FITのフロントブレーキパッド交換

 

2009年5月10日

 

 

取り外した古いパッド

(まだ使えそう? なんで減りにこうも差があるの?)

後日オークラ氏より、「経験上この程度の差はよくあるよ」との助言を頂いた。

 

0.4輪の面倒もみてますよ

 

当方はどうも2輪一色で生活していると思われているらしい。雨の日なんかでも「今日もバイクで来られたのですか」なんて聞かれることが頻繁にあるのだが、いやいや、そんな根性はありません。雨の日は4輪です。そう、私の機材群にはれっきとした4輪車、ホンダ式GD1型機(フィット 1300A)が存在しているのだ。米を買いに行ったり、友人と食事に出かけたり、法事等で親戚の家を訪ねたりと実用本位な用途が中心ながら大変重宝している。昨年の燃料高も街乗りのみで14/L、高速を使用したり、遠出などで信号の少ない道を走行すれば17、8/Lという数値を平気で叩き出してくれる高い燃費性能のおかげで、大変助かった。

 

この燃費の良さの由来はエンジン特性とCVT性能の融合にあるようだ。エンジンはもっとも燃焼効率に優れると言われる最高トルク発生点を2800rpmと非常に低いところとし、さらにCVTは減速比がおよそ3から0.45と特にトップ側に幅が広い。つまり低い回転数でも最高に近いトルクを発生しているので、CVTの減速比が比較的高い領域で走行してもエンジンがノッキングを起こすこともない。故に燃費性能が優れているのだ。例えば、60/hを変速比がトップ領域で走行しているとすると、エンジン回転数は1300rpm程度である。

 

また、この幅の広い減速比は発進加速などにも有利に働くことは言うまでもなかろう。また、CVTはその名の通り無段変速機なので、非常にスムースに作動する。そしてスロットル開度を最小限に保つなら、比較的早くトップの領域まで変速させることが可能だ。つまりゼロ発進時でも素早く加速することができ、一旦巡航速度に落ち着けば今度は燃費重視の走りを可能にするというわけだ。

 

燃費の良さだけがフィットの良さではない。曲がる、止まるの性能も平均以上、いや下手なスポーツカーならば互角に渡り合う性能を持ち合わせている。走るについてはやはり燃費重視のエンジンとCVTの組み合わせであるので、平均値と言わざるを得ない。しかしスポーツ走行自体は可能だ。エンジンパワーは少ないが、前述の減速比の広さのお陰でそこそこの動力性能を発揮する。FITのCVTにはSモードというものがあり、これを用いれば、エンジンが最高出力を発生する5000rpm以上まで引っ張っていくことが可能である。また、このパワーの無さとダルさが素人には運転しやすいという側面も見逃すことができない。

 

スポーツ走行でFITを際立たせるのはやはりボディ剛性の高さだ。この手のファミリーカーとしてはかなり高い速度でコーナリングをしてもボデーがよれる感覚は全く無い。その前にタイヤが音をあげてしまう。その後サスペンションストロークに限界がやってくるという順番だ。もっとも当方の腕ではそこまで追い込むことは出来ない。

 

この高剛性ボデーは何度か別項でも記載している通り、ホンダ鷹栖プルービンググラウンドに由来している。ここは世界一過酷なサーキットと呼ばれるドイツはニュルブルクリンクを参考にテストコースが建設されている。おそらくここでは徹底的に走り込みテストをしているのだろう、ホンダ車のボデー剛性はこの施設完成後、飛躍的に向上したようだ。フィットも例外なくここで鍛えられたものと推測される。

 

ブレーキについても、機構的には標準的なものであるが、車重が1300Aグレードの場合990kgと軽量であり、かつブレーキブースターのアシスト効果が高い設定となっているので、いとも簡単にABSを作動させるほど強力な制動力を発揮してしまう。

 

1.パット購入

 

長々とフィットのインプレを語ってしまったが、これらは「あばたもえくぼ」的な主観であるのであまり参考にならないと告白しておく。ところで今日の作業であるフロントブレーキパッド交換であるが、実は4輪車のものを交換すること自体が管理人初めてのことである。いままでは何でか知らないが、そのような機会に恵まれなかったのである。そいういうことで一応ネット等で手順を確認しておく。どうやら2輪の場合と違い、キャリパー本体は取り外す必要が無いようだ。というのも、キャリパーが2分割構造になっており、パッドのみを固定する部分だけが脱着可能であるからだ。

 

構造的に理解ができると話は早く、部品の調達にかかる。純正部品をディーラーから仕入れることが最も良い選択肢であるが、そんなに親しくもないので、ネットショップで日清紡製のものを1セット3129円で購入することに決定した。日清紡というと日本を代表する織物メーカーであるが、現在では業務多角化で業績を伸ばしており、自動車部品も手がけているということだ。まあ日本のメーカーだし、OEM品としても納入実績があるようなので、迷った挙句に2セット注文した。なぜ2セットかって? 片側を1セット(2枚)と勘定して2セットというわけだよ、ヤマトの諸君。

 

早速部品が到着したので開封してみると、2箱同梱されている。そのうちの1箱を開けてみると4枚のパットが入っているじゃん。あれぇ???2輪の場合は大抵1セット=2枚で販売されており、当方のTDM号はダブルディスク装着車なので2セット購入する。値段は1万円くらいだ。その感覚で「ああ、片側で3129円X2=6528円」妥当な値段だなと思い、何の迷いもなく2セット注文したのである。ところが、なんのことはない。両輪分(4枚)で3129円だったとは。激安ジャン。商品の表示写真を確認すると確かに4枚写っている。しかし「イメージ図です」と但し書きがしてあるので、前述のように解釈したわけだ。だいたい世の中厳しいもので、4枚で3129円だなんて考えてもいなかった。もちろん店に文句も言えないので、何のことかね?と独り寂しく涙をのんだ。

 

ここで一つ思い出すことがある。R1-Z氏の「課長のG.B.2年も飲んでました事件」だ。もう何回も蒸し返しているので詳細は割愛するというか、「あんたも人のこといえないだろう」と突っ込まれることは必至だ。この事件の発端は

 

・R1-Z氏の前の会社が、福利厚生の一環でインスタントコーヒーを支給していた

・転職先の会社である、管理人の会社の女性社員が「自由に飲んでよい」などと紛らわしい発言をした

・コーヒーを飲まれていたT課長が無頓着であった

・T課長の計らいで、泳がせてもらっていた

 

という諸条件とR1-Z氏の「コーヒーなんて会社が支給するもの」という思い込みが偶然にも重なり、事件に発展したわけだ。もっとも課長も最後の半年程は「何かおかしい」と感づいていたそうだが、慎重に捜査をするためにも氏を泳がせてくれていたのだ。

 

管理人も思い込みにより、現時点では不要なパットをもう1セット余計に購入してしまったのだ。しかも商品が届いて封を切るまで何の疑いも無く、俺が正しいと思い込んでいたわけだ。まったく間抜けな話しである。存分のネタにしていただきたい。

 

2.旧品取り外し

 

管理人はアパートの一室で独居しているので、ガレージなどという大そうなものは所有していない。よって整備はいつも青空の下、天候に大きく影響を受けながら行うことを常としている。それにしても今日は暑いなぁ。なんでも真夏日になるそうで。対策は帽子をかぶることくらいで、他は何もできない。

 

ところで、整備をする際はまず平らな地面を確保しなければならない。管理人の使用している駐車場は3度くらいの角度がついているので、2台向こうのそのまた向こうの敷地を利用して整備を行う。念のため弁解しておくが、その部分は共有スペースであり、かつ当日は他の住人もいなかったので当方が使用させていただいたというわけだ。

 

車両を移動したら、ホイールキャップを外し、ジャッキアップ前にホイルナットを先に緩めておく。これはなるべくジャッキポイントに負担をかけないためだ。ひどい場合ボデーが歪んでしまうこともあるらしいので、注意が必要だ。

 

その後指定位置にパンタグラフジャッキをかけて車体を持ち上げる。関係ないが飛行機にもジャッキとジャッキポイントがあることをご存知だろうか。先にも記したが、FITは装備重量で990kgであるが、飛行機の代表であるボーイング747型機(ジャンボ)の最大離陸重量は400トン弱である。空重量でも300トン弱くらいはあるのかな?そんなものを持ち上げるジャッキっていったい。

 

ジャッキアップの図

(タイヤが置いてあるが、これは万が一ジャッキが外れた時の保険)

 

さて、タイヤが浮き上がるまで車体を上げていくが、FITの場合はホイルベースが短いこととボディ剛性が高いこととが相まって、リアタイヤも一緒に浮いてしまうよ。この後完全にホイルナットを緩めてタイヤを外すわけであるが、これがなかなかの重量があるので腰を痛めないように注意が必要だ。そうするといよいよブレーキキャリパーが顔を出す。長年のブレーキカスの蓄積でかなり汚れているので、パーツクリーナーでおおかたの汚れを落としてからパット部分を固定しているボルトを緩める。あれ、緩まないよ。よく見ると、ボルトを締めつけているところにナットがあるではないか。こっちも回り止めにスパナをかませておくか。ボルト側のメガネレンチを何度もトントンと手で叩いてやっと緩んだわけだが、手がうっ血してしまった。暫くするとアオタンになることは間違いない。

 

こうしてやっとパット本体を取り出すことに成功した。観察してみるとずいぶん片減りしている。FITのブレーキキャリパーは片押しの1ピストン式なので、ブレーキ作動時の圧力の関係上ピストン側の減りが早いようだ。摩擦材磨耗時に、運転者にパットが減っていることを知らせる、ディスクに触れて「シーシー」と音を出す金属の出っ張りもこちら側のパットのみに装備されている。それにしてもゴツイ張り出しだ。これを削って警告音を出なくすればまだ使用可能だろうかと卑しいことを考えてしまった。

 

 

 

おなじみの新旧比較

出っ張りを削ればまだいけそうだ?

 

この後ピストンを軽く清掃しておく。このピストンは錆よけとゴミ進入阻止のためにゴムブーツが履かせてある。オフ車のものもこういう構造になっているのだが、4輪の場合放かっておく時間が長いので冗長なまでに保護がされているのだろう。確かに信頼性は大きく向上する。そしてこのブーツに軽くシリコングリスを塗布してから、憎たらしい奴のことを思い出して渾身の力を込めてピストンを押し戻す(死ねぇ〜M中)。

 

3.新品装着

 

ひととおりの清掃が終了したら、今度は新品のパットの準備をする。まずはお得意の面取りだ。4輪用は2輪用の2倍近い圧さがあるので削り応えがあるが、如何せん今日は暑い。必須項目ではないので、バリ取り+アルファ程度で完了とする。次に古いパットに取り付けてある裏金を移植する。裏金といっても役所のあれではない。俗に言うシムというやつだ。げげ、ピストンに押される側のパットは2枚も裏金があるぞ。しかもしっかりと固めの金属グリスが塗ってある。2枚も裏金がある方が音が出やすくなると思うんだけどなんでだろう?熱の伝達を妨げる役目に重きを置いているのかもしれないね。

 

パットの裏金

(やや黒っぽいところはグリス塗布部)

 

シムを装着する前にはブレーキカスのみを落としてもともと塗布されているグリスは効きそうなので、ふき取らないで残しておこう。また、パット本体の裏側にもシリコングリスを薄く塗布しておく。また、キャリパにおけるパットのすべり溝部分にもグリスを塗布しておきたい。さらにはゴムブーツ部分にも塗っておくとゴムの劣化速度を抑えることができるようだ。だたし、ここで注意するべきことは、グリスは必ず耐熱性のものを使用することだ。そうでないと命を落とす可能性もあると警告しておこう。

 

10年程前に購入したシリコングリス

 

ところで、作業中にふとしたことから、サスペンションのアンダーアームがアンダーボデーにボルト締めされている箇所にあるゴムブッシュにヒビが入っているところを発見してしまった。これは嫌なものを見てしまった。できれば交換したいが、部品もないし作業の模擬もしていない。今回はグリスを大量に塗っておくに留めた。推測するに、ここはボールジョイントの可能性があるので、特殊工具が必要だろうと思われる。作業はプロに任せることになりそうだ。

 

ひび割れてマンネン

 

こうして準備が整ったらいよいよパットを装着し、ボルトを締める。当然締め過ぎはいかんが、緩いのも困る。命を落としかねない。よって何回も締まり具合を確認してからタイヤを取り付ける。あとはある程度ホイルナットを締め込んでからジャッキを降ろし、ホイルナットをキッチリ締めて、ホイルカバーを取り付けて完了だ。おっと、ここで忘れてはいけない重要な作業があるぞ。命をおとしかねない。それは何かと尋ねたら、ブレーキペダルのポンピングだ。ピストンを押し戻しているので、ピストンをしっかりパットを押すことができる位置まで押し出しておく必要があるのだよ、古代。忘れてしまったら、最初のブレーキング時にパニックになってしまうからな、フッフッフ(Byデスラー総統)。

 

ちょっとここでエンジンフードを開けてみる。ブレーキパットとエンジンルームて関係あるの。目をひん剥いて「ある」と言いたい。キャリパーのピストンを戻してある分、フルードがリザーバタンクに戻ってくるわけである。現在の状態はパットが減った状態でタンク内のフルードが上限位置を示すところまで入っていたわけだから、新品のパットならかなり上がっていることだろう。案の定あふれる寸前であったので、紙で吸っておいた。

 

フィットのエンジンルーム

(それほど詰まっていない)

 

同様のことをもう片方行うのだが、今度はある程度慣れがあるので比較的早く作業が終了することだろう。結局両側で2時間程費やしたと報告しておく。

 

4.交換後

 

新品部品に交換したならば、ちょっと試してみたくなるのが人情というものだ。そういえば、KDXのブレーキパットも交換時期を迎えている。ひとつYSP天白まで注文にいってみるとしましょうか。エンジンを始動して、ユルユルと発進して軽くブレーキをかけてみる。問題なく効いているようなので、もう少し速度を出して同様にしてみる。問題なしということで、そのまま同店で向かう。

 

上手くやる為に課題は山積みであるが、できるだけ前の方の状況を早く認識し、アクセル、ブレーキの操作は最小限に留めるようにすることは言うまでもないが、それでもブレーキを使用する場面は多い。その度に効き具合やフィーリングに注意してみる。お、足の裏にブレーキペダルを通して感じる振動がマイルドになっているぞ。あと、ブレーキの踏み込み時にパットを押しつぶすような感覚があり、それによりディスクにより強力に押し付けることができるようだ、そしてその際に制御幅自体も増えている。これらはパット自体の圧さが元に戻ったことにより、蘇った感覚であろう。つまりは、パットの厚みが多くなればブレーキ作動時の振動が伝わる距離が増え、パットそのものがそれを吸収する効果も高まる。また、パットは樹脂と金属等の摩擦材を焼結させたものであるから、多少は弾力があるらしい。ということは、ブレーキをかけた際にパットそのものが圧縮されるわけで、その量が増えた(元に戻った)ので、ある。当然その圧縮される分だけ弾性変形するわけだから、コントロール幅も増えるというわけだ。安い部品であるが効果絶大である。ここでいつものをいってみよう「あ、この瞬間が整備の成果だね」。

 

かくしてYSP店にてカワサキ車の部品を注文するという店側としてはあまり好ましくないことをしていただくわけだが、それでは申し訳ない。何か他に注文するものはなかったかと考えたところ、TDMにヘルメットホルダを装着することを思いついた。おりしもヤマハの純正オプションを供給するメーカーであるワイズギア社にハンドルパイプに取り付ける品があることを思い出した。というわけでしけたものであるが、これも一緒に注文しておいた。尚応対してくれた店員はめずらしい若い女性の方であったと補追しておく。

 

疲れたが、非常に費用対効果の高い作業であった。ディーラーに作業依頼すると、部品代込みで1万5千円はすると思われる。自己責任で自己整備の典型的な利得を得た一日であった。

 

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