昆布刈石展望台にて
(霧で真っ白)
いつものように朝6時過ぎに起床する。なんとか天気は持ちこたえているはずだが、あーーーー、霧で真っ白けではないか。かなり落胆するも、西へ向かえば何とかなろうと思われる。さっそく天気図を確認すると、どうも今日は何とかなるが明日はまた夕方から怪しい。ともかく今日は回復傾向ということで、落胆度合いも少しは改善された。
朝飯にカロリーメイトを用意していたので、それを食べつつ今日の飛行ルートを検討する。まずはハルニレの木を見て、それから帯広に寄ってから富良野くらいまで行ってみたい。明日の夜中には北海道を発つわけだから、苫小牧からはそれほど遠くに離れていない所に留まろう。また、昨年訪れていない所を再訪なり、まだ行ったことがない所へ新訪も敢行しよう。
荷物をTDMに搭載して準備を整える。最初はライハに掲示してあった穴場スポット地図に記載のある、「キナンベツ湿原」へ行く予定であったが、この天候では景観を期待できないのでパス。お決まりの宿題と化した。一方、同宿のCBR氏も同様に荷物を積んでいるが、CBRはちょっと搭載量的に苦しそうだが、レプリカにであることを考慮すれば使い勝手は良い方かと思われた。この時、朝7時過ぎであるが、経営者はすでにレストランで仕込みをしているようだったので、挨拶をしていく。するとおばさんは仕事の手を止めて、わざわざ見送りに出てきてくれた。今までのライハでは挨拶をしようにも、経営者側の都合で結構ですと貼紙がしてあったり、挨拶しようにも経営者が不在などいろいろあった。結局7泊目にして初めて、出発の挨拶をすることになった。
この際、経営者のおばさんは、昨日の無愛想な様子と全く違い、ずいぶんと嬉しそうに見送りをして下さった。ここからは推測だが、廊下に掲示してあるライダー達と共に撮影された写真の当時、こういう状況が当たり前であったではなかろうかと思う。ところが、もともとライダーハウスなんて儲けはそれほど期待できない、いわばオーナーの善意の宿と言えようが、最近は宿泊者の減少に加えて人同士の繋がりが薄れてきてしまい、お礼の言葉も無いなんて・・・。人の繋がりで報われていた時代も終わってしまい、個人的諸事情もあり、もう止めようかと感じておられたのかもしれないなあと仮設を立ててみた。当方は宿を出る時に挨拶をするということは、経営者の業務を円滑にする役目もあると思うので特別なこととは思わない。むしろお互いの為であると考えるが、いかに。
いずれにしても天気はイマイチだが、ちょっと嬉しく感ずる一場面に出会い、出発する。ただ、霧対策のカッパ装着が残念だ。国道38号線からすぐに道道1038号線へ乗り換えて踏み切りを渡る。すると海岸を左手に、湿原を右手に見ながら走行開始だ。マップルに記載してあるように、かなり際を波が押し寄せてくる。ま、高知の室戸岬付近のように、波が砕けてバイクに海水が付着するようなことはないので安心だ。
さらに厚内の街から、また海岸沿いをズンズンと行く。そうしていくと昆布刈石の看板が出てきたので、こちらへ進入していく。これを聞いて、「OFF車なの?」と思われる方はかなりの通かもしれない。ここは未舗装路で、結構な勾配を上る道なのである。しかし、少々縦溝がある程度の路面はがっちりと踏み固められている、このくらいの未舗装路なら、ON車でも全く問題無く走行できよう。
この未舗装路は進入後ググッと高度を上げていき、左右にカーブをきると展望台が見える。しかし、当然の如く霧で何も見えない。帰還後に何気にここからの展望写真を探していたら、えらく良い眺めでっあった。「次回は是非晴れている時に行きたい」とまた宿題が増えたのであった。あまり話題にならない(と思っている)場所なので、有名にならないことを願っている。
昆布刈石展望台にて
(次回は景色を見渡したい)
それほど苦にならない未舗装路を抜けると、国道336号線へ飛び出した。ということは、ここも国道として整備されてしまうのか。嬉しいような、悲しいような気分で走行していくと、少しずつ霧が晴れてきて、ジャガイモ畑を通る道になった。綺麗に花が咲いているので、記念に一枚。
じゃがいも畑にて
このまま336号を走行して、38号線へ出てheadingを300に変更する。ここからは十勝平野のビート畑や麦畑などを眺めつつ、ハルニレの木へ向かう。実に15年振りに訪れるのであるが、その周りの風景は全く覚えていなかった。そこで、近くのコンビニで地図を確認する。どうやらちょっと行き過ぎたようなので、十勝川沿いに下っていく。ここでは河川敷まで畑にしているので、ちょっと驚いた。大雨で増水してしまったらどうなるのだろうかと心配してしまうではないか。
レコード盤の溝の如し
そうすると小さく看板が出てきたので、それに従い川沿いに走行していくと、ありました。周りはこんな様子だったかと、人間の記憶の曖昧さにちょっとガッカリした。もの覚えは良いに越したことはないだろう。今だにボチボチと勉強をしているのだが、確実に記憶力が悪くなっているからだ。そんなことを思いながら走行していくと、ニレの木が見えてきました。近くで河川敷を工事しているので、邪魔にならないようにできるだけ端の方にバイクを停めておく。
ハルニレの木と管理人
(目下離陸中?)
実はこのニレの木、十勝川沿いにいくらでも生えているのであるが、これほど大きいものは無い。説明書きによれば樹齢は120年程度らしい。草が生えた河川敷を歩いて、この2本の木へ向かって歩いていくわけだが、ここについては鮮明な記憶がある。確か15年前はGPXを停めたところで挨拶したライダーと一緒に歩いていったと思う。ああ、あれから15年かぁとしみじみと、時の流れをかみしめながらニレの木を手で触れてみる。なぜかわからないが、こういう大きな木は不思議と力を持っているように手を通して感ずる。「15年振りにやってきました」とこれまた手を通して念波を送っておいた。
根元からニレの木を見上げる
しばらく木の上方を見上げて、もの思いにふけってみる。別に急ぐ必要はないし、明日夜には北海道を離れるわけだから焦らずに行こうではないか。
ニレの木を後にして、帯広へ向かう。珍しく市街地に行くわけは、豚丼を食べる為である。どこにでもあるものなので、帯広にこだわる必要などなかろうが、発祥の地ということで「ぱんちょう」で食べてみようと考えている。ついでに六花亭のサクサクパイも食べてみたい。そう思って国道38号線で豊頃の街を抜けて北上を続けていく。この辺りも道がまっすぐなのでそれなりの速度で走行していくが、後ろからT社のプラット(仮名)がえらく乱暴な運転をしている。というのも、前走車に追い越しをかけているのだが、全く周りを見ていない?のか、さらにプラットに追い越しをかけているN産の立方体に凶悪幅寄せをしている。立方体は危うく道路脇へ転落するところまで追い詰められていた。
さらにそのプラットは管理人に近くなってきたので、先に行かせてペースメーカに昇格させておいた。これで取り締まりにあってもコイツがやられるからな。そう考えたがすぐに広尾方面へ曲がっていってしまった。こうして幕別を通り、針路を西へ変えていく。ところで、幕別の駅前で休息して地図をみていると、女子高生達からまぶしい視線を感じた。多分自意識過剰というやつだが、「あんなものバイクに積んでばかみたい」とか言われているのだろうな。いいよ、俺は楽しいのだから。将棋の駒ではないが、笑わば笑え。
さらに走行再開で、札内からいよいよ帯広へ入っていく。ここからは珍しくもマップルの巻末にある市街地拡大図を使用する。これによれば、道道26号線沿いに六花亭とぱんちょうがあることになる。しかし両方ともいっこうに見つかる気配がない。一度駅まで来て、ああこの向こう側は昨年ホームセンターを探しにウロウロした場所だなと思いつつ、拡大図を確認する。すると藤丸というデパートの近くだと気が付いて、早速また戻っていく。デパートはすぐに見つかるが、どちらもさっぱりわからない。キョロキョロしていると、停車してあるFJR1300を発見。その先を見てみると、六花亭と書いてある。発見。しかし先に豚丼を食べたいので、ここにTDMを置いてしばらく駅方面へ歩いていく。そして洋品店で「ぱんちょうはどこですか」と尋ねてみると、「駅の通りまで出て、左に曲がるとすぐわかります」とのことであった。おばさんにお礼を述べて歩いていく。マップルもこういうところは精度がイマイチだが、ルートの組み立て等には最良の地図と思うので、仕方のないことだ。
ぱんちょうは教えてもらった通り、左に曲がるとすぐにわかった。時間的には12時過ぎなので、混んでいるだろうと思ったが偶然にも相席で座ることができた。ここの豚丼は松・竹・梅で肉の量が変わるという解りやすいものだ。あまり食べ過ぎると胃が重くなりそうなので、梅を注文した。地図を見ながら待っていると、後から客がどんどんとやってくる。人気店を実感するが、店の席数を増やさないで回転勝負のようだ。というのも、従業員は皆お歳を召したおばさんで、厨房を合わせても10人もいないくらいで店を回しているからだ。しかし、仕事に手抜きはないようで、接客も丁寧にお辞儀をしている。こういうところは人気が出ても味が落ちたりしなさそうなので、さらに人気がでてくるのだろう。大変だろうが、これからも味を守っていっていただきたく思った。
ぱんちょう入り口
そうすると、豚丼が運ばれてくる。そして「フタの裏に肉が付いていることがあるので、お気をつけください」と注意事項を述べて下がっていく。よくよく観察していると、お客さん全員にそれを言っている。ますます味への期待が高まる。いただきますと敬意を払って、肉に気をつけて丼のフタをとる。梅は4枚肉がのせてあるので、一枚食べてみる。タレは甘辛く、それほど濃い味ではない。また、炭火を用いて焼いているのだろうか、とても香ばしいく、よい風味だ。また、そのタレが染みたご飯も旨い。これならば竹にしておけばよかったと後悔しつつ、旨いなあと一気に食べてしまった。
豚丼(梅)
(上級のものは、肉が丼からはみ出していた)
お金を払う時も、おばさんはキチンとお辞儀をして「ありがとうございました」とお客を送り出す。ここはまた食べに来たい店だなと思った。さて、この後は歩いてTDMがある六花亭へ向かう。ぱんちょうからは600mくらいは離れているだろうか。ちょっと汗がでてくるくらいで到着して店内に入る。店内はとても清潔感があり、やや旅のライダーには場違いかと思った。そして、それは喫茶コーナーのある2Fも同様である。ウエイトレスの笑顔に迎えられて一番窓側の席に座り、メニューを見る。するとサクサクパイは限定数があると記載されているので、まだ残っているか聞いたところ、幸いにも残っているということだった。そこでアイスコーヒーとサクサクパイを注文する。
周りの人は何を食べているのかと見回してみると、ピザやらスパゲティなどの食事をされている方々ばかりだ。時間的なこともあろうが、観光客と地元の人では店の利用方法も違うというわけか。いや、地元の人の方がその店の旨いものを知っていると思われるので、次回は食事もしてみようかと考えた。
さあ、サクサクパイがやってきた。早速かじってみると、「サクサク」というか「バリバリ」パイと言ったほうが適切だろう。要するに歯ごたえがすごく良いというわけだ。これについて特筆すべきは、このパイ皮よりも中に入っているクリームであろう。質の良い牛乳をたっぷりと使用してあるようだ。やはり北海道の牛乳を使用すると旨くなるのだな。
六花亭玄関にて サクサクパイ
旨いものを食うと、また走りたくなる(キクマァッサァ~ムゥネェ~)、再び国道38号線に乗り、帯広の街を抜けていく。本当は八千代牧場などに行ってのんびりするとよいのだろうが、なぜか富良野でラベンダーを見たくなった。昨年は8月半ばに北海道ツーリングをしたので、他の花が綺麗であった。しかし、一面ラベンダーという状況をこの目で見ることも楽しかろうと考えたので、帯広の名所はまた次回にでも。
国道38号線での街中はストップアンドゴーの繰り返しなのでとても疲れるし、陽も出てきて暑くなってきた。我慢して走行して、そばで有名な新得を通過する。するとこの辺りから標高を上げていき、狩勝峠にさしかかるころにはすっかり涼しくなった。だが、霧が出ていて展望は全くきかない。マップルには「十勝平野を一望」と記載があるだけに残念だ。今年は随分宿題が積もってくるなぁと半分は嬉しく思いつつ狩勝峠を下ると、今度は夏の強い日差しが照りつけてくる。幸いに標高が高いだけに、暑さはそれほどでもないので助かった。
おちあいを通り、高倉健主演映画の鉄道員が撮影された駅である「幾寅」にやってくる。ここは2006年R1-Z氏と共に訪れている。写真や色紙がたくさん飾られており、また地元の人達がいかに撮影に協力したかという様子も伝わってきた。ところで、2006年のツーリング後にこの映画をDVDで鑑賞してみた。見てきたばかりの場所が登場するとはなかなか面白いものだったし、出演する広末が初々しかったことには驚いた。女は変わるので気をつけたい。余談だが、このリポート執筆中に元アイドルのノリピーが麻薬所持容疑で逮捕された。イメージとは怖いものだ。
この後は道道465でかなやま湖沿いの道を走行する。ほぼ毎日ライディングしているので、TDMとの一体感が増してきて、コーナリングが楽しい。特に左カーブで体を入れすぎて、ケツに乗せるべき荷重が抜けてしまっていた状況が改善されてきたことは嬉しかった。タイヤがキュッと内向力を発生する瞬間は、バイクとの一体感を感じる重要な一瞬と言えよう。
ワインディングを抜けると、国道237号線、通称花人街道へ突き当たるのでここは右へ曲がり、機首は北を向く。ここは2日目にも通っているが、雨降りなので、さっさと通過してしまっていたのだ。そして国道38号線へと再び合流して、ゴミ捨て場がある山部、2日目に寄った布部を通過する。この後は再び分岐する国道38号線でラベンダーの森へ向かう。
このラベンダーの森は、国道から少し入ったところにひっそりと存在する。少し上って駐車場へでると、マップルに記載されているように「一面紫色」に染まっている。ファーム富田ほどではないが、あまり人がいないところがイカシテル。早速バイクから降りて、ラベンダー園を歩いてみる。うんうん、これがラベンダーの香りか。トイレの芳香剤みたいにキツクなく、ほのかに、しかし確実に香ってくる。ところで、ラベンダーといえば「時を駆ける少女(原田版)」であろう。深町家の温室で栽培されており、また土曜の午後に理科室の掃除中に、落ちて割れたフラスコから漂ってきた香りもこれであったわけか。そういえば、当方が高校生の頃はまだ土曜の午前は授業があったっけ。柄にもなく、しばしラベンダーの香りを楽しみ、またそれにより力を抜いて休息する。
ラベンダー畑の一部
(俺のカメラにゃ大きすぎさ)
あまりボケッと時間を使うことはもったいないと思ってしまい、次の行動を考える。富良野で遊んで、今日は終わりにするか。いや、もう少し足を伸ばして北竜へ行くか。やはり北海道へ来たならば、ひまわりを見ておきたい。富良野は昨年も来ているし、明日の昼間は時間があるので天気がもてば立ち寄ることにしよう。ということで、国道38号線をheading270から300で走行し、芦別、茂尻、赤平(あかびら)、滝川と繋いでいく。途中後ろから地元ナンバーのニンジャに抜かれたので、好都合とペースメーカーにして後ろを快走する。この時に、偶然赤信号で停車したわけだが、その交差点の右上に警官とパトカーが見えた。おそらく信号無視を取り締まっているのだろう。この先に三角の旗を出す係りの警官がいたので、「その手にかかるか」と独り、ヘルメットの中で毒ついておいた。また、この赤平には製紙会社があり、その会社赤平製紙は「エリエール」というブランドのティッシュなどを生産している。そういえば、聞いたことのあるブランドだ。なるほど、北海道の会社だったのか。
さらに走行すると滝川だ。ここは市の名前を掲示する看板にグライダーが描かれている。ああ、管理人がよく閲覧する、ある一般商業航空パイロットのページに、しばらく滝川に滞在と記載してあったことを思い出した。なるほど、この時期にここでグライダー曳航の仕事をしているというわけか。滑空場は石狩川沿いにあるようなので寄っていきたいが、ひまわりも見たい。ひとまずここも宿題か。
滝川に未練を残し、国道257号線を北上して雨竜から北竜へ到着。いつものひまわりの里であるが、この時期の咲き具合はいかがかな。おお、ちょっと早い気もするが、一番上の畑と一番右手の畑が満開だ。やるじゃん、管理されている方々のご苦労のお陰でしょう。ありがとうございます。
早速駐輪場にTDMを停めて、ひまわりの方へ歩いていく。あれ、今年は自転車が有料か。無料だとぶっ壊していく人がいるので、今年は新たに調達して有料にしたと但し書きが出ている。まあ、仕方ないね。ということで、歩いて畑を周ることにする。普段は鍛えているとはいえ、結構疲れるなぁ。今日は既に300㎞くらいは走行しているので尚の事きつい。自転車を借りておけばよかったが、後の祭りとはこのことだ。カラムーチョを食べてもいないのにヒーヒー言って畑の真ん中の一番高い位置へやってきた。そして、昨年のように数枚に分けてパノラマ写真を撮り、しばし黄色い花を眺めて休息する。
今年も見事に咲きましたね
上記写真の右端から見下ろす
ひまわりという花はとても明るい印象を受ける。女性に例えるとやはり、大学時代のI上氏がもっとも管理人のイメージに近い。今思えばもうひと息で良い関係になれたかもしれないし、実際周りの親しい友人は「なぜそうならなかったか」が不思議だと思っていたことが、最近判明した。まったく惜しいことをしたものだ。ラベンダーのような可憐な方も好みではあるが、どちらかというとひまわりの方が好きだ。もっとも、高校時代に好きだったあまKさんは可憐で眩しかった。そいういう方、このオッサンにも救いの手を(何の救いだ?)。
さて、それにしても今日はよく走ったし、よく歩いた。ヘトヘトである。今日の宿泊はどうしようか、全く考えてなかった。今晩は今回の渡道最終夜であるから、恒例の富良野のクレッセかと電話で宿泊可能か確かめてみる。すると「満員です」とあっさり選択肢から落ちてしまった。さて困ったなぁ、既に17時を回っている。マップルを検索して、別の選択肢を考える。すると、ここから5㎞程の場所に金毘羅公園キャンプ場があることを発見した。明日は早い時間なら雨は降らないし、ここは日本海に近いので霧は出ないだろうと判断。最終夜にして最初のテント泊とすることに。いろいろとあり、ライハばかりに泊まっていたが、最終夜くらいは独りで静かに北海道の夜を満喫したい。ちょっとライハは飽きていたので丁度よいではないか。さらにライハはどうしても相部屋になるので、他人に気を遣う必要があることに少々うんざりしていたところだ。管理人は自分本位な人間なので、尚のことだ。さらに、北海道に来て一度もテントを広げないなんて、一応キャンプツーリングを標榜して渡道している政策に反する。こうなれば話は早い。
まずは国道を来た方向へ戻り、「和」という名前の交差点を右折する。丁度ホクレンのスタンドがあるので、給油を済ませておく。だいたい26㎞/Lを維持しているので一安心。こうして道道94号線を西進していくと金毘羅公園の看板が出ていた。こちらを右に曲がり、少し丘を上ると駐車場で、さらにその目の前の少し高くなっているところがサイトだ。駐車場にある、京都ナンバーのZZR250のオーナーのものと思われるテントが既に張ってある。管理人もこのテントからちょっと距離を置いて、設営を開始する。久々のテント組み立ては要領を得ないが、一応このテントも5年くらいは使用しているので、全くの素人ではない。それなりの時間で設営を完了することができた。
さて、疲れたので少し休みたいが、風呂に入りたい。マップルで一番近い温泉を探すと、ひまわりの里のすぐ向こうに「サンフラワー北竜」という道の駅に温泉があると記載されている。時間は17時45分なので、まだ営業しているだろう。再び道道から国道へ入り、さらにひまわり畑を横目に温泉へ行く。この際、「和」の交差点にあるコープの店をチェックしておくが、温泉でゆっくりしていると閉店してしまう。ダイバート先を考えつつ、ともかく温泉へ。ところで、このサンフラワー北竜は温泉と共に、宿泊施設も営業していた。
やれやれ、やっと温泉に浸かることができる。料金500円を支払い、温泉に入る。ここはシャンプーも用意されており、内湯と露天風呂があるなんともお得な温泉だ。もちろん管理人は露天に浸かるわけだが、あーーーーー、腰と肩のコリが緩んでいくぅ~。まったく温泉万歳だ。おりしも夕日が沈んでいくところで、日没を眺めながらの入浴とはまったく、一日の疲れも吹っ飛んでしまうよ。いや、もう骨抜きにされてしまうくらいにリラックスしてしまった。かなり疲れているようなので、とにかくしっかり休息してから代替案を考えよう。
結局風呂から上がった19時を回っていた。先にも記したように、自分で考えていたよりもずっと疲れており、靴を入れたロッカーまで忘れてしまった。幸いにも受付のお姉さんが「こちらでは」と場所を教えてくれたので、事なきを得た。コリャダメだ、自分で飯をつくることは諦めよう。またまた受付のお姉さんに食事をするところがないか尋ねると、施設内のレストランを案内していただいた。これは好都合なので、それで決まりだ。行き当たりバッタリの旅は楽しいが、ケツ合わせはしっかりできないと話しにならない。2輪車の総走行時間は6000時間程度を積み上げてきたが、キャンプツーリングライダーとしてはまだまだ初心者の領域である。
さて、この施設内のレストラン「風車」は地元の食材を使用した食事を提供している。管理人はスープカレーを注文してみた。このスープカレーは最近は富良野の名物と称され、北海道全般に広がっているようだ。また、ここのものはご飯に地元の雑穀を混ぜた赤飯風のものを提供している。よく噛むと味が出てくるので、カレーと合わさってなんともおいしい。カレー自体もケバケバしい味がなく、とてもマイルドなもので好感が持てた。
食事をしながら今日の一日を振り返る。霧の未舗装路、広大な十勝平野、帯広の市街地、富良野、そして北竜とその距離以上に変化に富んだ走行だったなぁ。加えて今日は今回の最終夜ということで、疲れも出てきている。気をつけていかないとね。
レストラン「風車」のスープカレー
(終わりの挨拶は乙カレー)
帰り際に明日の朝飯はどうするかと考えていたら、売店に地元の材料で焼かれた食パンが販売されていた。これまた好都合と、飲み物と一緒に購入してテントに戻る。時間は20時ちょっと前なのですっかり周囲は暗くなっており、肌寒い風が吹いている。また珍しくも星が出ているので、ちょっと楽しみだ。そういえば、昨日は日食であったようだが、霧と風ですっかり忘れていた。
国道から「和」交差点を右折すると、コープは既に閉店していた。いや、実はそんなことは問題ではなく、キャンプ場へ無事にたどり着くことができるかどうかが、不安だ。この当りは街を少しでも外れるともう真っ暗で何も見えない。ポツポツと建つ家の明かりのみが目印だ。40km/hくらいの速度を維持して、キャンプ場入り口を示す看板に注意しながら道道を走行する。
シールドに当る虫がいささか気になるが、キャンプ場入り口の看板を発見して丘を上っていく。駐車場に到着して、テントへと歩いていく。ZZRの方は既にお休みのようなので、なるべく物音を立てないように注意する。全くの余談だが、トムとジェリーの第二話目のエピソードで、囚人がアルバイトに出された先の住人が、冬眠するから絶対に音を立てないように見張りを頼むというものがあった。
そんなことを思い出して、一人で笑いをこらえつつテントに入る。横になってラジオをつけてメモをまとめておく。ついでに腹に余裕があるので、先ほど購入したパンをかじって紅茶も飲んで極楽だ。ちょっとトイレに出てみると、星が綺麗に輝いている。もちろん天の川も良く見える。ところで天の川は我々の太陽系が所属するほしのあき、いや星の集団である小宇宙であるが、その中心はいて座付近にある。このいて座は夏に見える星座なので、丁度あの辺りかなと思いを馳せてみた。べつにロリエロ隊長に想いを寄せているわけではないので、ここで断っておく。
ところで、トイレの方にもサイトが広がっており、こちらの方が芝の具合が良いことに気が付いた。こっちにすればよかったとは後の祭りである。因みにそれを見越していた方がみえたのだろう、カワサキのZR-7Sという渋い選択をされた方が、管理人と同じテントを張っている。結局このキャンプ場では3組が同じテントを使用しているということか。相当に売れ筋テントらしい。値段と前室の広さが売れる理由なのかもしれない。
こうしてやっと横になることができ、ラジオの音をBGMにマップルを見て最終日のフライトプランを検討する。もちろん天気次第だが、滝川でグライダーを見るか、富良野に行って散策するかというところだろう。こうして久々に独りきりの楽しいひと時を過ごしていると、21時ごろに2気筒車の音がキャンプ場に近くなってくる。なんだろうと思っていると駐車場でエンジンが止まり、ガサゴソと音がする。どうやらテントを張っていたようだ。この時間まで走行していたということか。お疲れ様でした。
今宵は寒くもなく、温泉でしっかりと暖まったのでホカホカと気分が良い。疲れたせいもあり、22時頃には就寝した。
本日の走行 330km