OLD氏 奥三河の林道を走りたおす

 

2010年4月24日

 

疲労感が見てとれるが、ガッツポーズのOLD氏

(栃洞林道の絶景ポイントにて)

 

0.KDX125とXLR125Rその後

 

先日ステアリングステムベアリングを打ち換え、ハンドルの切れがよどみなくなったOFF機材のXLRであるが、まだまだ問題アリアリだ。前後サスペンションが役目を果たしていないのである。フロントはすぐに底づきしてガタガタするし、リアに至ってはダンパーが全く効いていないので「ボヨンボヨン」といつまでも踊っている。これでは林道はおろか、街乗りでも支障が出てしまう。

 

一方KDXも乗り比べ目的で、引き続き手元においていた。つまりは一瞬だけ10輪生活になっていたわけだ。しかし、OFF機材はXLRでいくことに正式決定し、残念ながらKDXは売却することに。そうなると少しでも高く買ってくれる所をさがすわけだが、一番良い方法は言わずと知れた「個人売買」である。買う方としては、店で売っている値段より安く購入できるし、売るほうも店で買ってくれる値段よりも高く買ってもらえるからね。

 

しかし、KDXを欲しがる人はそうそう近くにはいない。いや、正確には欲しい人はたくさんいるが、諸事情により買うことができない場合がほとんどだ。昨今の不況やガソリン高で、通勤手段を4輪から2輪にする人は多々いるようで、管理人の周りにもそういう話があり「KDX欲しいけどなぁ」という人もちらほら見えたが、置き場所や家族の目を考えると現実は厳しいということであった。

 

そんなわけで店に売ることにしたが、一応「買取り業者」にも買取価格を確認をしておこうか。まずはお馴染みの「ゴー!ナントカオウ」と宣伝している業者へ電話してみる。すると「伺う手配をしたい」といきなりこちらに来ると言う。おいおい、俺なんか気が弱いから買い取り値を叩かれても断れないじゃん。よって即却下。だいたい出張料とかなんとか言って叩くことは目に見えている。もうええわい!

 

次は全国チェーンのアカダンシャク。こちらは消耗品とか調べて概算の価格を提示しますとのこと。「まず、去年のKDXのオークションでの最高値が10万で・・・」と話が始まる。ええー、店頭で20万程で売られている機体もあるのに、オークションで10万が最高ってことはないでしょう。粗利50%?・・・無くもないかなぁ。でも悪徳モトピーランでも3割5分くらいだったぞ。さらに、昨年秋に交換したばかりのブレーキパッドが「交換時期だ」とノタマっている。極めつけは、「がんばって12万もいけるかもしれませんよ」だって。こりゃ一桁確実と踏んだ管理人は、「考えとくよ」と言って、本命である近所のカワサキ専門店へ。

 

この店は外観とエンジン、その他細々とチェックして「11万でどうですか」と金額提示があった。まあそんなもんだろうと「お願いします」ということで、売買成立。解りやすく、かつ妥当な金額提示で納得だ。欲を言えば、個人売買で15万くらいで売りたかったが、止むを得ない。

 

こうして得た資金は貯金、したかったが、新機材のリアサスペンションの購入に一部投入する。残りはTDMのフロントタイヤに・・・。さらにそのホンの少しだけの残りを貯金へまわす。金って貯まらんなぁ。

 

1.XLRサスペンションメンテナンス

 

こうして手に入れた新品のリアサス52,000円也、を早速組み付ける。ついでにリンクのベアリングにもグリスをどっぷり擦り込んでおこう。それにしても、このクラスのマシンにこんな本格的リアサスと、リンク機構を採用しているとは、昔はまだまだ2輪メーカーも余裕があったということだろう。いまならば、間違いなくスイングアーム直付けだ。

 

一方フロントサスはオイル交換をしておこう。さぞかし汚れたオイルが出てくるだろうと思いきや、そうでもない。ただ、量が異常に少ない。これでは底つきするわけだ。それはそうと、フロントのバネであるが、バネと円筒形のステンレススペーサーが入っていると思っていた。ところが、きちんと足りない長さの分もバネが入っている。これも昔のメーカーの余裕だろう。125ccクラスがここまで贅沢とは、誠に嬉しい。XLR、大事にしたいものだ。

 

2.なんとか林道にいけるかな?

 

ナンダカンダで車体関係の問題が解決したとなると、走りに行きたくなるのが人情というものだろう。折りしも春が訪れて、日中でも汗ばむくらいの日があるとなるとなおさらである。ということで、先日林道デビューを、無転倒という優秀な成績で飾ったOLD氏を誘い、奥三河地区の林道へ出かけることとなった。

 

ところで、こちらのOLD氏であるが、今月から無事に社会人となり、目下研修中ということだ。なんでも、会社が外部機関に委託した講習会に毎日出席しているそうで、様々な会社から新社会人が集まっているそうだ。講義は面白いか、まったく解らないか両極端であるが、新社会人として「居眠りはしない」と必死に頑張っているということだから、日本の将来もまだまだ捨てたものではなかろう。また、違う会社の友人もできて、楽しくやっているようだ。やはり、若いって羨ましい。

 

そんなピカピカの一年生を悪の道へ、いや楽しい趣味の世界へ誘おうということで、当日のフライトプランの作成をしておかないと。今回の目標はズバリ、OLD氏のヤマハ式3FW型機(DT125R)型式限定追加認定である。今回の林道行脚で同型機での総林道走行時間が5時間以上となるように、林道を走りたおそうというわけだ。因みに、同氏のDTでの累計走行時間は、通勤等で100時間程度まで伸びているとのこと。「♪おーちて行きましょ奈落のそーこへ、バイクに狂って奈落のそーこへ」というのも時間の問題か。

 

3.集合・出発〜補給ポイントへ

 

 

今回の走行地図

 

まずは今回の走行地図から。今回は豊田市から設楽町全般にかけて、当方の知る林道をいろいろと盛り込んでみた。もっとも、最初は別のルートを検討していたが、成り行き上このようになったことは言うまでもない。それでは、林道走行記へ移ろう。

 

週間天気予報では、あまり良い天気にならないかもと思っていたが、当日はまさに快晴。ウキウキとチェーンやエンジンオイル、タイヤの空気圧等を点検していたら、9時前にはDTの甲高い2ストサウンドが聴こえてきた。OLD氏の機体も良い調子のようですな。

 

まずはブリーフィングにて、今日のプランを提出し、承認を受ける。そして、エンジン始動許可を得て、暖機、出発となった。まずは河原の未舗装路へ寄り道をしつつ、香嵐渓を目指す。交換前のサスペンションは簡単に底づきしていたが、新品交換のリアサス、オイル交換のフロントサスは完全に減衰力を回復しており、路面の凸凹をしっかりと吸収している。「あ、この瞬間が整備の効果だね」とひとり納得して、県道11号線をなぞり、枝下I.C.からグリーンロードの無料区間、国道155号線と車輪を進めていく。

 

ところで、毎度申し上げていることながら、林道には店が無いので、香嵐渓のサークルKで補給物資を調達しておこう。これを怠るとえらいことになる。話は逸れるが、太平洋戦争の分岐点となったガダルカナル島戦では、日本軍は補給が続かずに撤退したことは周知の事実である。なんでも日本軍では「補給は格下の仕事」であったらしく、軍の上層部はおろそかにしていたそうだ。また、不用意に打電した、視察に来る山本五十六に関する暗号がアメリカ側に解読されていたらしく、彼の搭乗する飛行機のみが打ち落とされたのも有名な話だ。

 

4.明川保安林管理道〜林道ヤヲトシ線

 

さて、歴史に学んで飲み物や食べ物をしっかりと調達し、周りの人に今後のプランを聞かれないように注意して、お互いにルートを再確認する。そして、同国道をheading050で走行し、ドライブイン伊勢神の脇道へ左折。いよいよ山へやって来たという雰囲気になり、本日の一本目、明川保安管理道入り口へ到着する。

 

さあ、行くぞ

 

実はこの道は当方初めて走行するので、全く様子が解らない。ひとまず入り口で「無事これ名馬」とツーリング心得を復唱し、進入開始。見たところそんなに荒れておらず、初めてのマシンの性能試しや初心者の練習には良い道だと思って右にカーブすると、いきなり深い縦溝がえぐれているではないか。おっととぉ、すかさず溝をまたがない走行ラインにXLRを乗せていく。危ないながらも無事に通過できた。最初からコケていたら話にならんからなぁ。

 

それはそうと、XLRの車体は整備済みだが、買取時に装着されていたタイヤはミシュラン・シラックであり、未だ交換していない。これは「オフ車に装着できるオンロードタイヤ」と言おうか。ブロックは大きく、背は低い。やや太目の溝が縦横に走っているというものだが、こういう締まった砂利道であれば問題はなさそうだ。実はこの件、ちょっと心配していたので安心した。いや、正確には当方のライディング程度では、何でも良いということだろう。

 

一方OLD氏のマシンのライトも遠いながら、常にXLRのミラーに映っている。とりあえずバイクも人間も慣らしということで、やや控えめの速度で走行していく。んー、この作業道は比較的視界が開けていて、陽が当たって暖かい。ということは、2、3日前に降った雨もすっかり乾いているというわけで、艶姿阿弥陀如来、有難いねぇ。

 

そう思っているとヘアピンカーブの所に分岐点を発見。ウオッ地図で得た地形図によれば、右手の上りは行き止まりだ。また、ヘアピンを曲がって左手の方が大野地区の集落へ繋がっている。しかし、この地形図からは、反対側の小畑町からも道が伸びていて、実は行き止まりの道と完抜している可能性もありそうだ。これは迷うところだが、OLD氏と話し合い、あえて行き止まりかと思われる方へ進んでいく。こちらはガレガレのドロドロで、廃道とまではいかないが、あまり人が入っていないようだ。これはだめかなぁ、と思いつつ、1.5km程進んでいくと松の木が道の真ん中に倒されている場所までやって来た。もはやこれまでか。

 

思案中・・・

 

しかし、ここは若いOLD氏。松の木を横へ移動させてマシン一台分の通り道を確保し、さらに進んでいく。うひゃ〜、松の葉が覆いかぶさってくるぅ〜。ということで、広場で終点を迎えた。地形的にこれ以上は道を造れないのだろうか。完抜を期待していただけに残念。

 

少々疲れたし、かなり暑くなってきたので服装を整えよう。当方はモモヒキまで装備していたので、大胆にも大自然の中で脱いでいく。元来日本人は自然と一体化することで生きてきているので、なんだかパンツ一丁になっても気分が良い。だいたいOLD氏以外に見ている人もいない。二人で笑いながら服装を調整するという、ちょっとおバカな瞬間を楽しんだ。

 

この後、今来た道を戻り、前述のヘアピンカーブから大野地区へ下っていくが、集落の直前に左手から繋がるきれいな未舗装路があるではないか。非常に気になるが、地形図に載っていないので、また後日調査することに。

 

こうして一本走り終えたわけだが、林道名を表す看板には林道ヤヲトシ線と書いてある。あれ??明川保安林管理道じゃあなかったっけ?最後の最後で現れた道がこの名前かもしれない。

 

5.早速予定ルートから外れて

 

当初の予定では、ここから国道153号線へ戻り、林道小田木本洞線を目指すことにしていたが、地形図を見ると伊勢神トンネルの東側から坪崎川沿いに伸びる道がある。未舗装かどうかわからないが、可能性もあるかもと期待しつつ、調査ということで県道360号線、490号線、484号線と繋いで、この道を通ることに決定した。こういうルート変更が意外な結果をもたらすこともあるので、ツーリングは止められない。

 

両者小躍りしつつ、件の道へ進入して、標高を上げていく。ここは典型的な整備された林間の道であり、木々の隙間から陽の光が入ってくる。また、やや湿度があり木の香りがする空気もうまい。

 

さて、肝心の道であるが、並行東海自然遊歩道が通っている関係で良く整備されていることから、結局はただの舗装路であった。ああ、残念だとちょっと疲れてしまったので、遊歩道の人用に設けてある峠のベンチにて休息することに。また、ちょうど良い時間なので、手持ちの食料で昼食とする。OLD氏はソーセージパンやハンバーガーなどをがっつりと補給しているが、当方は携行に便利で胃もたれが無い、カロリーメイトブロックをかじり、ウイダーゼリーもすすっておく。

 

休息中

 

それにしても今日は天気が良い。春晴れという言葉はないが、まさに快晴である。ただ、やや風が冷たく感ずるが、これは北極振動による寒気の流入らしい。この冬は年末からしばしば寒気の流入があり、都市部でもちょいちょい積雪があったことを思いだす。エル・ニーニョ現象は今だに続いているらしいが、今年は北極振動の影響が強いようだ。

 

まあ、これがかえって気を引き締めてくれて、適度な緊張感を維持できていると思う。さて、食事をしながら新社会人の会社の様子などを聞く。まだ研修中で配属は未定だそうだが、車輪仲間もできつつあるらしい。職場というと、どうしても利害関係が発生してしまう可能性が高いが、休みなどが合わせやすく、一緒にツーリングなども行きやすいところは良いかもしれない。また、その業界特有の話題で盛り上がったりすることも楽しい。管理人の所属するWRT連合会も広い意味で同業者なので、そういう傾向があるように思える。

 

いずれにしても楽な仕事というものは無さそうなので、このように趣味の時間を設けて、自己を開放してやることも良い仕事への活力となることは間違いない。

 

6.連谷2号線〜小田木本洞線(作業道不動沢線)〜藤平線

 

食事をとり、休息も十分。ということで、この休息所から伸びる連谷2号線へ進入する。というのも、この林道には真新しい看板が出ており、また地形図では行き止まりだが、逆方向からも道伸びてきていることが記されている。これは行ってみても損は無いと判断したわけだ

 

この連谷2号線はうっそうとした森を貫く林道で、路面は土でありやや湿っぽい。こういう状況下ではシラックではちょっと辛い。やはり泥がタイヤ溝に詰まってしまい、グリップを失ってしまうようだ。ともかく慎重に車輪を進めて行こう。

 

最初の区間は轍もはっきりしていたが、だんだんとそれも無くなり、廃道の様相を呈してきたかと思ったら、送電線の鉄塔が現れて行き止まりになった。が、ここがひどくぬかるんでいて、当方は足元をすくわれて転倒してしまった。情けなし。先輩の面目まる潰れ(そんなものあったのか?)だ。

 

ひとまずバイクを起こしていると、OLD氏は興味深く周りの状況を確認している。あまり気にしていなかったが、この林道は際から深い崖になっており、遥か下の方に沢が流れている。「ここに落ちたら痛いですよねぇ」とOLD氏。「途中で小木に引っかかるだろうけど、痛いだろうなぁ」と答えたが、そういうことが無い様に気をつけなくてはならない。

 

この後、連谷2号線を戻り、小さな集落を抜けて、伊勢神トンネル東側で国道153号線に合流した。ここを左折して稲武方向へ向かい、小田木本洞線へ向かう。当方の調べた情報によると、水色のシルクロードという喫茶店を越えて2km程の所に入り口があるようだ。無いなぁ、と思っていたら看板がありました。慌てて右折して進入していく。ミラーで後続のOLD氏も進入してきたことを確認して、速度を上げていく。かなり綺麗に舗装されていて、全線完全舗装済みの様相だ。ガックシ。まあ森林浴と思って、トコトコとXLRを進めていく。こういう時には4ストロークの方が断然楽だ。さて、それはそうと、途中に新たに採掘されたような未舗装路を発見。気になるが、とりあえずパスしてさらに上方の峠を目指す。

 

こうして、さらに標高を上げていくと、頂上付近に作業道不動沢線と書かれた杭を発見。これは先ほど下で見た未舗装路と繋がっているに違いない。そう思い、喜び勇んで進入していく。この頂上付近は路面が乾いているが、少し進むと急勾配の下りになり、だんだんとぬかるみになりだした。それでも完抜間違いなしと判断しているので、そのままのペースで下っていく。するとユンボと倒木で道が塞いである地点に到着した。

 

道は通じているが・・・

 

バイクを停めて、周囲からここを通過できないか調べてみるが、切り株と枝が大量にあり、残念ながらここで折り返すしかないようだ。そしてふと倒木のところを見てみると、ハスクバーナのチェーンソーと少々の荷物が放置してある。どうやら間伐の作業中で、たまたま昼休みで現場を離れているだけのようだ。それにしてもハスクのチェーンソーを使用しているということは、かなりベテランの方が作業しているものと推測される。と言うのも、ハスクのものは全般的に馬力の高いものが多く、それは早く木を切ることを意味する。しかし、それを支えるのはもちろん人間であり、切る速度が速いということは、それだけ力を込めているからだ。慣れていないとすぐにヘタバッテしまう。・・・と林業組合に勤める兄貴が言っていた。当方はただ引用したにすぎない。ま、不動沢線は作業をしていない日曜にでも通しで走行しましょうか。

 

急勾配の不動沢線を上って戻り、再び小田木本洞線を進んでいく。するとテーの字の交差点へ飛び出してきた。左が小田木線、右が藤平線となるのだが、とりあえず左折してみると、なにやら新しい道があるのでそちらへ向かう。すると眼前には広大な広場が現れた。どうも何かの施設を工事中のようだ。ゴミの焼却場次原かな?

 

戻して次は藤平線へと進んでいく。こちらは比較的平坦、かつ乾いた砂利の路面であるから、わりと走りやすい。カーブも少なく、やや速度も乗ってくる。気を良くして走行していると、国道153から分かれてくる農道へ出てきた。お、ここに出てくるのね。この農道は目下工事中で、ゆくゆくは笹暮もみじ街道に繋がるものだ。

 

7.駒ヶ原裏谷林道〜椹尾谷林道〜大田口休息所

 

この農道から脇に逸れる旧道が駒ヶ原林道のアクセス路になっている。ちょうどよいところへ出てきたな。まあ藤平線の近辺については後日調査ということで、駒ヶ原林道へ向かう。

 

農道を逸れて、入り口にやってくるが、ここで新事実というか、今まで見逃してきた事実を。実は駒ヶ原林道は2線あり、ひとつは駒ヶ原宇連林道、もう一つは駒ヶ原裏谷林道だ。さらにこの宇連の方には第2支線が繋がっている。そして、前者2線はどちらも県道33号線に接続しているのだが、いつもは宇連林道を通っているので、今日は裏谷線林道へ進む。

 

こちらはの路面状況であるが、林間の道で、けっこうヌタヌタだ。例によってタイヤがシラックなので気をつけよう。因みに宇連線はもっとうっそうとしていて、尖った岩でガレていたと思う。また、裏谷線は支線も多い。もっとも、本線との整備状況に差があるので、間違うことはあまりなさそうだ。なんて油断していたら、やはり間違えてました。

 

ヌタヌタの道をドンドコ行くと、倒木で道が塞いであるではないか。しかし、その先へも道が続いているので、徒歩で先へ進んでいく。するとその先は獣道になっていた。これでは進めないなぁと退散フリッパーGTRであるが、「管理人さんはよく今まで独りでこんなことしてましたねぇ」とOLD氏。別に無茶しないで、適当な場所で引き返していれば大丈夫だし、結局自然には逆らってはいけないのさと答えておいた。

 

この後支線を引き返し、本線へ復帰する。そして標高を上げていくと、木々が広葉樹となり、明るくなってきた。ということで、路面も乾いて小砂利へと変わるので、走りやすくなってくる。また、カーブミラーも設置してあり、安心感も倍増だ。こうなってくると気が大きくなってしまい、スロットル開度も大きくなる。やや速めにコーナーに進入して、少しだけ深くバンク角をとると、時折ドリフトに持ち込めたりする時もある。またS字を左右に切り返すと快感だ。

 

ちょっと息があがってきたので、林道出口で休息する。OLD氏も当方と同じくらいの速度で追ってきていたし、良い道だったと話し合う。彼も徐々に乗れてきたようで、その上達ぶりはさすがだ。もっとも氏曰く、「何べんも飛びそうになっている」とのことだ。

 

裏谷林道出口にて

 

さらに、「山が好きだ」ということを発言していたので、「男は皆、山が好きなんだ。女性の胸だって、下腹部のちょっと下辺りだってもりあがっている方がいいだろう?」ってオッサン丸出しの管理人だ。

 

くだらないことを言ってから、県道33号線へ合流し、さらに東へ進み椹尾谷林道へと車輪を入れていく。おや、西側入り口の舗装が新しくなっている。ひょっとして舗装化が進んでいるのか。いやな予感がしたが、さらに奥へ進むとダートになったので一安心だ。これ以上舗装しなくてもいいよと思うが、そうはいかないわな。

 

ともかく、この道は一部フカフカになっている以外はかなり走りやすい。右側に沢を見ながら(管理人としては)ハイペースで下っていく。東側から走ると上りでさらに走りやすいのだが、今回のように西側からでもけっこういけますよ。こういう道ならばタイヤなんて大して気にならないし、シラックのようなタイプの方がグリップ感があって良いのかも知れない。そう思うとイッチョかっこいい所をみせてやるか、と先輩風を吹かせてドリフト状態が続くように、スロットルを開けっ放しでコーナーをクリアしていく。また直線でも60km/h近いところまで加速してみる。するとリアタイヤがポンポンと跳ねて暴れるが、それほど恐怖感は無い。だが、何かあるとまずいので、この辺りで自重しておこう。

 

こうしてダート区間が終わり、あとはいつも路面が濡れた、コケも生えている舗装路を慎重に抜けていく。どっちかというと、純ダートよりも、こういう中途半端な路面の方が怖い。何回か話題にしているが、管理人はここでハイサイドをクラって肋骨を折ったことがある。もっともそれに気がついたのはその後半年程してからであったのだが・・・。というのも、別の検査で肺のレントゲンを撮ったら「肋骨折ったことある?」って聞かれたからだ。よくよく医師に尋ねてみると「3、4箇所肋骨が折れて、繋がった跡がある」と指を差して教えていただいた。そういえば、なんか転倒した後、胸の奥のほうが鈍く痛んだような気もするなぁ。

 

そんなことを思い出して、再び県道33号線へ乗り、大田口休息所で停車する。ここは良いところなので、休息地点に向いている。

 

おなじみの大田口休息所

 

さて、前述のように今日は「春晴れ」であり、タケノコが生えるが如くに多くのバイクが出ている。しかし、オフ乗りは我々だけであり、ちょっと浮いてしまっていた。かく言う管理人だって、TDMで出動する方が断然多いのだから、当たり前と言えば当たり前である。今シーズンはオフの回数が増えると面白いかな。

 

8.田内野平線〜西川林道〜栃洞金沢線

 

ちょっと陽が傾きつつあるが、ここからがメインエベントだ。とその前に、この先は路面も安定しているから、お互いの機材交換して、自車と比べてみようという試みだ。これは、その時々で発見があるので、結構好きなんだよな。

 

3FW型機のセルスターターを押し、エンジン始動。JD16型の4ストエンジンに比べてすごく頼りないアイドリングだ。クラッチを繋いで国道257号線を走行し始める。低速では頼りないなあとちょっとアクセルを開けてみると、スパーンといきなり加速し始めた。おお、やっぱり2ストってこういうものだな。XLRと入れ替わりに売却したKDXは、もう少し低速もあったと思うがパンチ力は同じ傾向を示している。っと、速度も80km/h近くに達している。明らかにXLRよりも速度の乗りは良い。また、車体も一回り大きく、安定感もある。ハンドリングも安定志向で、コーナーではやや大きめのアクションを入力すると決まるようだ。これは林道が楽しみだ。

 

田峰地区から集落へ入り、林道田内野平線へ向かう。床屋の所の細い道を入っていくのだが、行き過ぎてしまった。申し訳ない。「なんでこんなところでUターンするだ!」とOLD氏は言うわけもなく、引き返して件の細い道へ。どうでもよいが、当方この何でも無い道が好きなんだよ。というのも、この横に沢が流れており落差4mくらいの滝もあるので、夏場は涼しく感じる。

 

さあ、やるぞと田内野平線入り口だが、「舗装工事中」の看板が。ついにここも全線舗装されてしまうのかぁ。西側はすでに舗装が始まっていたが、ついに東側からも・・・。とりあえず行けるかもしれないので、進入してみる。すでに舗装準備の為、路面が踏み固められている。よって乗り味は舗装路と変わらない。げげ、前方からローラー車がやってきた。おいおい、踏み潰されそうな勢いだ。と思っていたらうまく我々を避けていってくれた。ふぅ〜びっくりしたぁ。

 

さらに上っていくと今度は測量する人がいて、蛍光色の糸が張ってある。これ以上は邪魔できないので、というか進入してはいけなかったと心の中でお詫びして、引き返す。残念ながら田内野平線は走行不可ということで終了。

 

仕方なく、国道257号線へ戻り、しばらく緩やかなワインディング路を走行して、赤沢地区で右折。県道365号線で弁天谷沿いにheading330で高度を上げて、(汎用)西川林道入り口へ向かう。この林道は栃洞線などと接続しており、出来山南斜面に大林道群を形成している。県内では超一級の林道だ。その一番南東の入り口がこの西川林道の弁天谷入り口というわけだ。因みに田前述の内野平線を走ることができたなら、ここの入り口の前に出てこれるのさ。

 

ここで一旦休息とし、担当機材を元に戻す。当方がDTの感想を述べ、OLD氏にXLRの評価を尋ねてみる。曰く「まずシートが良いね。ケツの痛さが全く違う。そしてギアチェンジが半分程で済む」ということであった。この評価を聞いて、当方はKDXから乗り換えて、一応目的に近いものを選択できたと安心した。自分ではたぶんツーリングにはこちらの方が性能は上、と感じてはいたが、客観的評価も得られたというわけだ。

 

西川林道入り口にて

 

こうして自分の機材で西川林道へ入っていく。さて、この林道群の路面はほぼ共通で、締まった砂利ダートという好条件だ。また、この南東の端から北西の端までは20km以上の未舗装路なので、練習には良いし、気分も良い。残念ながら展望はイマイチだが、数箇所見晴らしの良い場所もある。

 

さて、走行開始だ。最初はゆっくりと、丁寧に操縦をして、徐々に速度を上げていく。右手には荒削りの山肌、左手には深い沢、典型的な林道の風景だ。そしてなによりも嬉しいのはこの路面。タイヤのことなど全く気にならない。いや、実はマシンがしっかりしたオフ性能を有していれば、またライダーがきちんと操作していれば、問題は無いのかもしれない。ん、途中高原林道?との分岐点があったが、こちらは未調査なので時間があるときに後日走行するとしよう。おっと、深く曲がり込んだカーブもあるぞ、気をつけないとまっさかさぁ〜まぁ〜にぃ〜落ちて(堕ちて)ディザイァ〜。こういうときは、バンク角を大きめにとり、タンクに座るくらいの場所に着座、そしてアクセルワイドオープンだぁ。

 

こうして西川林道がドンツキになったら、左折してheading270で栃洞線をいく。右はさっき通過した県道33号沿いの段戸湖だ。ここから暫くは、針葉樹系の林を突き抜けていく、直線中心の区間だ。ただ、遊歩道にもなっているので、歩行者には十分に注意が必要だ。そう思っているそばから、写真を撮影している人がいる。申し訳ありません。そして、OLD氏デビューの日に上ってきた栃洞林道を横目に、さらに西進していく。そうすると林は開けてきて、空が見えるようになる。

 

そして、牛渡橋前数キロ地点からは、また山肌と谷を見る、カーブした林道になっていく。このあたりの路面は尖った岩が埋まっているので、跳ね飛ばされないように注意をしなくてはならない。関係ないが、南海キャンディーズの静ちゃんは「しゃべる岩」というあだ名があったそうだ。

こんな感じで夢中になって走っていたので、あっという間に絶景ポイントへ到着した。

 

さすがに疲れたので、菓子を食べたりして休息する。ここまで、OLD氏も遅れることもなく(当方が先導だから当然か)、また転倒も無い。二人で路面状況や、見えたものについて語り合った。こうして互いの持つ感覚を共有することに

より、新しい発見や走り方も思いつく。当方はソロツーリングが基本だが、時々行う2、3名のツーリングも様々な意味で有益だし、楽しい。もっとも、これにはお互いに「気心が知れている」という信頼感が必要だ。これなくして、グループツーリングは有り得ない。

 

写真を撮ったり、糖分を補給したりして再始動。さあ、ここでOLD氏にコントロールをお願いしよう。ここまで遅れも無かったし、時折ミラーから見える走りを見る限りではもう心配はない。3FW型機のコパイとして十分な技量を備えているはずだ(当方が言っても説得力は無い)。それでは、OLD氏のコントロールで行ってみよう。

 

 

栃洞金沢線の絶景地点にて

 

走り始めて直ぐに、下り勾配のヘアピンがある。そう言えば、下り勾配はまだ恐怖感があると言っていたが、それは誰でも同じだ。上りよりも下りの方が怖いことに変わりない。問題はそういう時の対処方法で、氏のように慎重にクリアしていけば問題はないだろう。そう思い安心していたら、減速が遅れたのか、リアタイヤをブレーキロックさせて、ケツを振りながら山肌へ向かっていくではないか。おおと、危なかった。しかし何事も起こらずに、そのまま走行を続けていく。これでビビるかとも思ったが、コーナーで時折アグレッシブなスライドを見せたりしている。やるではないか、OLD氏。ただ、ちょっとコーナーへ突っ込み過ぎる傾向が見られる。もう少し早めに減速して、出口でスロットルを開ける、いわゆるスローインファーストアウト走法の方がもっと楽しめることだろう。

 

こうして、OLD氏の積極的な走りに先導されて、林道群西の出口へ到着した。

 

9.最後の追い込み 名も無き林道〜保土嶋線〜尾根線

 

まだ少し時間があるので、ここから接続する名も無き林道、舗装された林道、そして保戸嶋線、尾根線へ向かう。まずは前述の出口のすぐ横にある名も無い林道へ進む。今まで様々な種類の路面に遭遇してきたので、ここのような湿った路面でも特に恐れることは無い。無難に林道を退出して、暫くは舗装林道を南下していく。すると、左手に保戸嶋線の入り口だ。ここは乾いた路面のダートで、走りやすい部類だろう。勾配もそれほど厳しくない。こちらも難なく終了。ただ、南側区間に少し舗装が入っている。平成20年とプレートが埋めてあるので、徐々に舗装化が進んでいくのか。残念。

 

保土嶋線退出点にて

 

さらにここから根尾線を目指して旧の段戸トンネルへ。ちょっと前までは昔はトンネルの面影があったけど、今は完全に埋められてしまった。新段戸トンネルができる前、免許とりたての頃はここを通っていたのかなと思うと、年齢が増えたことに憂いを感ずる。

 

そんな気分を抱えて尾根線へ。ここはうっそうとした路面で、注意して県道377号線へ退出した。

 

この後、国道473号線。野原から三河湖の近くを通り、301号線で豊田方面へ。さらに沈んでいく夕日を追いかけるように、国道153号線を西へ走行していくが、そろそろ双方ケツの痛みが限界に。最後は信号待ちで止まる毎に、ケツをシートからおろしてました。立っている方が楽というのもおかしな話だが、人間は直立歩行の動物故、こういう現象も起こりうるのだろう。

 

10.まとめ 

 

今回のツーリングは未舗装路走行の割合が比較的多く、XLRの特性を把握するには有益であった。特に新品のリアサスの性能チェック、未舗装路面に対するタイヤの有効性も確認できたことは大きな収穫だ。

 

さて、XLRの評価であるが、絶対馬力こそKDXには遠く及ばないが、力不足も感じない。これは広いパワーバンドを持ち、回り始めから粘りを発揮するエンジン故であろう。結果、ギア比をワイドにしたな5速ミッションにより、ギアチェンジの減少にも貢献している。

 

車体にしても、適度な剛性のフレーム・スイングアーム、正立タイプフロントフォーク、どれも扱いやすいものだ。結局超高剛性の車体に超強力エンジンのモトクロッサーレプリカ、KDXは性能は格段に高いが、ロングツーリングを好む管理人の使用方法からは少し外れていたようだ。もっとも、体力がある頃は良かったが、3回目の年男も過ぎてしまった今では、乗って苦痛を感ずるようになってしまったというわけだ。因みにXLRもKDXも車輪の稼動量については、ほぼ互角だと思われる。いや、XLRのほうがスイングアームが長いので、実は路面追従性は高いのかも。

 

 

さて、OLD氏であるが、次はフライトプランの作成手伝いをお願いしてみたい。また、当人も言っていたように、DT整備を進めたいところだろう。まずはタイヤということだが、ステアリングステムや、リアサスリンクのベアリング注油なんかもお忘れなく。

 

それにしても今日は良く走った、今度は距離を落として、温泉に浸かりながらなんてのも良いかもね。

 

本日の走行210km