リア足回りの注油

 

2007/11/16

 

1.作業のきっかけ

 

今日も晩秋とは思えない良い気候だ。ゆっくりと寝ていたら10時になってしまった。林道に行くかと思ったが、ふと思い出した。TDMは車検をとって問題なく走っているが、どうも足回りがヘタってきている気がする。リアの足回りのセッティングとリンクベアリングの注油をやらんといかんなぁと日々計画していた。それでだめならショックユニットのオーバーホールとなる。おうそうだ、ツーリングには中途半端だけど、整備にはバッチリの時間帯だ。本日は整備日に変更となった。

さて、ここで前回の該当部グリスアップのおさらいだ。たしかリアサスのリンクベアリングのみを注油した。その際、リンクシャフトにニードルローラーベアリングの打痕がうっすらとついていた。だが、シャフトは交換せず、ペーパーを当てて修正して組みなおして終了としたぞ。スイングアームのピボットは工具がないからやめたなぁ。よし、今回はその後の状況確認と、懸案のスイングアームピボットシャフトのベアリング注油を行うこととしよう。

 

2.作業開始

 

まず、足りない工具を調達だ。27mmのソケットなんだけど、管理人は別に国産で十分と考えている由、KTC製のものを近所のホームセンターで購入。880円也。因みにハンドルは12.7sq用を用いる。

 

購入したKTC製ソケット

 

さて、早速分解にかかろう。最初にリアタイヤを外すわけだが、そのまえにドライブチェーンをユルユルにしておく。また、リアブレーキキャリパーのマウントボルトも緩めておくことを忘れてはいけない。管理人はすっかり忘れていたことを告白しよう。その後、サスペンションリンクのナットを緩める。この際、部品の方向や、ボルトの位置に印をしておくと後で組み立てやすい。トルクレンチをわざわざ出してこなくてもよい。特に隙間の少ない部分では有効な技と言えよう。

 

 

文房具屋で売っている修正ペン(油性)が使いやすい。

 

この段階では、ボルトは緩めるだけで外してはいけない。各部がひとつのリンク部品に共通してマウントしてあるからだ。管理人は外して、リンクのマウントの部品を軽くエンジンに当ててしまった。まだまだニューギニア6級の腕前である。そして、スイングアームを手で支えつつ、リアサスのリンクをばらし、最後にショックユニットを取り出す。

                          

  外したリンクと工具。でっかいのが12.7mmハンドル                 外されたリアショックユニット。もちろん、

                                                                                      フルアジャスタブルで別体タンク付。

 

サスペンションのリンクシャフトを見てみる。ベアリングはグリスで十分に潤滑されているし、シャフトには打痕はついていない。前回多い目にグリスを入れ込んで、さらに当たり位置を変えるためにクルクルと回転させておいたことが功を奏したか?

さらにスイングアームのピボットボルトを緩める。もっと早い段階でしておくべきだったが、案外簡単に緩んだ。もちろん修正ペンで印をつけておいたことは言うまでも無い。なぜ言うまでもないかは、いうまでもない。一応この段階でスイングアームの動きを点検しておく。なんだ、至極スムースに動いているではないか。しかし、ここまでやったのだから、先に進もう。いよいよスイングアームをフレームからズラす。そして、予習しておいたパーツカタログの挿絵を思い出し、カラーを外すと、ベアリングがでてきました。次原かなりしっかりと潤滑されている。まあ、古いグリスを軽くふき取って、新しいグリスをどっさりと入れ込む。そして、サスリンクシャフトのベアリング同様に当たり位置を変えるため、クルクルとしつこく回しておく。

 

        

 

   パーカタはサンデーメカには必需品             スイングアーム外れました            グリスを入れましょう

 

ここまで終えたら一安心。あとは逆の順で組み付けるだけだ。一休みして、スイングアームを取り付け、動作確認。お、潤滑前よりかいいじゃない?さらに、サスのリンクまわりを組み付け、リアサスをフレームに。ああ、上のマウントはラバーマウントなんだ。初めて知ったこの事実。あとはタイヤを組み付け、一旦センタースタンドを降ろす。こういう整備にセンタースタンドは必須項目だ。850はセンスタ無しだったので、このようなさぎょうができなかった。辛かったなぁ。

センスタをかけなおし、各部を本締め。この際に先の印が大いに役立つ。そしてチェーンを規定通りに張りなおして終了。腰が痛いぞ。

 

3.試運転

 

試運転がてらに、YSP天白にいってみよう。OM通りにリアサスを標準セッティングにする。なんかだいぶ減衰を緩めていたようだ。誰がこんなことしたんだ?あたしだよ。発進。あ、この瞬間が整備の成果だね。という感じで、動きがやや滑らかになったようだ。後ろ下がりになったと思っていた姿勢だが、それほどでもないような。普段KDXを足にしているせいで、腰高な感覚に慣れてしまっていることが原因かもしれない。人間の感覚は本当にあてにならないので、十二分に肝に銘じておこう。

街中を軽く流して動きをチェック。交差点、段差、以前よりも明らかにリア周りがいい動きをしている。追従性が上がったようだ。まさにメンテナンス。これこそが新車性能の維持である。こういうところにこそ手間ヒマかけることが非常に重要だなぁと改めて実感した。

YSP天白へ行った目的はWR250Rを見るためだ。また、試乗会があるらしいので、その情報も仕入れる必要がある。店長と話していると、試乗車があるから、乗ってみるかとありがたいお言葉。もちろんありがたく試乗させていただいた。この件については後日詳細を報告する予定としておこう。やっぱりバイク買うならYSP天白だ。

 

4.その後 (11/25追記)

 

試運転で気がつかなかったことで、後日判明したことを追記しておこう。TDM900は並列2気筒の270度クランクを採用している。つまりは不等間隔爆発のエンジンである。音で例えると、「ドドッドドッドド」である。雑誌の試乗記では「馬の早駆け」とも記されることが多い。乗っていると、確かにその通りだ。因みに850後期型も、同様のエンジン機構を採用していることは以前述べたと思うが、900はより明確に伝わってくる。フレームやエンジンマウントの変更が大きな要因であろう。

今回のグリスアップでは、その鼓動が明確になった。つまり、走行中にエンジンの駆動力がチェーンを通してタイヤに伝わり、その駆動力の波がスイングアームを通してフレームに伝わる。スイングアームのグリスアップによって、その波がフレームに伝わりやすくなったと言うか、元に戻ったのであろう。これは考え方の問題で、振動が伝わりやすくなったといえばそうだし、エンジンの息吹を感じる度合いが増えたと言えばその通りだろう。「振動」と「鼓動」は同じものであるが、前者は悪意的、後者は好意的に捕らえていると思われる。つまり、不快か、心地良いかの違いだろう。T社の4輪を愛好する方々は前者、H車が好きな方は後者に感ずる傾向があるのでは。管理人は後者であることは、言うまでも無い。

 

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