WRT秋の定例新そばツーリング

 

2014年10月19日

 

ふもと屋入口にて

0.御嶽山

 

ご存知のように、2014年9月に御嶽山が噴火した。これは2007年の小規模な噴火以来のものであり、その前は1991年、その前は1979年だそうだ。さて、この1979年の噴火であるが、当方はまだ小学校に上がったばかりの出来事だったが、よく覚えている。その理由は、この噴火の前は5000年程前で、御嶽山は「死火山」と思われていたからだ。御岳山が噴火するとは、誰も予想していなかったというわけだ。

 

ところで、この山の麓には父親が勤務していた製鉄所の保養施設があり、1980年代にはよく連れて行ってもらった。そしてそこの玄関に、火山灰が瓶に入れて展示してあった。ただ、当方はその意味がよくわかっておらず、火山が噴火すると火山灰が降るのか、程度に考えていた。

 

話は変わって、我々WRT連合会は、毎年秋になると御岳の麓にそばを食べに出かける。今年は前述の火山の影響により別の場所へ行くのかと考えていたが、W氏よりいつも通りに、開田高原へのフライトプランが提示された。同高原にある「ふもとや」へ、とうじそばを食べに行こうというものだった。「大丈夫か?」と思い、現地の店のHPを調べてみると、「問題無いからぜひ来てください」と記載があった。そういうことなら、行かない手はない。観光が主な産業である地なので、この件で訪れる人がかなり減っているはずだ。それならば、我々がそばを食べに行って復興に協力することは、募金より効果があるはずだ。

 

1.集合

 

当日は朝8時に集合だったが、うっかりと寝過ごして7時30分に起床、慌てて運行前点検とエア圧調整を行い、7時40分に自宅を出発した。さらに途中で32ポンドの燃料を搭載して、遅れる旨をW氏に伝え、道の駅しなのへ向かう。

 

本当はぶっ飛ばして行きたいところだが、こういう日に限って取締りが怪しいので大人しく走行し、8時30分頃に到着した。W氏はどこかと探したら、後ろからT-MAXのW氏がやって来た。一緒に遅れたのかと勘違いしていたが、「帰ろうと思った」ということで363号線を下っていたところ、当方とすれ違ったので戻ってきたそうだ。

 

誠にご迷惑をおかけしました<(_ _)> 

 

いつものように近況の報告をし合い、ハーレー氏の話題などで盛り上がる。

 

W氏のニューマシン

T-MAX530

 

2.出発

 

当方の遅刻により時間が迫ってきているので、早速出発する。さて、W氏のニューマシンであるT-MAXだが、ピカピカの新車である。氏の機材とでぃての位置づけは、ドカがサーキット&スポーツ走行専用、そしてT-MAXはツーリングと通勤専用だそうだ。因みに、今まで使用していたマジェは下取りに出したとのこと。スクーター人気は続いているので、良い値段で売れたようだ。

 

まずは国道363号線で我が母校の下を通り、標高を上げていく。その際、途中の瀬戸品野I.C.出口の交差点で信号停車すると、「あの丸高自動車では友達が世話になったんでしょう?」と聞かれたので、「3名ですよ」と答える。以前お話ししたと思うが、我が母校からここまでは急カーブが続いていて、曲がりきれずにコースアウトする者が後を絶たない。友人の梅さん、猛君、アマンQもその中に含まれているというわけだ。因みに当方は、梅さんのワンダーシビックの助手席に乗車していて、第2コーナーで恐怖を味わったことがある。

 

そして、壊れた車は自動的にこの交差点の角にある、丸高自動車へ入庫されることになる。そのおかげだろうか、自動車屋は立派になったのだ。

 

懐かしい思い出に浸りながら、気持ちよくワインディグを走り抜けていく。今日も機長はW氏なのだが、いつもと後ろ姿が違うので違和感を感じる。彼のニューマシンであるT-MAXであるが、ちょっと背の低いバイクというところだ。実際はスクーターなんだけどね。また、幅が5cm以上もあるベルトで駆動されているリアタイヤは、太さがTDMと変わらない。マフラーからも「ブフォブフォ」となかなか良い音がする。エンジンは並列2気筒なので、TDMの弟みたいなものだ。尚、乗っている本人の壇れいでは、「ホンダの4スト原付みたいな音」だそうだ。

 

2.回り道

 

国道363号線は交通量も少なく、いつものように超快走路だ。45ノットでかっ飛ばしていくのだが、基本的に森の中を通りうねっているので、取締りに怯えることは少ない。ただ、事故は多いようなので、やはり気をつける必要がある。

 

さて、いつもならば曾木辺りで「エイ69号線」に乗り換えて、陶市街地を通り県道66号線のらっせい街道を東へ進むのだが、今日は国道363号線を走行していく。そして、一旦岩村の市街地でシケイン状に走行した後、田園風景が美しいと言われる殿町地区に入る。

 

ここにはその風景を眺められるように、展望台まで設けられている程だ。しかし、位置的に中途半端であるし、やたらと混んでいるから立ち寄る気にはなれない。W氏も同様に思っているようで、今回も素通りとなった。

 

この区間を過ぎると、いよいよ山道本番という雰囲気になってくる。さらに標高を上げつつ、森林の中をマイナスイオン出まくりという感じである。そして根の上峠へ到達する前の区間は、ウネウネしていて楽しく走行できる。前回のツーリング記でも記載したように、舗装も新しくなったので安心して攻められるようになった。問題は、調子に乗らないようにすることだ。

 

さて、根の上峠を下ろうと思うと、その先の恵那市街地までは通行止めの看板が出ている。そこで、W機長に続いて根の上高原へ入っていき、途中の保古ノ湖で一休みする。高原はちょっと山深い場所にあるので、気温が下がり気味だ。もちろん、そうなるとトイレが近ので、W氏と当方は揃って水分を放出する。

 

因みに、W氏はカフェインの強いものを飲むとトイレの回数が倍に増えるそうで、こういう時は摂取を控えるそうだ。一方当方は、医者から「お茶をたくさん飲んで、ションベンを薄めてたくさん出せ」と言われている。その方が腎臓には良いそうです。

 

3.まさかこんな所で

 

この先、国道363号線は災害通行止めなので県道413号線で山を下り、国道19号線へ出てそのまま北上していく。次の休息ポイントはオオクワ301ではなく、道の駅大桑だったが、急遽賎母でピットインすることになった。到着するや否や、W氏はトイレに猛ダッシュしていく。先ほどのカフェイン摂取の話の通りだよ。

 

やれやれと一休みして、ニューマシンのT-MAXについて話していると、あるライダーから「管理人だろう」と突然声をかけられた。「え、何で俺の名前を知っているのか」と思ったが、「ZX14だて」と教えてくれたので、「あああ、中学生の時の」と記憶が蘇った。それにしても、彼もオッサンになったなぁ、って俺も同じだけオッサンになっているということだよ、ヤマトの諸君。

 

まさかの再会の図

 

ZX氏は「お前がバイクに乗っているとは思わなかった」ということだが、当方は中学時代は真面目君のフリをしていただけなのさ。実はこういう乗り物大好きなんだよね、と当時の話題で盛り上がる。また、仲間の近況について情報を交換していると、T氏が失踪したことは周知の事実らしい。家に重荷を背負わされた彼は、大変な心労だっただろう。

 

ひとまず今日は連絡先を交換し、各々の目的地へ進む。また近いうちに走りましょうということで、そのまま19号線をさらに北に進んでいく。中津川を抜けて、木曽福島に入る頃には御岳山の山頂が見えて、水蒸気のようなものが立ち上っているところが見えてきた。

 

普段は雄大な山という印象しか持っていなかったが、火山というものは脅威だ。そう思いながら県道508号線、20号線と繋いで我らが尾張地区の水源である御岳湖を通過して行く。すると、御嶽山はさらに大きく見えるようになり、王滝村の集落に入る頃には少々硫黄臭がしてきた。

 

ちょっとビビりながらもワインディングを通り、「霧しな」の工場前を通過する。なんだぁ、森林鉄道が展示してある向かいのあの店は、ここであらかじめそばを製造しているのか。ちょっと興ざめだと思いつつ、国道361号線に乗り換え、山がよく見える展望台に到着する。

 

もちろん御嶽山は目下噴火中であり、噴煙なのか、水蒸気なのか、空に向かって昇っている。ただ、我々がいつも通る道はちょっと硫黄臭く、煙臭がする程度である。なるほど、噴火はしているが、観光地自体は何も問題がないということか。

 

御岳山を見上げるW氏と見知らぬライダー氏

 

火山の脅威からちょっと無口になってしまったが、再び走り出して開田高原の中心地へ向かう。噴火の影響だろうか、メインストリートの交通量もまばらである。

 

4.ふもと屋

 

エネオスのスタンドを右折してS字カーブを抜ければ、我々が目指す「ふもと屋」である。履物の数を見ると結構な人数が入っているようだが、その中は広いので空き席はいくらでもある。席をどこにするかと迷っていると、店員のおばさんがやってきて「ざるそばはつゆが終わってしまったので、とうじそばでよいですか」とたずねられた。いやいや、今日はとうじそばを食べに来たので、全く問題ありませんよ。

 

席に着いて、とうじそばを注文する。するとおばさんから、「ライダーは大盛りサービスがありますが、どうされますか」とたずねられたので、もちろん二人共に大盛りとしたことは言うまでもなかろう。

 

そばを待つ間、窓越しに空を眺める。今日は実に天気が良く、気持ちのよい日だ。抜けるような青い空とはこういうことを言うのだろう。思うに、こういう日は一年で何回あるだろうか。いつも記述しているように、春に1回、秋に1回というところか。ただ、気温的にはちょっと寒いので、完璧なツーリング日和ではないところが残念だった。まあ、今年は週末が雨の日が多く、なかなか出かける機会が無かったのでしょうがないでしょう。来年は天気が良いといいなぁ。

 

しばらくすると、カセットこんろとだしをはった鍋が出される。関係ないが、今年の大河ドラマに「だし」の役名で出演していたのは桐谷美玲である。本名は松岡さや紗だそうだ。さて、鍋の中身をよく見てみると出汁だけでなくネギ、アゲ、(布土、河和口)が入っている。どうやって食べるのだろうかと期待していると、続いてラクロスのミニチュア網のよなものと、割子状になった大盛りのそばがやってきた。

 

鍋と管理人

(ラクロスのミニチュア網と共に)

 

なるほど、この鈴木網に鍋の中へ入れて、しゃぶしゃぶのようにそばを温めて、ネギやアゲを一緒にすくってお椀に入れて食べるのか。店員に教わった通りに食べてみると、なんとも素朴な味だ。山の料理なので、派手さもない。因みにそばは田舎そばでなかなかおいしいのだが、だしがやけにしょっぱいのが残念だった。いや、あまりだしに浸しすぎてはいけないということだろう。江戸蕎麦のつゆみたいなものだ。

 

食べ方もわかってきて美味しく食べていたら、大盛りが結構な量であることに気がつき始める。最後は少々苦しみつつも完食。「そばをすくってから食べるので、結果として時間をかけて食べたことが、この満腹感の源だろう」とはW氏の壇れい、いや談である

 

5.暖かいうちに

 

少々重たい腹を抱えつつ記念撮影をし、ふもと屋を後にして午後の走行を開始する。さて、店の前の細い道から国道361号線へ戻って行く途中、前述のようにヘアピンS字カーブがあるのだが、W氏がここでちょっと危ない目に遭う。前をよく見ていないで、自分のライディングに酔いしれたZRXが突然W氏の正面に現れ、「ビク」とえらい派手にびっくりしていた。あれは下手すれば、ビックリブレーキで転倒だったかもしれない。

 

この先は御岳の北側へ回る予定であり、燃料補給地点がしばらく無いので、T-MAXは件のエネオスで燃料を搭載する。この後、通り沿いのアイスクリーム工房へ寄って「アイスナメナメ」をしたい、と当方がリクエストを出す。しょうがないねぇという感じでW氏も付き合わせてしまった。まあ、それはそれでよいのだが、スタンドから高山方面へ向けて走り出すと、イヤホーンをしてスマホを触っている小僧が道に飛び出してきて、W氏と接触しそうになった。さっきのZRXと言い、殺されたいのかと聞きたくなる。W氏は受難の日かもしれない。

 

前述のアイス工房で、当方お気に入りの「とうもろこしソフト」をナメナメする。うーん、この牛乳の味ととうもろこしの味が混ざり合って、何ともかんとも言えないぐらいにうまい。いやあ、その昔は「あまい」と「うまい」は同義語だったこともあるようだし、現在でもそのように使用している地域もあるようだが、このソフトクリームを食べるとそれはそうかもしれないと実感できる。

 

独りで納得しつつ、ちょっと紅葉には早いが、少しずつ色づき始めている高原の道を走行していく。しかし、今日はT-MAX号は慣らし運転中なので、W機長も回転を抑え気味に、ややのんびりと進んでいく。なんだか我々もこういうツーリングが似合うようになってきたのだろうか、飛ばすと疲れるし危ないのでちょうど良いのかもしれない。

 

国道361号線の木曾街道を磁方位220°で進んでいくが、この道は川やダム沿いに通っており、楽しいワィンディング路である。途中、道幅の狭いトンネルもあるので、十分に気をつけながら走行を楽しむ。

 

さて、ここで見落としてはならないものがある。高根地区のガソリンスタンドのタイヤ棚に、超古いブリヂストンマークがあることだ(マニアック過ぎることはご勘弁を)。これは以前にW氏が発見したのもで、今日も二人してよそ見をしながら、そのスタンドの前を通ったことを告白せねばなるまい。

 

こうしていくつかのダムとトンネルを過ぎて、道の駅 ひだ朝日村で休息をとる。そして、ここでも最初に向かうのはトイレである。思った以上に山間部の走行は冷えるものだ。膀胱フルタンク一歩手前の状態で余計な水分を放出して落ち着き、温かい飲み物を手にして引退したハーレー氏の話題など、何とも楽しい時間を過ごす。

 

6.日没に負けるな

 

くだらない話でついつい盛り上がってしまい、気がついたら時刻は既に16時前である。秋の陽はつるべ落としであるので、先を急ごう。道の駅を出たらすぐに、先日W氏が開拓した飛騨農道街道を走る。因みに、この道は高山市郊外の国道158号線から始まっていて、この朝日村で国道361号線を渡り、国道41号線まで繋がっている。そして、この道は国道を渡る前が前半、朝日村からを後半と呼ぶことができ、その正確が全く違う。前半は低中速コーナーの連続でタイヤの角を使って走るのだが、後半は高速コーナーが連続しており、平均速度が高い。そのせいだろうか、W氏もここは結構な速度でカッ飛んでいく。おおっと、新車のT-MAXだが、腹を擦っていますよ。

 

国道41号線へ合流する頃の時刻は16時過ぎだが、陽が傾いてきて山で遮られてしまった。気温も急に下がり出し心細くなる時間帯だ。しかし、高山線の「渚駅」があったことを思い出し、「なぎさーへ行こう」と独りで歌いながら国道をを南下していく。

 

落ちゆく太陽に負けないように下呂市街を抜けて、郡上から繋がる国道256号線との交差点にさしかかる。ここには以前、古いドライブインがあったのだが、昨年ヤマザキデイリーストアに変わったようだ。当方としては、あの古びた建物の方がアジがあって良かったと思っているが、他の皆さんはいかがだろうか。

 

さらに南下して、別のデイリーストアで休息をとる。少々冷えてきたので温かい飲み物で水分補給をしつつ、御岳の感想を話し合う。その中で、当方は「火山灰はそれほど無かった」と思っていたのだが、W氏より、実はかなり降っていて、道路も滑りやすい所があったよと教えてもらった。ええ、そうなのぉ???俺が鈍感なだけなのだろうか。

 

17時過ぎに走行を再開するが、周囲はかなり暗くなってきた。管理人はこういう季節のこういう時間帯が苦手で、グッと胸が苦しくなる。暖かく照らしていた太陽を失い顔に当たる肌寒い空気、また同時に明るさも無くなり、恐怖にも似た感情を覚えるのだ。

 

泣きたいような(実際に泣くことはないぞ)気持ちを抑え、国道41号線をheading180で走行していく。日没には負けないぞ、と自分に言い聞かせて集中力を維持する。すると、白川の街が見えてきた。ここまで来れば少し安心感が出てきた。国道を離れ、県道68号線を追いかけて中野方峠を行く。既に真っ暗だが、先導機長のW氏は、新型T-MAXの型式限定取得訓練中にも関わらず、切れ味よくコーナーを抜けていく。T-MAXは昔から走りの良いスクーターを謳っているので、新型も性能は高いようだ。

 

峠を越えて、恵那市側へと下っていく。こちらは道路の改良工事中で、ゆくゆくは2車線化されて快走路になりそうだ。期待大である。

 

後はいつも通りに国道418号線、66号線と走行して帰宅した。意外にも400km超えだったとは驚いた。

 

本日の走行 415km

 

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