XLR125R整備のまとめ

 

2010年6月11日

 

管理人自宅アパートの第一ピットにて整備中のXLR125R

 

0.ここいらでまとめておこう

 

XLRを会社の後輩君から購入して、早くも半年も経ってしまった。先日、入れ替わりで4月上旬に売却したKDX125SRを店先で見かけたが、リアキャリアにかっこ悪い箱が取り付けられていた。もっとも、ツーリングの為に取り付けられているのならよいが、ファッションとしてはいけていなかったと報告しておく。もう当方の物でもないので、そんなことを言うこと自体がおかしいな。

 

さて、XLRを購入後、いろいろと手を入れて機械的にも、また見かけ的にもだいぶ良くなった。もともとが良いものだったので、当方でもここまでやれたのだが、ニューギニア6級整備士の当方としては、結構苦労した。

 

今回はその苦労をまとめてみようと思う。

 

1.脚周り編

 

1-1. リアサス交換

 

リアサス交換なんてそうそうあることではないが、前オーナーが車両購入時には既にヨレヨレだったので、適当な代替品に交換していた。これは機能としては問題の無いものであったが、如何せん全長が15mm位短かった。

 

前オーナーが交換したリアサス(上)

とヨレヨレの純正リアサス(下)

 

こうなるとやはり、「新車当時の状態を知りたい」と思うことが人情というものだ。そう考えて、ひとまず前オーナーから受け継いだ、元々のリアサスに交換してみた。すると・・・、車高がかなり高くなりオフ車らしくなったのだが、本当にヨレヨレで全く減衰が効いていないではないか。これでは全く使い物にならん。オークション等でいろいろ物色するも、成果は無しであった。

 

そこで、並行して分解整備を検討するも、「ダンパーロッドの状態が悪いので新品の方が早い」という結論に達した。ええい、と思い切って新品を52,000円で購入した。痛い出費だったが、KDXの売却で得たお金を投入した。

 

早速旧品と比べてみると、なんかプリロードの懸かりとダンパーの容量が違うようだ。まあ全長は同じなので、ちょっとした仕様変更があったのだろう。

 

                    

        旧品の純正リアサス(左)と新品の純正リアサス(右)

                                                   

こうして、早速新品のリアサスを取り付けてみた。すると、予想通りに減衰も復活し、ロードでも悪路でも走行性能、乗り心地が10倍くらい良くなった。言ってみれば、古い品がほとんど機能していなかったということだ。つまりはこの投資により、この機体本来の性能を三河林道で発揮しているのだから、それほど高いものでもないということになる。何より、ライダーが楽しく乗ることができることが嬉しい。

                                               

1-2. リアサスリンクグリスアップ

 

リアサスを取り外したのだから、ついでにリンクのベアリングにも注油しておく。XLRは125佞離丱ぅであるが、上級車種と同じ構造のリンクが採用されているので、まったくもって嬉しい限りだ。

 

かなり良い状態だ

 

サビサビでギシギシになっているかと思いきや、ほんの少しだけ、ピンにベアリングの打痕が残るだけの非常に綺麗な状態を維持していた。嬉しくなり、小躍りしながらベアリングにグリスを塗りこんでおく。因みにシールも劣化はしていなかった。

 

1-3. フロントフォークオイル交換+シールグリス塗布

 

次はフロントフォークの点検だ。まずはフォークキャップとフォークのマウントを緩めておき、アストロプロダクツで購入したジャッキに車体を載せて、前輪を持ち上げる。その後タイヤとフォークを外してみる。

 

さらに、フォークのブーツを外してシールとインナーチューブの状態を確認する。幸いにも、どちらも問題は無い。シールはともかく、インナーチューブは錆びていると何かと問題が多いので、安心した。

 

                     

前輪とフォークを離脱                            スプリングは二重になっている

 

フロントフォークキャップを外してオイルを抜き取る。おや、意外にも大して汚れていない。ただ、オイル量が少なく感じた。道理で、ブレーキング時に底突き感があったわけだ。

 

そしてスプリングを出してみると、なんと二重構造になっている。いや、正確には二重構造自体は驚きではないのだ。普通は長さが足りない場合は鉄製のスペーサーチューブが入っているのだが、この機体はそれもバネになっていたということだ。当然一本モノが一番良いのだが、スペーサーチューブよりもバネの方が良いのは言うまでもなかろう。ここでも「昔のバイクはよかったのねぇ」と思ってしまう。

 

さて、新しいオイルを注入するのだが、まだサービスマニュアルを手に入れていなかった。仕方ないので、歴代所有したホンダ車のマニュアルの数値を調べてみる。すると、「全屈時にフォークトップから120mm」前後が多いことが解ったので、ひとまずこの値でオイル量を決定した。

 

組み上げて早速試走してみると、底突き感は消えて、直進安定性が大幅に向上した。さらに、コーナーリング中の踏ん張りや、段差の衝撃吸収性も段違いによくなっている。

 

リアサスとフロントサスを整備したら、一気に3段階くらい調子が上がった。やはり、こういうところが整備の肝だね。

 

2.車体編

 

2-1. チェーン清掃

 

画像は無いが、XLR125Rはノンシールチェーンを採用しているので、灯油にドブ漬けして歯ブラシなどでゴシゴシこする。するとタール状になった油が溶け、それに混じっていた砂などもまるごと落とすことができる。

 

満足いくまで綺麗にしたら良く拭いて乾燥させて、新しくチェーンオイルを塗っておく。そして余分な油を拭き取れば完成だ。これだけでも摩擦抵抗が少なくなって、また見た目も良くなるので気分が良い。ただ、チェーンの伸びが均一でないようである。まあ寿命まで使うとしよう。

 

尚、シールチェーンで灯油ドブ漬けをやると、オイルシールがダメになる可能性がある。専用のクリーナを用いる必要があろう。

 

2-2. ステムベアリング交換+調整

 

以前のリポートをご参照願おう。

 

2-3. フレーム清掃

 

冒頭の写真のようにタンクやカバーを取り払った際には、普段磨くことの無いフレームもワックスがけしておく。

 

2-4. ブレーキ全般

 

XLRはフロントのみ油圧式ディスクブレーキなので、こちらのみ紹介する。因みにリアは機械式作動のドラムブレーキなので、調整ネジを回してストローク量を好みにしておく。

 

まずはブレーキフルードを交換する。最初にリザーバタンクのフタを開けて、古いオイルをウエスや紙タオルで吸い出しておく。その後新しいDOT4規格のフルードを入れる。これはホンダ純正の500婀未一番手ごろな量で使いやすい。また、ほとんどのホームセンターで入手可能だ。

 

オイルの交換方法としては、ブレーキレバーを数回握っては離し、速やかにキャリパー側のバルブを緩めて古いものを排出する。これを繰り返し、ライン全体のオイルを入れ替える。やや、ちょっとエアを噛んでいるようだ。

 

尚、この際、オイルを特に塗装面にこぼさないように注意する。もしもこぼれたら、すぐに拭き取らないと翌日泣きをみることになろう。

 

果たして、交換後はフニュフニュしていたタッチがかっちりと決まった。きっとエブレーキラインにアが混入していたのであろう。フニュフニュといえば、メガトン級のBigwest氏であろう。

 

 

ブレーキフルード交換中

 

ついでにブレーキパッドも点検しておく。幸いにも5分山くらいは残っているので、棒やすりで角を落としておく。これだけでも握った感覚が多少良くなるものだ。

 

ブレーキパッドを面取り

 

また、ブレーキキャリパーもブレーキダストで汚れているので、しっかりと清掃しておく。因みにピストンにはサビ止めのコーティングが施してあった。オンロード車はこれが錆びやすいのであるが、オフ車は錆び対策がしっかりしているのだなと関心した。

 

2-5. ケーブル類注油

 

アクセルケーブルやクラッチケーブル類にも油をさしておく。ワイヤーインジェクターを使用しても良いが、機械油(ギアオイル等)を小さい油さしで注油してもよい。時間はかかるが、なんとなくこっちの方が効いている感がある。特にアクセルワイヤーの注油は、エンジンレスポンスが向上したかのような気分にさせる。なかなかお得な整備と言えよう。

 

アクセルワイヤーに注油

 

3.エンジン編

 

3-1. プラグ清掃

 

エンジン整備の基本と言える。というのも、プラグの焼け具合を見れば、燃焼室の状態を把握することができるからだ。たとえば、黒くすすけているのならば、燃料供給過多の可能性が高い。また真っ白ならばその逆だ。しっとりとしているならば、オイル上がりなどの可能性もある。

 

因みに管理人の機体はやや茶色く焼けていて、絶好調と言える。尚、このプラグはイリジュウムの電極を採用しているので、軽く爪で汚れを落とす程度に留めておく。電極が折れたら大変だからね。

 

この写真では解りにくいが、絶好調の焼け具合

 

3-2. オイル交換

 

こちらもエンジン整備の基本中の基本といえよう。普通エンジンにはろ紙でできたオイルフィルターが設置されているが、XLR125は小さな網があるだけだ。

 

ところで、今回のオイル交換は購入して二度目だが、出てきたオイルはそれほど汚れてはいないものの、シャビシャビになって粘度が落ちている。排気量が小さい分、どうしても回転数が高くなりがちなので、このようになったのか。因みに前回はホンダ純正G1(10W-30)を使用していたが、これではいかん。今回はG2(10W-40)を入れた。

 

                               

      汚れは少ないが、水っぽい                        いやらしい染み(左が新品、右は排出したオイル)

 

交換後はギアの切れとクラッチのフィーリングが良くなり、気持ちよく軽快な走行が戻ってきた。

 

3-3. エアクリーナー清掃

 

これもエンジン整備の基本だろう。XLRは左のサイドカバーを外すといきなりエアクリーナーとご対面できる。さらに、エレメントはちょうネジ1本で固定されているのみだ。

 

エレメントを外したら、パーツクリーナーなどを吹きかけて清掃する。高圧エアを使用できる環境ならば、それを使用する方が好ましい。

 

エアクリーナーとご対面

(案外よごれているものだ)

3-4. キャブレター清掃

 

最近は2輪車も電子制御化が進んできたので、キャブレターを採用する車種は無い。よって古いバイク以外では必要の無い整備だ。

 

このXLR125RはPD20という型式のキャブを用いている。このキャブは、パイロット、スロー、メインの3系統のジェットのみを装備、という比較的簡単な構造であるので、ニューギニア6級整備士でも手を出しやすい。本当は3系統のジェットを全部外して清掃するところだが、アイドリングが不調なだけなので、パイロットのみ外してみる。すると、先の方に腐食した汚れが付着している。やさしく、綺麗な布で拭いておいた。

 

清掃後は組み付けるのだが、パイロットスクリューの戻し回転を記録することを忘れていた。頭の汚れ具合からすると1回転前後のようだ。

 

そしてガソリン漏れが無いか点検して、エンジンを始動する。お、劇的にアイドリングが安定した。あんな程度の汚れでここまで変化があるとは、正直驚いた。まあ、エンジンの負圧のみでガソリンを吸いだしているのだから、微妙なバランスの上に成り立っているわけだ。それはそうと、パイロットの戻し回転をいい加減に調整してしまったが、本来はもっと精密に調整するものだろう。

 

パイロットジェット(スクリュー)を外したところ

(その下はスロージェット、更にその下はメインジェット)

 

3-5. 燃料フィルタ清掃

 

どうもリザーブコックに切り替えると、エンスト気味になるので疑っていた燃料フィルターを外してみると・・・

 

ゴミがビッシリと付着している

 

もちろん、パーツクリーナーで綺麗さっぱりと洗い流し、ついでに燃料の取り出し口も布で汚れを取り除く。これでさらにアイドリングが安定した。

 

4.塗装

 

4-1. ハンドルバー

 

管理人は塗装は得意ではないので、ほとんど行ったことはない。しかし、これも修行の一環ということで、またせっかくグラインダーを購入したので、使用しない手はないと取り組むことにした。

 

まずは古いグリップをカッターナイフ等で切り裂いて取り払う。アクセル側は、スロットルホルダとグリップを同様の方法で分離する。

 

そして、グラインダー+ワイヤーブラシでハンドルバーを磨く。いやあ、グラインダーで磨くとこんなに楽に、綺麗にできるとは知らなかった。サンドペーパーだったら1日がかりであろうところを、15分程で磨き上げてしまった。

 

綺麗に錆と古い塗装を落としたハンドルバーを、パーツクリーナー等でよく脱脂する。そして乾いた後にホンダ純正のサテンシルバー缶スプレーを塗っていく。これがなかなか難しく、曲がったところがどうしても厚塗りになってムラになってしまう。

 

何とか形にして、クリアも吹いていく。色を綺麗に塗れない者がクリアを綺麗に吹けるはずもない。結局ムラムラになってしまったが、一応錆はなくなったので、ヨシノチャンとしよう。

 

まったく関係ないが、昔、上司が「腹が立ってムカムカする」と言わなくてはいけないところを、「ムラムラする」と言っており、滑稽であった。

 

こうして仕上がったハンドルバーに2,000円で購入した新品のグリップを取り付ける。これは、基本的に力技で行うが、ボンドをやや多めに塗っておくと幾分か楽になると付記しておこう。

 

ところで、グリップの交換なんてほとんど縁のないものと思うが、なかなかお得な整備だ。というのも、直接手に触れる部分なので体感効果が大きいし、見た目も良くなるからだ。特に伝わる振動が軽減されるので、耐疲労効果も高い。つまり、予想以上にグリップが減っていたりするということなのだろうか。是非お試しあれ。

 

                     

                                                 塗りなおしたハンドルバー at ブレーキオイル交換時                         塗りなおす前のハンドルバー      

                                                              (真新しいグリップもよい感じ)

                                    

4-2. エキパイ+マフラー

 

別に穴が開いていなければ問題は無いのだが、見栄えが悪いのでエキパイからサイレンサーまで全て塗りなおしてみた。方法はハンドルバーと同じで、グラインダーにワイヤーブラシを取り付けて、ガンガンと磨いていく。こちらも面白いように綺麗になった。

 

塗装は耐熱の艶消しブラックを吹いていくのだが、こちらは案外と綺麗に塗ることができた。成果は以下の写真の通りだ。

 

             

 塗装前                                           塗装後

 

 5.まとめ

 

半年かけてこれだけの整備をしてみたが、機械的にも、見栄え的にも大きく新車に近くなったものと満足している。苦手にしている塗装も、やってみればなんとかなった。今後も小物ならば対応できそうだ。

 

それにしても燃料フィルタの汚れはちょっと驚いた。たかだか25000km程度でこれだから、60000kmを越えたTDMはどうなっているのだろうか。もっともこちらは燃料フィルタとポンプが一体型なので、基本的にフィルターが詰まったらポンプごと交換だ。この件について、機体を購入したYSPに尋ねてみると、「今までフィルターが詰まったという例は聞かないし、メーカーとしても100,000kmは大丈夫と判断している」ということだ。また、「清掃方法も無いわけではなく、薬品に漬けて汚れを溶かすこともできる」ということだった。いずれにしても神経質になることはないということだったので、安心した。

 

これら全ての整備は、少しの手間、少しの投資で行うことができるものばかりだ。それでいて効果は大きい。整備後は、思わずこう呟くことだろう。

「あ、この瞬間が整備の効果だね」

 

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