スズキスイフト(ZC11型)インプレ

 

2013年2月24日

 

フィットさんさようなら、スイフトさんよろしく。

(2012年10月6日)

 

0.機材変更しちゃった

 

トリデ二校作戦完了後、バスに乗車すると運転手のハンドルさばき、ミラーから見える車体と障害物の距離、全てが身近に思えてるようになってしまった。そうなると、自分もマネをしたくなり、4輪機材ももMTにしたくなることが人情ってものだ。

 

そんなわけで、車検が近づいたほぼ11年愛用したホンダ式GD1型フィットを、スズキ式ZC11型機に買い換えた。一昨年はトリデ二校作戦で50時間程度のトラック・バス操縦訓練を受けているが、MTの乗用車についてはスポット的乗車を除くと実に20年振りだ。つまり、免許取りたての1992年7月から1994年10月まで実家の車であったMT車、トヨタ式E7#型以来ということになる。関係は無いが、1992年は従兄弟の子供が生まれた年であり、その前年は同期インストラクターであるE氏が生まれた年である。俺ってそんなに年寄りだったのかぁ〜。ちょっとショック。

 

さて、GD1型機については、いまさら多くを語らなくともよかろう。結婚した翌年に将来的展望を考慮して、元嫁も運転でき、4座で広い室内を持つ車が欲しくて新車購入したものだ。結局その展望は単なる絵に描いた餅になってしまったし、MTを運転できないどころか運転そのものが怪しい、その元嫁が運転することもあまりなかったようだ。また、たまに二人で出かける時も、彼女は船を漕いでいるのであまり会話も無かったな。もっとも、そんなに頻繁に出かけていたわけでもないし、当方は車に乗るとさらに怒りっぽくなるなるので、話したくなかったのだろう。そんな苦い想い出も今や10年以上前のことか。それもショック、またかよ。

 

いや、楽しい想い出もたくさんあるぞ。友人とつるんで、香川にうどんを食べに行き、2日間で700km程度走行した。初の4輪車検挑戦に利用した車両もこいつだ。そして最後のお勤めは、カンカンに暑い中、インストラクターの養成コースに毎週通ったことだ。

 

スイフト納車の日は、上記のようなフィットとの生活を思い出しつつ店へ向かった。そして店に到着すると当方のスイフトは、ピカピカに磨かれて一番出口に近い場所に置いてあった。おー、これが私の3号車か。なんだか実感が湧かないと思った。

 

1.あれから4ヶ月

 

こうして4ヶ月が過ぎ、先日オイル交換をしてもらった。最初は自分で作業を行おうと考えていたが、あまりの寒さで「無理」ということになり、購入したスズキ自動車販売に出向いた。ついでに、まれに聞こえる、オルタネーターベルトの滑りと思われる異音も何とかしてもらおうと画策、あわよくばベルト交換を無償でなんて期待もしていたが。しかし、「ちょっと注油と張りの調整をしておいた」とのことだった。次に鳴きだしたらは交換かな。

 

2.スイフトの生い立ち

 

前置きが長くなったが、本題に入る。まずは、スイフトの開発コンセプト、背景を知っておく必要があることは言うまでもなかろう。

 

スイフトは現行モデルが3代目になる。初代は軽自動車、その名も「Kei」ベース、二代目はヨーロッパ向けを主軸に置いた販売戦略に則り、フルモデルチェンジしてボデー、エンジン共に新開発となり、全くの別物に変化した。そして現行の三代目、見た目はあまり変わらないが、ボデーはホイールベースを伸ばして新開発、エンジンも新開発の正常進化版である。

 

この最新モデルは2011年後半にモデルチェンジし、スポーツモデルも2011年末に追加された。主な変更点は、ボデーのねじれ剛性向上、リアサスペンションをより安定志向にセッティング、ホイールベース延長による高速安定性の向上、エンジンのダウンサイズ(1.3L→1.2L)、1.5L車廃止、などである。

 

尚、本当はこの最新モデルのマニュアル車を新車購入したかったことは言うまでもなかろう。

 

3.エンジン

 

さて、当方は敢えてスポーツモデルではないマニュアル車を購入した。しかも1.3L車である。エンジンパワーは91ps/6000r.p.m.、トルクは12.0kg/4000r.p.m.と並のスペックながら、特別に不足を感じることはない。ただ、発進時の極低速域ではあっけなくエンストしてしまう。現在までに、100時間程度のZC11型機種移行訓練を受けた結果、なんとかエンストスレスレの走りを習得しつつあるが、購入当初は全くもってお粗末な運転をしていた。だいたい、1サイクルにつき2〜3回のエンストをかましていたのだ。先のトリデ二校作戦で実質全免制覇しているのだが、そんなプライドは一瞬にして砕け散った。もっとも、当方はそれほど運転が上手い方ではなく、ちょっと訓練から遠ざかればすぐにボロが出る。当たり前と言えば当たり前だ。

 

こうして、当方の技量の低さを横に置いて話を進めよう。おそらくこのエンジンは、フライホイールが割合と軽いのではなかろうか。というのも、一旦エンジンが回りだせばそれなりのトルク感を得られるし、高回転域は割合と軽快に吹けていく。そして忘れてはならないのが、この領域での、ちょっとガサツなフィーリングだ。ここが誠にスズキらしい。なぜそんなことが言えるのか。当方は今まで、スズキ式車両をCT21型機、初代ワゴンRと、2輪車GT73E型機、RF900R(国内仕様)を所有したことがあり、どのエンジンもこの部分に関してはまったく同じ感触を持ったからだ。やっぱりメーカー色ってこういうところにも現れるですよねぇ。因みにホンダは今まで3台、GD1型、MC17型、JD16型と所有しているが、基本よく回るエンジンだ。カワサキ車はZX750型に乗っていたことがあり、全域に渡ってゴリゴリと回る。そして、ヤマハ車は、なんとなくおとなしい中に、鋭さを秘めている。

 

さらに、詳しく検証していこう。当方は普通に街乗りしていると、1,500r.p.m.から2,500r.p.m.ぐらいを使用回転域としている。この部分は意外と力強く加速していき、交通の流れに乗ることにも苦労しない。また、巡航時は5速60km/hで1,600r.p.m.、80km/hで2,000r.p.m.程度といかにもファミリーカー的なギア比である。因みにレッドゾーンが6,600r.p.m.近辺なので、それ程高回転が回るわけでもないが、オーバーレブ特性がよいせいか、頭打ち感は少ない。

 

そして、時々常用回転域を抜け出し、中速域入れてみると、それなりにパワーに盛り上がり感が出てきて、音も競技車様風味になってくる。さらに、このM13型エンジンは可変バルブタイミング機構を搭載しているようで、4,000r.p.m.以上になってくるとさらにこの傾向が強まり、レッドゾーンまで1.3Lなりにツキの良い、キビキビしたフィーリングで走行を楽しむことができる。

 

ガソリン消費であるが、ほぼGD1型フィットと同じだ。満タン方と燃費計を活用して計測してみたところ、街乗りのみならば14km/L、ちょっと遠出なら18km/L程度なら軽く記録してくれる。だいたい走行パターンはこの混合なので、15〜16km/L程度と申し上げておこう。

 

3.ボデー・脚まわり

 

先述したように、この車は世界戦略車、特にヨーロッパでの販売を想定しているようで、ボデー・脚まわりもこのクラスとしてはしっかりとしている。

 

前に所有していたフィットと比較すると、剛性感そのものはやや弱い、いや、しなりがあると表現したほうが適切かな。と言うのも、フィットの場合はフロントのエンジンルーム隔壁とその周辺がやけに硬い印象があった。ところが、スイフトは全体的にバランス良く硬いと感じるからだ。推測するに、フィットは衝突安全性を優先させた結果の高剛性、スイフトはヨーロッパでの走行を想定した高剛性を目指したのではないだろうか。

 

次にサスペンションだが、のり心地はそれほど良くもないが、悪いということもない。走りの視点から見ると、このクラスの車として標準的なストロークを持ち、安定志向(ダンパーを効かせる)方向で仕上げた、やはりヨーロッパ的な味付けである。つまり、街乗りなどの低速走行ではゴツゴツ感が目立つが、100km/h巡航やワインディング走行を考えるとまずまず妥当な硬さである。

 

そのワインディングでのコーナリングだが、ステアリング操作に対してやや鋭い反応を示す。これはホイールベースが2,390mmとGD1フィットの2,450mmよりも短いこと、さらにオーバーハングもかなり短く、全長が3,790mmとなっていることが影響していると思われる(GD1は3,845mm)。因みにGD1フィットはハンドルを切った分だけ曲がるという、リニアな特性だったこともあり、スイフトに乗り換えたばかりの時は、ハンドルを切り過ぎてしまうこともあったただ、一旦慣れてしまえば、ワインディングはやや突っ込み重視でコーナーに飛び込むか、やんわりと気をつけてステアリングを操作すれば、問題ない。突っ込み重視といえば、2輪のGT73E型は完全な突っ込み重視型のコーナリング特性を持っており、当方のような後輪を意識したスローイン・ファーストアウトを信条とする運転ではしっくりこなかった。スズキというメーカーはこういう味付けを基本にしているようだ。

 

そして、今回の乗り換えの最大の理由である、マニュアルギアボックスであるが、冷間時の入りの渋さ、1速とバックギアがちょっとロングなこと以外に不満は無い。カクカクと「入りました」感を感じることができるし、ストローク的にもそれほど大きくない。各ギアの繋がりも、1→2速以外はなかなか良い。もっとも、当方の基準は悲しきかな、30年前のトヨタ式E7#系、OHVの4K-Uエンジンのカローラなので、あてにはならないだろう。もっとも、平針運転免許試験場の日野レンジャーけん引トレーラーに比べたら、どんな車でも良いフィーリングと言える。マニアックなネタでゴメンね。

 

ここで余談を。このカローラは当方が小学生の時に親父が購入したもので、大学3年になるまで当家の自家用車であったことは上記の通りだ。購入時はクーラーやオーディオはオプションだったし、パワーウインドウは設定も無かった。もちろん気化器はキャブレターだし、ディストリビューターもついていた。つまり、現在のようなイグニションコイル一体型のプラグキャップなどは無く、コイルの誘導電流をイグナイタで昇圧、タイミングをとり、デスビで分けていたのだよ、ヤマトの諸君。

 

そして、このカローラが4速マニュアルギアボックスを搭載していたのだが、当方は多くをここから学んだように思うし、もっと学ぶべきだったと思う。特にヒールアンド・トゥやら、FR駆動方式を利用したパワースライドなんか、もっとガンガンと練習してもよかったのかもしれない。このように、E7#は車の基本を教えてくれたので、トヨタ式とはいえ恩のある車なのだ。

 

4.その他

 

当方が購入した車は1.3XGグレードベースのリミテッド車で、フォグランプやディスチャージヘッドランプが装着されている。このディスチャージランプは夜間の視界がとても良いので、普通のハロゲン灯が物足りなくなってしまう。また、フォグランプと両方点灯させると眠気防止にも良いようだ。

 

アウターミラーがでかいことも気に入った。特に、右左折時の確認は楽だ。

 

ステアリングは皮巻きが採用されており、しっとりと手に馴染む。大きさもこんなもんでしょう。ただ、たまにミンクオイルを補充してやらないと、ひび割れてしまうこと間違いなかろう。そしてこのステアリングにはオーディオ操作スイッチが内蔵されていて、ハンドルから手を離さなくても音量調整ができたりするが、これは別に無くてもよい装備だ。

 

オーディオはツィーターも備えた6スピーカで、本体はクラリオン?の純正品だ。低音から高音まで幅広く音が出て、一昔前のステレオよりもよいくらいだ。そして、MDも再生できるのだが、これは完全な時代遅れ品で、今後も使うことはなかろう。関係ないが、クラリオンガールと言えば、バブル華やかし頃に活躍した「かとうれいこ」だろう。

 

そしてシートだが、幅が広く、座面も長さがある。そしてやや固めで沈み込みも少なめであるし、コーナリング時は案外ホールド性が高いことも見逃せない。フィットもこのクラスなら良いほうだと思っていたが、それよりも2段階は良いぞ。

 

5.まとめ

 

長々と当方の考えを述べてきたが、総じて良い車だと思う。10点満点なら7点というところか。なんだかんだで車は日々進化しているようで、新しい方が良いことは明らかだ。今後はメンテナンス性やら、タイヤの減りやら、ボデーのヤレなんかを観察しつつ、乗り続けていくことにしよう。もちろん、ユーザー車検もやるつもりである。

 

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