北海道紀行3(2008年8月13日〜8月22日)

3.3日目(8月16日)

 

朝6時前に起床する。早寝早起きの行動様式に少しずつ慣れてきたようだ。外は霧が濃い状態であるが、天気自体は悪くないようだ。時間と共に霧も晴れてくるだろう。さて、まずは気象情報の確認から。丁度6時のニュースの前に北海道の天気を詳細に発表する時間があることを偶然に発見した。また、実は昨日、北海道新聞を購入しており、そこには天気図や全の道の週間天気まで掲載されている。それらを見聞きして2日後までの天気を複合的に判断し、行き先と宿泊場所、宿泊形態を決定することとしている。因みに本日は徐々に天気が回復傾向であり、かつ数日間は天気が良いらしいと判断された。そういうわけで、いままで2回の渡道では通過しただけの内陸部に行ってみようとフライトプランを作成する

 

っと、グズグズしてはいられない。カロリーメイトを食し、各人が続々と出発されるところを見送りつつ撤収を進める。どうもこの撤収作業が上手くこなせない。他の方々は本当に効率が良いので、関心してしまう。そんなこんなで845分頃に出発。今日はひとまず北上することとして、黄金道路を走る。その名の通り、ここは道路下に金の延べ棒が埋めてある(大嘘)。実際はそれくらいするのと同じくらいの金がかかったということらしい。今でこそトンネルが多く通されているが、14年前はもっと断崖の際をうねっていたと思う。走った後は、波が砕けて飛んできたものが付着するので、メッキパーツなどは拭いておこう。

 

黄金道路はこの先。快晴の下突き進む。

 

黄金道路を過ぎると十勝平野へと入ってくる。そこを広尾国道こと236号線が走っており、その周りは壮大なとうもろこし、ビートなどの畑が広がる。ここには日本離れした光景が広がるわけで、圧倒されっ放しであった。国道両側の畑を眺め、感激しているうちに広尾の町へやってきた。広尾といえば、国鉄の広尾線という線路の終点があった場所だ。現在でも駅舎がバスの待合所兼広尾線の記念館として残っているので、ちと立ち寄ってみた。

 

広尾駅全景

 

この線の途中には愛国駅、幸福駅というその名が知れた駅がある。14年前にもそれら跡地を訪れたが、ここ広尾駅はまだ来たことがなかった。来たついでに中の展示物を見てみることにしよう。広尾線の生い立ちを説明したパネルや現役時代に使われた道具類、そして沿線の様子を再現したジオラマなどなかなか見応えのある展示であった。それにしてもよくこんな畑ばかりの所に鉄道を通したものだ。牛や馬などの輸送に用いるならその利用価値もあったろうが、旅客営業では明らかに成り立たないことは一目瞭然である。まあ廃止になったという事実も頷けよう。

 

さて、広尾国道をさらに北上すると、とかち帯広空港の標識が出ている。ここは一度見ておきたいと思っていた空港だ。というのも、航空大学校の帯広課程で用いられる空港であるからだ。ひょっとしたらタッチアンドゴー訓練中のビーチクラフト・ボナンザなんかが見られるかもと期待して、標識に従い走行する。それにしても北海道の道案内標識は10km以上先のものでも平気で示してくる。まあ、7,80km/hで走行しているわけなので、10分程度で到着するから当たり前といえばそれまでなのだが、なんとなく違和感が残るんだなぁ。

さて、いよいよ滑走路の端にやってきた。丁度J-AIRのCRJ200ERがファイナルアプローチ中で、頭上を通過していった。おおー、いいなあ。しかし、飛行機はそれ1機のみが駐機されているのみで、到着機もその後やって来ない。しかたないので、周囲を一回りして空港を後にする。

 

地図を見てみると、例の広尾線の幸福駅が近いことが判明。さらに食事をしようと考えているジンギスカン白樺もその延長線上だ。これ幸いとまずは幸福駅へ向う。はたして14年の歳月を超えて再び訪れた幸福駅であるが、全く変わっていなかった。

 

                        

                                            幸福駅の駅舎(おびただしい数のメッセージなどが貼り付けてある)                     こちらはホーム

 

 駅の周りをブラブラと歩いていると、まさに幸福な恋人同士と思われる方々がたくさん見えた。また、写真の駅舎のホーム側には幸福の鐘なるものがあり、それを鳴らしているカップルもいる。正直羨ましいと感ずるが、この後何年そんな状態が続くのであろうか解からないので、やはり総合的に考えるとこうして独りでブラブラしている方が、自分の性分に合っていると思う。

 

幸福駅で多少沈んだ?気分になった後はお待ちかねのジンギスカン白樺へ向かう。地図上では大したことのない距離あるが、実際に走っていると結構な林の中を、これまた結構長い距離走行することとなる。道を間違えたかと少々不安になるも、突然林が開けてログハウス調の目指す店が現れた。ん、駐車場は一杯だし、表で待っている人もいるではないか。丁度昼時に来たことが失敗の要因であったが、この店の営業時間は、肉がなくなる14時くらいまでらしい。結局昼に来ることしかできないのだ。ともかく受付をすることとしよう。「50分待ちです」と非情のお言葉。しかし、1度食べてみたかったので了承し、15番の待ち札を受け取る。さて、待ち時間を利用してチェーンオイルの調達に出かけることにしようかな。実は自宅に忘れてきてしまったと今朝のパッキング時に気付いたというわけだ。情けなし。

 

とりあえず帯広の町が近い(といっても10km以上)ので、そこでバイク屋なりホームセンターなりを発見して購入しようと目論んでいた。いざ出発。ところで、十勝平野に限らず、北海道の道路は格子状に通っている。それらに囲まれた畑や牧場、道沿いに並んだ防風林、まさに北海道の風景だ。

 

帯広郊外の様子

 

30分程で帯広の町に到着するも、やっと見つけたバイク屋は休みであった。うろうろしていると複合ショッピング街があり、そこにホームセンターを発見した。なんとか使えそうなチェーンオイルに加え、ガスカートリッジ(小)、紙タオルも購入した。余談だが、今回持ってきているバーナーのガスは14年前に帯広で購入したものだ。それを今夜辺りに使い切る公算が強くなってきたというわけさ。

 

ありゃりゃりゃ、もう1330分を回っているじゃん。店で受け付けをしてから1時間以上も過ぎてしまった。急いで戻っても14時を過ぎることは確実だが、「まあダメなら違う店でもいいや」とゆっくり白樺に戻る。すると、「本日の営業は終了しました」の札が出ている。「ああ、やってしまった」と店に入り、事情を説明すると、「こちらのテーブルへどうぞ」と言われ、店内へ通してもらった。やったね、ジンギスカンのありつくことができるぞ、ということで「マトン」一人前とライスを注文。ここの店は前述のマトンに加え「ラム」もある。前者があっさり、後者はコッテリということだ。

肉とご飯が運ばれてきて、山型の網とういかフライパンというか、器具を使って焼いていく。いただきまぁーす、うまいよこれ。ジンギスカンは独特の臭いがすると聞いていたが、そんなものは微塵もないよ。それどころか、タレの味と肉の味が調和して今まで食べたことのない味わいだ。にんにくもよくきいている。とにかく腹が減っていたのでご飯をもう一杯追加し一気に食べてしまった。

 

                                                 

                                                       白樺の店舗外観                                   ジンギスカンを目の前にして

 

満腹になって、水を飲みつつ壁に貼られた色紙を見てみる。かなり大勢の芸能人も訪れているようだ。ところで、これで代金が680円とはお得だ。この店のおかげでジンギスカンが大好きになってしまったことは言うまでもない。

 

色紙の一例

 

暫く休憩して元気も出てきたので、本日の宿泊地を決定しないといけない。時間や評判を考慮すると、上士幌航空公園キャンプ場が最有力候補となった。さっそくプラン承認ということで、帯広の町を避けるように北上していく。それはそうとて、今日は天気も良く、気温も高い。おまけにジンギスカンを食べたのでのどが渇いた。お決まりのセイコーマートで今夜の晩飯、明日の朝飯とジュースを購入。隣のうどん屋の日陰で休んでいると、店長と思しき方が出てきて、いろいろと話をしてきた。親切にも近道なども教えていただき、大変助かったと付け加えておこう。

 

さあ、キャンプ場へ国道241号線をheading360で一直線。道路には傾いた陽が映し出した自分の長い影を横目で見つつ、畑の中の一本道を快走する。ところで、この士幌という町は、親父の嫁さんの出身地らしく、一度訪れてみたかった所だ。実は14年前にも通過したことはあったのだが、ほとんど記憶にはない。話によると昔は帯広から国鉄士幌線も繋がっており、にぎやかな町だったそうだ。現在ではその中心部は寂れてしまっている。

その士幌を抜けて、上士幌町へやってきた。当ページと相互リンクをしていただいているローホー氏の放浪のページによると、解り難い場所にあるということである。そんなわけでかなり入念に調べておいたので、あっさりと到着した。受付のジジイの態度を除けばかなり広く、きれいな良いキャンプ場だ。芝の手入れも抜群に良い。受付を済ませて早速入り口を少し入った林の横にテントを張る。

 

上士幌航空公園キャンプ場の様子(手前は管理人のテント)

 

やや雲が出てきたが、せいぜいにわか雨程度で済みそうだ。この後は町の中心にある交流センターの温泉へ出かける。一日の走行を終えた後の風呂は格別だ。こう、何というか、本当に体の緊張が解けてほぐれていくのを感ずることができる。ああ、極楽。ここのお湯はアルカリ性で、少しニュルニュルでよく暖まる。

 

さっぱりして風呂から出てくると、道路やバイクが濡れていたりと雨が降った形跡があった。おかげでえらく寒く感じる。ちょっとテントが心配であるが、先にガソリンを補給しておこう。北海道ではやれることは先に済ませておくことが鉄則だ。さて、セルフスタンドである上士幌のホクレンにて給油する。記録によると、370km走行で14.3L=25.8km/Lと好記録であったと報告しておこう。

キャンプ場に戻ってみるが、こちらの方はあまり降らなかったようだ。やれやれと安心し、魚肉ソーセージをかじりつつ、味噌汁を沸かす。おい、米は炊かないのか?すいません。疲れてしまってコンビニでおにぎり、サラダを買いました。

しめのみかん缶を食べつつ明日のフライトプランを考える。ラジオからも「全道的に晴れ」と嬉しい天気予報が流れているし。残念ながら星は見えないが、充実した一日だった。お休みなさい。

 

本日の走行 250km

 

4日目(8月17日)へ