FITのプラグ交換&エアクリーナ清掃

 

2009年12月27日

 

自宅前第7ピットにて整備中のFIT号

 

0.思いつきではないよ

 

管理人のFIT号は2001年10月に購入契約、同年12月末に納車された極初期に生産された機体だ。この翌年、FITの月間登録台数が2万台超の時もあり、カローラシリーズ年間登録台数を上回り、その牙城を崩すことに成功したことは記憶に新しい?

 

月日は流れ、昨年は3回目の車検を受けた。今年で購入から8年経ったが、特に問題は無い。相変わらずの性能を発揮してくれ、重宝している。それはそうと、3年目、つまりは2004年末に受けた車検では大題的に整備を施した。CVTオイルやエアクリーナーなども交換したわけだが、それ以降はあまり積算距離が伸びておらず、現在43,000km程だ。ここ数年は年間数千kmしか走行していない状況が続いてる。故に、車検でもあまり部品交換を行っていない。主に車体下回りの清掃や、ブレーキオイル等油脂類の交換で済ませてきている。

 

話は変わるが、先月バッテリーを交換した。管理人の所有するFITの場合、純正指定のバッテリー型式は34B17Lである。ところで、この型番の意味を頭から見てみよう。これは日本工業規格で決められているようだ。34は容量・始動性などを表す性能値、Bはバッテリー本体の奥行きと高さ(Bの記号は奥行き129mm、高さ203mm)を表す記号、そして17は横幅(17cm)を表す。Lはプラス端子を手前になるように本体を置いた場合に、左側に端子があることを示している。以上はGSユアサのページ、http://gyb.gs-yuasa.com/support_car/knowledge/model.htmlを参考にした。

 

さて、ホームセンターにこのバッテリーがあればよいのだが、残念ながら値段が手ごろなものが無い。弱ったなぁと思っていると、FITのナビ付タイプ指定の38B19Lに近いものとして、44B19Lのものが3,980円で販売されている。このサイズなら当方の車両にも取り付け可能だし、少々容量が大きい分には問題は無い。というのも、恐らくこの大容量バッテリーの使用を想定して配線なんかも設計していると思われるからだ。まあ充電電流が、34品は2.7A、44品は3.2Aと0.5A違うので、オルタネーターの発電容量が不足してしまうかもしれないが、もともと当方の車両はそれほどの電力を必要としなのでO.K.ということにしよう。

 

尚、この記載を信じて、問題が起きた場合も、当方は一切責任は負いません。自己責任でお願いします。

 

なんとか適合するバッテリーを探し出し、やれやれと思ったのであるが、ここで久々のプラグ交換もと思いプラグを購入したわけだが、在庫が2セット(4本)しか置いていないではないか。FITには後述するように、8本のプラグが必要だ。少々悩んだが、ここはひとまず4本のみ購入して、後日残りの4本購入することとした。そして約1ヶ月が経った今日、残りの4本を購入したわけだ。決して今日の思いつきでプラグ交換をしようということではない。因みに値段であるが、某ホームセンターで二本入りが1,000円であったから合計で4,000円である。たしか車検の時にディーラーに依頼したら7,000円は請求されたと思う。これはコスト削減効果大だね。

 

ところで、FITは発売当時、ホンダの最先端技術で設計・製作された車で、シャシーはもちろん、エンジンも新作だ。このエンジンだが、DSI(Dual Sequential Ignition)というシステムを採用している。これは常用回転域で、1気筒あたり2本のプラグに、吸気バルブ側から連続的に点火し、吸入工程での渦巻き効果と組み合わせて、さらなる希薄・完全燃焼を目指すというやや複雑な点火制御を行うものだ。これに類するものとして、大ボアのエンジンに気筒あたり2本のプラグを装備して、混合気の完全燃焼を促進するということで、イタリアのアルファロメオ社製乗用車や、カワサキのゼファー1100がツインプラグを装備している。しかし、位相点火するというホンダの方式は、当方の知る範囲ではあまり見られないように思う。あまりメリットがないのか、金がかかる割には燃費向上等の効果が少ないのかな?当のホンダもDSI方式をやめて、VTEC方式に統一してしまった。ホンダは新規開発は得意だが、熟成が苦手なことが欠点というか、残念なところだ。このあたりが上手くなると、もっと良いメーカーになれると思うが・・・。

 

1.まずはエアフィルター

 

FITのエアフィルターは何万kmかに1回交換すればよいのだが、新しいものにこしたことはない。少しずつ目詰まりしていくからだ。前回はいつ交換したか忘れたが、あまり距離を走っていないようなので、清掃することとした。

 

まずはエアフィルターボックスゥ〜のフタを外すのだが、この際、8本のねじを緩める。さらに、HC吸着キャニスターからのホースからの気体流量を制御するバルブのコネクタを外しておく。たかがエアクリーナーのことなんだけど、結構面倒くさい。そう思いながらフィルター本体を取り出す。

 

結構汚れておりますな

 

 

ところでフィットのフィルターはビスカス方式(オイルの粘着性を利用した)フィルターなので、清掃はできないことになっている。ところが、できるんだなぁ〜、これが。まずはパソコン用などのほこりを飛ばすエアスプレーなどで大きな塵を飛ばす。そして次にパーツクリーナーなどを使用して、飛ばせないものをきれいな布で拭き取る。あまりやりすぎると、フィルターに染み込んでいるオイルを流してしまうので、深追いは金持つ(男性)、いや禁物である。程ほどにきれいになったら、日に干してパーツクリーナーを乾かそう。これで少しは性能回復が期待できるものと思われる。

 

 

尚、これについても、問題が起きた場合も、当方は一切責任は負いません。自己責任でお願いします。

 

2.点火プラグ(前方側)

 

エアフィルターについたパーツクリーナーを乾かしつつ、プラグの取り外しにかかる。さて、最近の車両はプラグキャップとイグニションコイルが一体になったものを採用している。そのため、直接水を被らないようにエンジンカバーが取り付けてある。また、見栄えの向上にも貢献しているのかな。まずはこれを外さないといかん。

 

それはそうと、なぜ一体型のイグニションコイルが採用されるようになったのだろうか。簡単に点火装置の変遷を辿ってみよう。

 

昔の車両はエンジン出力軸からギアで駆動されるクランク位置検出器で点火タイミングを拾い、その信号はイグナイタに送られて、イグナイタは弱電圧の電流をイグニションコイルへ流す。ここで高電圧電流がつくられ、これをディストリビューターで各気筒の点火プラグへ分配される、という非常に機械的な構造でスパークをつくりだしていたわけだが、これでは接触点が多く存在してしまうので、メンテを頻繁に行う必要がでてきてしまう。そこで現在のように、クランクポジションセンサーの信号をエンジン制御コンピューターが拾い、それに基づいてコンピュータ内のトランジスタが弱電圧電流を流し、各気筒のコイル・プラグキャップが高電圧電流をつくり、スパークプラグに点火となる方式になったというわけだ。これなら完全に無接点のシステムだから、信頼性はうんと向上する。

 

なるほど、システム自体が信頼性を上げたし、今やプラグ自体も持ちが良くなっている。カバーをしたところで大して問題にならんということか。

 

さて、そのカバーを外すとイグニションコイル・プラグキャップが登場する。やれやれ、手前の4本はなんとか外せそうだが、裏側の4本は相当に難儀しそうだな。ということで、まずは見えるところから。各気筒の配線コネクタ、そしてこのコイル・キャップをエンジンに留めているボルトを外す。そしてコイルを持って上方へ引き上げると、簡単にコイル・キャップは外れた。

 

これがコイル・キャップ

(上の四角い箱にコイルが入っている)

 

少しゴミがついている。ということは、プラグホール底にもゴミが溜まっている可能性が高いぞ。こんなときにエアガンがあると都合よいが、当方はコンプレッサも持っていないので、パソコン用のエアダスターでホール内のゴミを飛ばす。おおっと、結構出てくるなぁ。これがエンジンに入ったりしたら、致命的ではないだろうが、あまりよくない。

 

ゴミを飛ばす

 

次にプラグレンチでプラグを外す。「ギュギュ」とかいいながらプラグを緩めていくと、いとも簡単に外れた。あれ、電極は焼けすぎでかなり白い。やはり希薄燃焼だとこうなるものだろうか。とりあえず新品と比べてみよう。

 

新旧品の比較

(左:旧品 右:新品)

 

 よく見ると、うっすらときつね色に焼けている。まあ4ストはこんなもんで良いということも聞いたことがあるので、ヨシノチャンということにしておこう。そう思っていたら、ボルトを一個落としてしまった。よくよく探してみたら、ラジエターについているファンのケース内に落ちている。とりあえずボルト拾いは後回しにしておこうと前側の残り気筒の交換作業を完了させておく。

 

3.点火プラグ(後方側)

 

さて、この残り4本が問題だ。後ろ側は目視しにくいばかりか、配線なんかがキャップに接近して配置されているので、手や工具が入りにくい。さらにエアコンとブレーキの配管も近くにあるので、手荒なこともできない。

 

 かなり入り組んでますな

 

また、さらに問題が。工具の延長棒が長すぎと短すぎのものしかない。前者はエアコンの配管を破る可能性があるし、後者では作業ができない。そこでセットに入っていた自在繋ぎを用いて、短い棒にレンチを取り付けて作業していく。これも力が入りにくくてやりにくい。それでも繋ぎの位置を工夫して、なんとかプラグを外していく。おまけに腰を折り曲げての作業を強いらているので、腰が痛くなってくるではないか。クゥ〜厳しいィ〜。

 

まあ、今日は陽が出て暖かいのが救いだ。これで先週のツーリングのように寒かったら、まさに地獄だ。いや、それを差し引いてもちょっと辛くなってきた。自家整備ならば2分の1の値段で済むとはいえ、「なんでこんな辛い思いをせねばならないんだ」と思いつつ作業を進める。まさにマゾヒスティックな時間が流れていく。

 

なんとか後ろ側のプラグも交換できた。因みに焼け具合は前側と変わらなかったと報告しておこう。

 

4.落ちたボルト

 

さて、エアクリーナーを復元してから、落としたボルトをどうやって救出するかを考える。手は届かないしなぁ。と車体の下側からの接近を試みるが、頭が奥まで入りません。ダメだこりゃ、とOLD氏のお宅を訪問して、氏の機体整備を手伝う傍らにジャッキを借りてから取り出すことにしよう。

 

実は今日、普通二輪免許取得直前のOLD号、DTの整備と試運転を手伝うことになっているのだよ。ということで、OLD邸でDTを整備後に、今度はボルトの救出を手伝ってもらった。OLD氏、ありがとう。明日の教習とあさっての卒検合格間違いないよ。

 

5.効果確認

 

OLD号の整備と試運転を終えて、FITの整備効果を確認してみる。始動性は変わらないが、吹けあがりがやや軽くなり、エンジン音も小さくなったように感じる。これはスパークが強くなって、混合気の燃焼状態、タイミングが良くなった(元に戻った)ことが要因と思われる。ということは、いままでは微妙に燃焼速度が落ちて、ちょっとノッキング気味だったということか??。そんなに変わるとも思えないが、いかに。まあ一応「あ、この瞬間が整備の効果だね」というところだ。

 

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