハーレー氏、R1-Z氏、当方がざるそば大盛り、W氏はざるうどんを注文する。

 

今日の暑さでメンバーは少々バテ気味であり、水を飲んで一息つく。予想以上の混雑状況、気温、そして試乗でお待たせしてしまったことも要因だろう。この場を借りて「ありがとうございました」、とお礼を申し上げておく。

 

さて、入店した店であるが、内装、外装共に素っ気無い造りだが、麺は手打ちのようである。また値段もそこそこなので、コストパフォーマンスは高いのではないだろうか。

 

なぜか1人だけうどんのW氏

 

こうして各々料理が運ばれてきた。見た目にも量があり、天ぷらも揚げたばかりのようだ。ただ、天ぷらは既製品を揚げただけであろう。それでないと1,000円ではこの量を提供することは不可能だ。

 

早速一口食べてみるが、そば、天ぷら共にそんなに悪くない。むしろこの値段でよく頑張っていると思う。さらに、後から蕎麦湯もついてくるので合格ではなかろうか。ただ、ちょっとつゆが甘めだったことが残念だ。まあ、開田高原で食べる本物と比較してしまっては、街のそば屋がかわいそうというものだろう。

 

食事をしながらW機長より、今後の飛行計画を聞く。それに拠れば、このまま国道152号線を北上し、佐久間市街地を抜けて国道473号線へ乗り換えて、heading270で東栄温泉へ向かうとのことだ。時刻は13時を回っているので、丁度良い距離のルートである。

 

8.東栄温泉へ

 

水分と燃料を補給したライダー達は復活し、各々のマシンへ火を入れる。ここで当方がW氏に、「東栄温泉の後は仏坂峠ですか」と尋ねたところ「それは言ってはだめだ」とハーレー氏を気遣っていた。なるほど、もう10年近く前のことだが、彼にとって縁起の悪い所は外すということだ。

 

ところで、なぜハーレー氏と仏坂峠の相性が悪いかを簡単に説明しておく。

 

また氏が息子さんのCBR1100Rブラックバードや、自分のCB750FZに乗られていた時のこと。その事件のあった日はCB750に、どこから手に入れてきたのか、「巨大なボルドールカウル」を装着していた。「これで高速で走ってもだいぶ楽だ」と意気揚々に走行していたハーレー氏であるが、ツーリングの流れからとよね温泉へ入湯した。ところが、この日の温泉は何故か温度が高く、ややのぼせ気味になったまま再出発をしてしまった。

 

まあ、ここまでは大したことはなかったのだが、この「のぼせ」がちょっと長引いてしまい、そのまま仏坂峠を越えることになった。因みにその時は当方のすぐ後ろをハーレー氏が走行していた。

 

峠のトンネルを抜けて、西側の下り区間に入っていくのだが、なんでもない左カーブを曲がってミラーを見ると、なんとハーレー氏が諸手を挙げてCBから弾き飛ばされているのが見えた。

 

「えらいことだ」とクラクションを鳴らして前方のW氏に合図し、当方はその場でユーターンして現場へ急行する。どうもリアタイヤからスリップダウンしたようで、「転倒したバイクが追いかけてきた。もう少しで背後の岩と挟まれるところであった」と足を震わせタバコを吸うハーレー氏。もちろん巨大なボルドールカウルは大きく破壊されてしまった。幸いにもハーレー氏自身には怪我は無く、その翌月に行われたツーリングには通常のCB750スタイルのマシンで、何事も無かったように参加するハーレー氏の姿があった。

 

そんなことを思い出しながら、国道152号線の天竜川にある船明ダムを横目に50ノット程で快走していく。こういう場面では、ちょっと辛いという感じであったハーレー氏も今や大排気量の直四に乗っているので、スイスイと前走車をパスしていく。辛いのはR1-Z氏だ。頻繁にギアを変えて常に高回転を使用していることが、背後から聞こえる排気音でよくわかる。

 

こうして無事に東栄温泉へ到着し、お目当てのソフトクリームを食す。おっと、アイスナメナメの図を撮影していなかった。W氏、申し訳ないです。

それはそうと、ここでハーレー氏が家へのお土産として、漬物などの特産品を数点購入していた。氏曰く「こういうことをしておかないと、バイクに乗れなくなる」と。そう言えば、R1-Z氏もそろそろ母君の接待をしておかないと、次期導入機材にも影響するのでは?

 

さて、時刻は15時過ぎであるが、最近は陽が長くなってきたのでもう少し走れそうだ。W機長の提案で茶臼山〜県道10号〜笹暮もみじ街道の「ワインディング満腹コース」の提案があった。ハーレー氏も久々に我々と合流したのが嬉しかったのだろうか、全会一致でこちらへ向かうことになった。

 

9.帰宅前に茶臼山を攻めに

 

茶臼山へ向かう前に、東栄町内のスタンドでR1-Z氏とW氏が燃料を搭載する。当方とハーレー氏は燃料タンクがでかいので、このまま通しで帰宅できる予定だ。それにしてもK1200の24Lタンクには恐れ入る。さすがはアウトバーンで1日何百キロも走行する国から来たマシンだ。

 

こうして、W機長の先導で国道151号線をheading050で走行していき、県道506号へ乗り換えるといよいよ本格的な屈曲路の始まりだ。ここは先々月の定例ツーリングでも走行しているので、おおよそ路面状況やカーブの具合を覚えている。そのせいだろうか、比較的余裕を持って、かつ思い切って走行を楽しむことができた。もちろん、R1-Z氏の狼煙走法も健在である。

 

さて、茶臼山頂上に到着したのはよいが、目下「芝桜祭り」が行われていたので駐車場が有料になっている。普段はガラガラヘビの駐車場であるが、こういう時だけは稼ぎ時とばかりに威嚇的な警備員が料金を徴収している。

 

どこか駐輪できる場所はないだろうかと探すと、丁度駐車場向かいに歩道があり、ここにバイクが整然と並んでいる。また、運がよく3台分の場所が空いていたので、迷わずここへマシンを滑り込ませる。こういうときは料金徴収員が「ネチッコイ嫌味」を言ってくるものだが、今日は何も言ってこない。もしも何か言ってきたら「あんたの嫌味のネチッコさぁ〜♪」と武田鉄也のマネをしながら歩いていこうと思っていたが、今日はその必要はない。

 

その後、いつもの展望台へ歩いていき、ドルーネタ・ランキング第一位「はい、行こ」で盛り上がる。そう、これは茶臼山が発祥の地だ。何回も蒸し返しているが、「はい、行こ」と不機嫌に急かしておきながら、自分は一番最後からついてくるだけって、いったいどうよ?

 

 

展望台でくつろぐW氏、R1-Z氏、ハーレー氏

 

ところで、W氏に言わせれば、「ドルーなんて職場の連中に比べたら序の口だ」ということらしい。つまり、氏の職場にはドルーなど比にならないくらいにハチャメチャな連中がたくさんいるということだ。もっとも、これは当方とR1-Z氏の業界でも当てはまることであり、ハーレー氏もその表情から、「そういう奴がどこにでもいるんだよなぁ」と考えていることが読み取れた。

 

仕返しに、本当にツーリングに引きずり出して、「何でそんなに遅いだぁ〜」、とか「はい、行こ」とか言い返してやろうという話になるが、それも面倒なので、やはり偶然の機会を待った方がよさそうだ。

 

10.帰宅

 

さて、メンバー各位には少々疲れが見えてきたが、ここからは県道10号〜農道(笹暮もみじ街道)のスーパーワインディグ区間が待っている。気合を入れてまいりましょう。尚、ここでW機長から「今日は雨が降った後なので、川に注意」とアドバイスがあった。

 

このことを念頭に置き、まずは茶臼山高原道路の折元I.C.まで軽く流し、ここで県道10号に乗り換える。県道10号は低速ワインディングで、奥がさらに曲がっている複合コーナーが多い。当方はいつも焦って飛び込みがオーバースピードになりがちなので、今日はしっかり減速してから進入し、先が見えたらアクセルオンというメリハリを重視していく。ところが、W機長のアドバイス通りに、カーブ途中に川が流れている箇所が幾つもあった。こういうときは車体を立て気味して、路面とタイヤが乾いた頃に再びバンクするという方法が有効だ。

 

ところで、この区間はW氏のマシンがとても活き活きするのであるが、今日は川のおかげで不完全燃焼気味であった。というのも、当方がなんとかその姿をコーナー先々で確認できたからだ。

 

そして少々全走車に行く手を阻まれつつも、今度は高速コーナーが連続する農道へ入っていく。ここは路面も良いし、カーブも250Rくらいが主体である。さらに、ちょっとカントが小さい、いや逆バンクもあるかな、という具合なので、スリルがある道だ。

 

ここではW氏もすっ飛んでいき、あっという間に視界から消えてしまった。どうしてあのような走りができるのか、やはり若い頃のYG訓練が効を奏しているのであるが、氏曰く「今日はサスペンションのセッティングを誤ったので、イマイチだ」とのこと。

 

こうして、農道を楽しんだ後、国道257号線で北上し、道の駅 どんぐりの里稲武で解散となった。

 

この後、当方とR1-Z氏はYG経由で、W氏とハーレー氏は国道153号線で帰宅した。

 

11.まとめ

 

今年は梅雨入りが早かったし、週間天気予報によれば、当日は雨予報だった。しかし、運良く当日の早朝に雨は上がったし、また、久々のハーレー氏の参加で大いに盛り上がった。また、一時は参加が危ぶまれた、R1-Z氏のトラブルも深刻なものでは無かったことも証明された。もっとも、車体各所のベアリングに注油する「ギコギコ解消メンテ」もドック入りの時期が迫っている。もしよろしければ、当方宅の第2ピット行うように手配しておきますよ。

 

さて、来月も予定がうまく合えば、涼しい所へ避暑ツーリングに行きたいものだ。またよろしくお願いします。

 

本日の走行 320km

 

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