北海道紀行2(2006年7月29日〜8月4日)

 

第4日目

 

朝の日差しで目が覚める。R1-Z氏はまだ寝ている。ゆっくりしていると走る時間が減ってしまうので、さっさとフライシートの乾燥に入ると同時に湯を沸かす。天気が良いので、すぐに乾きそうだ。さっとひと拭きしておくのはキャンプの朝の常識。氏も起きてきた。まったりとパンとコーヒーの朝飯を食う。さっさと撤収して荷造りをしていると地元の方がやってきた。なんでも昔管理人をしていたらしい。今の北海道の現状、キャンプ場のことなどを聞いた。我々名古屋圏はそれなりに元気だが、北海道は本当に深刻らしい。いわゆる地方格差というやつである。若い人はどんどん都市部へ出て行ってしまい、過疎化もすすんでいるそうだ。我々は時々訪れて多少貢献するくらいしかできそうにない。話をしているともう10時を過ぎていた。いざ出発。

今日のメインは日本海オロロンライン。12年前にも走ったことがある懐かしの道だ。ここでは風力発電用の風車がなんと10基以上も並んでいる圧巻な光景を見られる。他には青森の竜飛岬等も有名だ。オロロンラインの風は爽やか、遠くには利尻富士、空を飛ぶカモメ。時間の流れが3倍はゆっくりしている。しかも道路は一直線。R1-Z氏は異常に興奮しているようで、とても嬉しそうだ。なにせ20年越しの北海道なのだから。

 

  写真左 風車とともにR1-Z氏/同右 寝転ぶ管理人

 

さて、稚内で昼食にすることにした。せっかくだからと地元のすし屋「ひな寿司」でチラシ寿司を食す。ネタが良いだけに本当に旨い。ツーリングの醍醐味だ。

次はいよいよ宗谷岬だ。当日は曇りで気温15度くらいであった。やや肌寒い。12年前も20度ソコソコだったような。地元の人の話では「25度を超えると暑くて仕方ない」らしい。我々地元は35度を越える日もままある。羨ましい限りである。宗谷岬といえばまずは「証明書」、そして碑の前での記念撮影、間宮像である。あっと、もう一つ。「流氷とけてぇ〜」も忘れてはならない。記念碑が建っており、人感センサーにより人が通ると歌が流れる。ひっきりなしに人が来るので、歌は鳴りっぱなしだ。12年前もそうだった。船村徹さんの関わった歌ということも付け加えておこう。

 

   左 宗谷岬歌碑 / 右 最北端の地に立つR1-Z氏

 

この時点でもう3時を回っている。そろそろ宿を決めないと。オホーツク側に回り、枝幸付近のキャンプ場を探す。海岸沿いにいい場所があるが、海岸沿いは湿度が高い上、塩分でバイクが傷む傾向がある。よって管理人は原則内陸にあるキャンプ場を利用する。そうは言っても時間が押してしまい、クッチャロ湖キャンプ場に落ち着くことを決定。早速テントを設営する。今日はなんだか疲れた。キャンプがもはや億劫になりつつある。12年前は3週間の内、雨の日以外はキャンプだった。若さゆえの元気だったのか、、、。周りにはライダーがいっぱいで、既にオヤスミモードだ。我々はやっと食事が終わり、風呂へ行く。裏手にあるホテルの浴場を使用する。ああ、温泉万歳!ツーリングは温泉だ。凝った疲れを癒し、テントに戻る。既に時間は9時を回っている。本来寝る時間だが、明日の打ち合わせを行わなければならない。雨も降ってきた。向かいのテントの人がものすごいイビキをかいている。最初はなにかの動物かと思ったほどだ。ともかく、疲れていたのでたいした被害はなかったとだけ申し上げておこう。

 

本日の走行 250km

 

第5日目

 

昨日は雨がパラついたものの、本日も快晴也。向いのテントの方のイビキは相変わらずヒドイ。やっと起きてきたかと思うと開口一番「ああよく寝た」とは。友達と思しき方々の表情が変わったのは言うまでもない。今日はR1-Z氏が先に起きていた。当方は疲れていて多く寝たようだ。昨日同様にパンとコーヒーの朝飯を食う。

 

クッチャロ湖畔キャンプ場にて、出発前の図

 

今日は南下して旭川から富良野へ行く予定だ。今までは海沿いの道を走ったが、今日からは内陸を走る。

 

 浜頓別市街地を走るR1-Z氏

 

北海道らしさを味わえるというものだ。さて、まずは名寄は智恵文の向日葵畑だ。約70万本の向日葵が植えられているということで楽しみにして行ってみると、まだつぼみでちらほら開花と言う状態だった。しかしその雄大さ、見事である。12年前も訪れたのだが、その際は8月の中旬ですでに枯れ果てていた。なかなか旬の時に訪れるのは難しいもんだ。

 

  智恵文ヒマワリ畑にて

 

さらに南下して士別を通過。ここはホンダのテストコースや、トヨタの試験場など国内メーカーの寒冷地研究所がある。この辺りは毎年冬になるとしばしば最低気温日本一を記録する。ここで問題の出ない車は国内では大丈夫ということになる。因みに最高気温日本一が記録されるのは愛知県の内陸や、岐阜の南部である。こちらも各メーカーの拠点が置かれている。現在経済的にも元気と言われる所以だ。街を走っているとホンダの従業員送迎バスに遭遇した。鷹栖のコース帰りであろうか。余談であるが、同コースは世界一過酷なサーキットと呼ばれ、1周全開走行で2000km程度の負荷を車にかけることができるドイツはニュルブリクリンクを参考に造られたテストコースだ。90年代中頃にオープンしており、同社のタイプRシリーズのみならず、ノーマルな車の開発にも貢献していると思われる。なぜなら同社の車体のつくりがこの頃を境に大きく変貌を遂げたと感ずるからだ。具体的にはねじり剛性、足回りの設定のしなやかさ、エンジンパワー、トルク特性のフラット化などが挙げられるだろう。もともとスポーティーな同社の車は飛躍的に性能を上げたと感じている。

さて、このあたりで昼飯にしよう。ある食堂でホッケ定食を食べた。スーパーで見たホッケをどうしても食べてみたくなったのだ。体長40cm程のホッケはうまい。やはり北海道だ。

いよいよ旭川までやってきた。いわずと知れた旭山動物園があるところで、冬季のペンギンの散歩などユニークな催しを開催している。今回はパスして富良野へやってきた。遠く十勝岳、富良野岳を望む観光と農業の街だ。もちろん「北の国から」の舞台でもある。なお、俳優の田中邦衛は岐阜県土岐市というところの出身で、我々中部圏の人間だ。富良野へ入った頃には夕暮れ時で、空がきれいな夕焼けであった。こんなきれいな夕焼けはやはり北海道ならではだろう。

 

  写真左 R1-Z氏と十勝岳山系 / 同右 50000km突破

 

もうひとつ、R1-Z氏の車両が累積走行距離5万kmを記録した。

今晩は二人とも疲れていたので、ライダーハウスに宿泊することに決めた。富良野の「クレッセ」だ。クレッセは3人用のログハウスが数棟あり、満員時は相部屋となるが、本日は1棟貸切というご配慮をいただいた。感謝。申し込めば食事も提供してもらえる。我々は朝食のみ頼んでおいた。また、だいぶ疲れがたまっているので、明日は連泊して富良野散策を行うことで意見が一致。あすは一日観光に費やすという贅沢な日とすることになった。風呂は10km程はなれた温泉施設に行く。やや値段が張るが、でかい湯船で山々を眺めつつゆったりできた。さて、今日は早く寝よう。

 

本日の走行 350km

 

第6日目

 

ゆっくりと起床し朝飯をいただく。宿泊棟のある敷地内の管理人の家にあがり、富良野の観光地について教えてもらう。ライダーハウスの管理は実質管理人のお父さんが行っており、その息子さん夫婦は働きに出ているようだ。冬はライダーハウスはやっていないからであろう。北海道に来て度々思うのであるが、観光でやってくるのと実際に住んで生活するのとでは大きな溝があると思う。

今日は連泊であるから荷物を宿に置いて走行ができる。バイクが軽い。まずは十勝岳の吹上の湯へ向う。白樺に囲まれたマイナスイオン出まくりの極上ワインディング路だ。ついついアクセルを開けてしまうが道幅が広く、路面状態も良好なのでいいペースで駆け抜ける。R1-Z氏も「のろし」をあげてつっ突いてくる。こういうステージでは軽量ハイパワーの250ccは分が良い。なにより2ストを愛するR1-Z氏は走行時間2000時間を誇るベテランで、手足のようにバイクを操っている。

 

十勝岳PAより富良野市街地を望むR1-Z氏

 

吹上の湯は有名な無料の露天風呂がある。北の国からではかわいらしかった初代リハウスガールの宮沢りえと田中邦衛が入浴している。もっとも、現在の宮沢りえは見る影も無い。

同女史といえば「サンタフェ」や「ふんどし」などがある。世代がバレバレである。

早速温泉に入ろうとするが、ここには脱衣所もなく湯船があるだけだ。いわゆる混浴である。もっとも若いねぇちゃんはビキニを着ているので絶景であることには変わりない。いざ湯船にはいると「猛烈に熱い」。50度くらいはありそうだ。他の人は平然と入っている。私も我慢して浸かると、隣のひとが「ここは冬になると丁度良い湯加減になる」ということだった。なるほど、納得。相棒氏はきちんとした施設のある温泉に入ったので、合流して感想を聞くとやはり「猛烈に熱かった」そうだ。

 

宮沢りえも入った吹上の湯

 

十勝岳を降り、昼飯にラーメンをすすり、ソフトクリームを食す。北海道に来て以来、食後のソフトクリームの旨いこと。疲れているせいもあるが、材料が良いのであろう。ケンメリーの木、マイルドセブンの丘、セブンスターの木と要所を押さえる。因みにケンメリーの木は現在個人所有されており、その所有者が管理をしている。近年寿命が近くなってきているらしく、丁重な保護が必要とされているそうだ。

 

  

 

左からケンメリーの木、セブンスターの木、マイルドセブンの丘

 

その後麓郷地区へ回る。いわずと知れた同地区は北の国からのセットが保存してあり、いや、街全体がセットであると言えよう。見たような光景の街並み、石の家、水力発電の水車、廃材の家が並ぶ。なかでも我々ペアは一つの目的を持っていた。う○こ発電機である。ドラマの中では柳葉演ずる木材屋の娘婿が布施等とエンジン始動しようとしていたものだ。R1-Z氏の緊張も最高潮に達していた。

 

 

 

う○こ発電機を始動しようとするR1-Z氏   ご存知五郎の石の家

 

晩飯に寿司を食べようということで、地元の回転寿司屋へ。回転寿司といえども北海道では侮れない。ネタが良い。しかもまだ8月になったばかりだというのに、「さんま」も出ていた。すでに秋の気配だ。

それにしても北海道は広い。富良野だけでも行きたいところは山ほどあり、一日では要所を押さえるのが精一杯だ。あっという間に夕暮れ時を迎え、宿に戻る。今日の出来事を延々と語り合い夜はふけていく。ツーリングって素晴しい。虫の声をBGMにおやすみなさい。

 

本日の走行 150km

 

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