ある初秋の午後

 

茶臼山頂上にて

2008年10月13日

 

0.地球上の生物としての遺伝子

 

私管理人は哺乳類の一種、人間という生物であることは言うまでもなかろう。ところで、同じ哺乳類の熊なんかは冬になると「冬眠」するが、人間はしない。ところが、夏に比べて秋冬になると人間でも活動する効率は低下するそうだ。夏の方が開放的な気分になり、高揚感があるという経験は誰しも覚えがあろう。ただ、活動の度合いが落ちるということはあまり意識することは無いと思う。

 

管理人はどうも秋になると著しくテンションが下がってしまう。9月中旬くらいから今ひとつである。もっとも仕事に障るほどではないにしても、なにかいつも疲れているというか、だるいというか、乗る気がしない。バイクについても例外ではなく、先月はあまり走れなかったし、今月になってからもさほど距離が伸びていない。8月の北海道はノリノリで、3000km以上も走っていたなんて我ながらちょっと信じ難い。

 

こんな時は寝ていることが多いが、それももったいない。9月から11月はバイク乗りにとって最も都合の良い季節といっても過言ではないからだ。そんなわけで、今日は午後から出かけてみた次第である。

 

1.とりあえずYG

 

 YGとはあるダムの略称である。ここには屈曲した道がダム湖沿いに走っており、流すには割合と楽しい。おりしも先週はタイヤ交換を行っており、新しく装着したブリジストンのBT021のテストも兼ねてやってきたわけだ。いつも通りに県道11号で北上し、小渡にて右折、YGへ向う。今回は南側の道でダム湖を目指そう。ここは北側よりも屈曲率が高く道が狭いのだが、タイヤの性能を試すには都合が良い。気をつけてカーブを抜けていく。

 

どうもバイクを寝かせるタイミングが悪いし、無意識にハンドルに変な入力をしてしまっている。おかけでおっかなビックリにしか曲がることができない。これではタイヤの感触を試す以前の問題だ。そう考えながらいろいろと修正しながらダム湖にやってきた。SP2氏がいるかもしれないと休息所を覗いてみたが、見えなかった。どうやらまだ整備が終わっていないようだ。リアサスの分解整備で時間を食っているのかもしれない。

 

ここからは北側の道路に切り替えてさらにダム湖沿いに走っていく。速度を落としてライディングフォームを点検していく。どうやら上半身ばかりに気をとられていて、下半身が動いていないようだ。曲がる方向に腰を回転させつつ、抜重、ニーグリップを確かにして内側のハンドルには手を添える程度とし、外側の手はセルフステアで前輪が切れる角度に合わせて、ハンドルに追従させていく(押してはいけない、イメージだけは押している)。

 

2.平谷へ

 

幾分コツを思い出したところで湖畔の道が終了。国道257号を北上して、さらに右折して418号を平谷方面へ走る。この418号も屈曲路の連続する道なので、フォームを思い出しつつ走行を続けていく。ところで、この道沿いに「万光寺」なる寺があることをご存知だろうか。漢字で書いているぶんには問題はないが、カタカナで記載すると手が後ろに回りそうな名前である。気をつけよう。余談ではあるが、陶器で有名な瀬戸市には「雲興寺」なる寺があることを追記しておこう。食事中の方、申し訳ない。

後日友人のオークラ氏から「珍皇寺」という寺が京都にあるとの情報を頂いたことも追記しておく。

 

数十km走行したところで国道153号にぶつかり、左折。道の駅平谷に到着だ。ここはひまわりの湯という温泉があることで知られている。また、最近改修されて駐車場が広くなり、また向いのガソリンスタンド横にパン屋が新しく開店した。時間も1時をまわているので、飯にしよう。

 

                          

                                   ソバ定食                                               ジェラート

 

ソバ定食(800円)を注文する。ソバはまあふつうだが、栗ご飯がついてきた。さらに揚げ豆腐もなかなかよいですな。食後は甘いものが食べたいのでガラにもなくジェラートを購入。ソフトクリームもあったが、8月にたくさん、旨いやつを食べたので今回は趣向を変えてみた。

こちらもいけます。

 

ところで、この道の駅にはたくさんのライダーが訪れる。おりしも今日は秋晴れの休日とあって100名くらいはいたものと推測される。その中でTDM900の方が声をかけてきたので、情報を交換した。この方は2002年の初期型のオーナーであり、北海道行きのために購入されて今年を含めて数回渡道されたそうだ。燃費なんかは管理人の機体とほぼ同じようで、走行距離も50000kmとこれまた管理人のものと同等であった。

 

 

黄色が眩しい2002年型

 

さて、秋のさわやかな風を感じつつ高い空を眺めていると、パラグライダーが飛んでいることに気がついた。上空1000フィート程の高さを飛んでいるようである。常に山沿いに飛んでいるので、上昇気流をうまくつかまえているようだ。ところで、昔小牧空港の管制圏にパラグライダーが進入してしまって、航空法違反で書類送検された人がいたことを思い出した。さらに連鎖的になぜか風船オジサンのことも。

 

3.茶臼山

 

さて、ちょっと気分が良くなってきたぞ。日に当たると気分が良くなるようだ。ひとつ平谷峠を越えて茶臼山に行ってみよう。再び国道418号に乗りheading110で誘導されて、こまどりの湯を越えたら県道46号で茶臼山へ。国道418号は中、低速コーナーが連続する道であるが、道幅が広く交通量は少ないので快適に走行することができる。TDMを操る感覚がだいぶ戻ってきたようで、ヒラヒラと綺麗でしょ、いい女でしょ、見かけより尽くすタイプね、とTDMが応えてくれる。

 

ところで、タイヤであるが、ブリジストンのBT021はダンロップのロードスマートに比べてタイヤそのものの剛性が高いようだ。その分をトレッドを柔かくすることでバランスを取っていると感ずる。ダンロップの方はタイヤ全体がもっとしなやかな感じであった。またタイヤそのもののサイズ表記はどちらもF120/70/18、R160/60/17であるが、厳密にはダンロップは3〜5mm表記より細く、ブリジストンは5mm程太いようだ。つまり10mm弱の差があることになるので、ダンロップはプロファイルが丸かったのであろう。倒れこみが早かったように思う。そのため現在のBT021はバンクする速度がやや緩やかだ。またトレッドが深いので、ライフもダンロップより長いだろう。グリップは管理人の腕ではどちらも十分過ぎる。まったく破綻する様子は無い。どちらもそれぞれ長所、短所があり、甲乙はつけ難いが、ダンロップの方が路面の状況をつかみやすいように思う。ブリジストンはもっと攻め込んだ時に真価を発揮することであろう。サーキット走行なんかするのであればBTのほうが良い感触を得られるのではないだろうかと思う。

 

茶臼山にやってきた。頂上付近は紅葉が始まっているが、全体にはまだまだこれからというところだ。駐車場にTDMを停めて周りを歩いていると、頂上まで1.2kmと看板が出ている。それくらいならと早速登山開始。ン?思ったよりも骨があるな。足元に拳大の石が転がっているので、歩きにくい。なるべく石の無い部分を歩いていく。半分くらいまで登ると自由の広場という場所がある。ここにはススキがたくさん生えており、いかにも秋らしい空に映えている。茶臼山そのものもそれなりに色ついている。

 

自由の広場から茶臼山山頂を見上げる

(噴火しているわけではありません)

 

なんだ楽勝じゃん、って思っていたら甘かった。ここからは登山道が狭くなり、勾配もいっきに急になった。足元に気をつけながらやや息を上げて階段と坂を登る。ところで、どうして山登りをしているとすれ違う人は挨拶をするのであろうか。そんな疑問が今日解けたように思う。あの狭い登山道ですれ違う時に無言では済まされない雰囲気がある。なんというのであろう、何も言わないのでは「バツが悪い」と言おうか、ともかくそうしないといけない雰囲気になるのだ。

 

ふだんから鍛えているくせに、結構ゼーゼーいわせてやっと登頂に成功した。冒頭の写真はその時のものだ。さて、見晴らしはどうだ、思ったほどでもないようだが、一応連続写真にしてみた。

 

不揃いの景色たちですが・・・

 

ひとしきり休息したところで下山する。途中までは登ってきた急勾配なので、慎重に下っていく。足を滑らせて怪我をしたくないからね。それにしてもここの登山道は鬱蒼としていて熊でも出てきそうだ。現に熊笹も生えている。そんなことにならないこと祈りつつ先ほどの広場にでてきた。

ここはなかなか見晴らしが良いし、広場そのものもススキの草原と化している。労働対喜びの対価でいくとここで止めておくことも十分に選択肢にするべきであったと後悔した。もっとも先にすることができたら先悔であろうし、そんなことができたら人生はずっと上手くいくはずだ。

 

自由の広場にて

 

4.道の駅 稲武〜帰宅

 

だいぶ日が傾いてきた。もう4時を回っているので急ごう。ここからは茶臼山高原道路を走っていくこの道は最近無料化された道路で、以前は片道1000円とボッタクリであったようだ。そのおかげだろう、舗装状態は大変よく、道幅も広いので気持ちの良い速度で走行できる。カーブは中高速が中心である。ここではかなり乗り慣れてきていたのでタイヤをそこそこ使うことができた。アクセルもやや開けつつ、リアタイヤの内向力を感ずることもできた。開けやすさではブリジストンが一枚上手のようだ。やや開け気味でも怖くないぞ。TDMの2気筒サウンドを響かせつつ、国道257号の道の駅アグリステーション前を右折して北上。国道153号の交差点を左折して道の駅 どんぐりの里稲武へ。

 

先ほどの登山でややのどが渇いたのでジュースを飲み、名物のソーセージをかじる。ここはいろいろな食べ物があり、なかなか良い。夢山水という酒の入ったソフトクリーム、大きな栗が丸ごと入っている栗ドラ焼き、焼きたてのパンなどなど。また温泉もあることも見逃せない。

 

さて、帰宅するわけだが、国道153号は足助の街が込み合っていることは間違いない。途中で県道33号で逃げる手もあるが、ここはもう一度YGを走ることとし、国道257を北上、お馴染みの赤い橋があるところを左折してYGへ。夕日を浴びつつアクセルを開けると新品タイヤの強烈なグリップで加速し、カーブもググッと踏ん張る。やるじゃんBT021。これはこれで良いタイヤだ。いや、管理人の腕ではタイヤの良し悪し云々を評価することがおこがましいと言うものだろう。どちらにしても安心して走行できることは有難いことだ。そんなこんなで18時前に帰宅。

 

5.まとめ

 

いつもの走りなれた道であるが、季節によって違った表情をみせることは当然であろうと改めて認識した。それにしても12月早々には山方面は行くことが難しくなるので、それまでに十分に山のワインディングを満喫しておきたい。旨いものもたくさん食べておきたいし。

 

本日の走行 250km

 

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