今年初の林道ツーリング

〜時間は短いが、中身は濃いよ〜

 

2011年3月6日

 

いつもの見晴らし休息地点にて OLD氏

 

0.オフの季節到来

 

ご存知の通り、当方は年中オートバイに乗っている。真冬でも、週に1度くらいはエンジンを熱くしておきたいし、月に1回くらいはツーリングもしたい。つまり、シーズンオフは存在しないのだが、オフロードに関しては話は別だ。中には真冬でも、雪の積もった林道を走破されたりしている「超上級者」の方々も見えるが、当方はそんなことができる腕、気合が無い(自慢することではない)。

 

そんなわけであるが3月になり幾分春めいてきたので、我らが仲間である、期待の若者OLD機長候補生と共に、いつもの林道ツーリングへ出かけることになった。彼は今年は社会人一年生ということでかなり苦労をしているようであるので、丁度息抜きに出かけたいと考えていたようだ。しかも、今回はニューヘルメットを手に入れての登場だ。

 

1.集合〜出発

 

当日は天気もまあまあ良く、多少の雲が出ているだけで気温も高めであった。ところで、当方は午前中、先日掲載を開始した「トリデ二校作戦」に出かけていたので、昼食後の13時に当方宅へ集合となった。OLD氏も疲れていることだろうし、もちろん当方は若くないので「かる〜く」林道始めをするということで合意していたのだ。

 

さて、とりあえず当方宅でフライトプランの作成にかかる。今日は「いつものコースを午後から4時間程度」という構想は考えていたが、具体案は何も考えてなかったのだ。そこで、今回は、いつものコースの省略版を採用した。というか、それしか思いつかなかったのだよ、ヤマトの諸君。良いルートの開拓はオンにしろ、オフにしろ、いつも大変だ。しかし、これがなぜか非常に楽しいので、今でもバイクに乗っているのだろう。ところで、OLD氏他WRT連合会のメンバーにはそういう方はいないが、いつかのドルー氏のように「計画が無いことに文句をつける」方もみえる。

 

「そんなことも考えとらんのか!」とか言われそうだが、確かにその通りだ。しかし、計画を立てること自体をこちらに丸投げしておきながら、そんなことを言われる筋合いも無い。補足しておくが、この一連のドルー発言は、昨年末のWRT連合会の忘年会でも話題になり、メンバー他関係者は爆笑の渦に巻かれてしまったのだった。

 

さて、プランを提出し、承認となったので、早速XLRに火を入れる。この機材は通院やちょっとした買い物などで、ほぼ毎日稼動しているから調子は良いのだが、昨日ついに右側フォークの「ジャバラ」が破れてしまった。当方は言わずと知れた「ジャバラ評論家」であるが、まさかその当人が破れたままにしておくわけにはいかない。早速行きつけのHTN長久手で部品を取り寄せたおいたのだが、実は一昨日交換したばかりだ。つまりは1ヶ月以上も破れた箇所にテープを貼ってごまかしていたのだ。もう評論家は引退することにしよう。

 

まずは当方の先導で、県道11号、グリーンロード力石I.C.を経て、国道153号線で香嵐渓へ向かう。そしていつものコンビにて物資の補給を済ませる。ところで、今日は暖かいので、たくさんのバイクが出ている。いよいよ今年もシーズンが始まったというところだろう。その大勢の中に何やら異色のグループを発見した。どうやらSRXの同好会の方々らしい。皆さん再塗装などでマシンを綺麗に仕上げてある。とても20年以上前の機体とは思えない。ただ残念だたのは、皆が脚周りなどを改造していたことだ。と言うのも、当方は、このバイクについて、あのフレームと脚周りの剛性バランスが、操縦の楽しさに繋がる1要素であると考えているからだ。果たしてどんな乗り味になっているのか。また、全く関係ないが、ここに時々、前述の「ドルー」が「散々にこき下ろしていた彼の同僚であるR1氏」と共に出没しているようだ。昨年の梅雨時期に、偶然にもというか、不幸にもというか、ネタ的によい時候柄というか、「ドルー」に遭遇した時は大いに驚いた。しかも、その時もOLD氏と一緒だったのだ。

 

 

いつもの補給地点にて OLD氏

(ヘルメットはヤマハ純正のGIBSON)

 

「今日は遭遇しなかったね」と水分補給をしながら笑ってしまった。おっと、噂をすれば・・・ということもあるので、さっさと林道へ向かおう。

 

2.林道走行(その1)

 

まずは県道33号線沿いにある林道その1へ向かう。名前は聞かないで欲しい。ここは2km程の短い道だが、勾配がきつい上にけっこう荒れている。ただ、恒常的に用いられているようなので、極端に路面状況が悪い所は無い。もっとも、昨年の晩秋に出かけた茶臼山の方にある「とっておきの超悪路」に比べたら問題にならない。あそこはトライアルの練習をしたい時にお薦めだと補記しておこう。

 

昨年出かけたトライアル場のような道

(なぜかバイク一台分が通ることができる幅がある)

 

こうして勾配を2速ギアで引っ張りつつ、どんどんと駆け上がっていくのだが、なんかやけに寒くなってきた。それもそのはず、峠付近はかなり残雪があり、しかもカチコチに固まっている。また、壁面には湧き水が凍ってツララを形成している所もあった。まだまだ山は冬なのだなぁ。おっと、よそ事を考えて足元をすくわれないように、慎重に車輪を進めていこう。

 

拳大の石がゴロゴロとしている西区間を抜けて、ようやく砂の東区間に入ってきた。やれやれと肩の力を抜いて走行を続けていたら、ミラーに映っていたOLD氏が来ていない。しばらくそこに停まっていても来る気配が無いので引き返してみると、一つ前のコーナーでコケていた。もっとも、前述のように路面は砂地だし、速度も遅い区間なので大したことは無いようだ。そういえば、このコーナーを出てミラーを確認したら、DTの白いフェンダーが下の方に見えた。あれは寝かしていたのではなく、コケていたのか。納得。

 

ひとまず休息して、水分補給をする。林道走行は体を振られまいと力が入ってしまうので、予想以上に体力的に厳しいのだ。ところで、氏は冷静にも転倒の原因を分析しており、見解を開陳してくれた。それによると、「轍の間の盛り上がりに乗り上げてしまい、前輪がグリップを失ってしまった」ということだった。なるほど、右コーナーで右側に車体を倒しながら盛り上がりを越えようとする際、フロントのグリップを失ってしまい、結果盛り上がりの左側にタイヤが落ちてしまった、ということか。よくある、というか典型的な林道でのコケ方だ。当方なんてそれで何回やられたことか。数える気にもならない。「よくあることさ」と氏を励ますが、彼としては結構ショックだったようだ。

 

転倒した地点のタイヤ痕を分析するOLD氏

 

3.林道走行(その2)

 

こうして荒れ気味の林道の東区間を無事に下り終え、次の林道へ向かう。こちらは池の向こう側から進入していくのだが、入り口付近にXLR250とWR250のベテランと思われるペアの方々がみえたので、彼らに先に行ってもらう。こちらは当方も含めて訓練生の身分なので、邪魔したくないというわけだ。因みに当方はKDX125とXLR125で500時間程度の乗務経験があるが、その内林道は50時間程度だ。OLD氏はDT125Rで250時間程度、その内、林道は当方と同じ50時間くらいだろうか。ということで、ここからはヤマハ式3FW型機、機長候補生のOLD氏にコントロールをお願いして、ホンダ式JD16型機訓練生の当方は、後方からナビ役に回る。

 

こうしてフラットで走りやすい林道その2の走行を開始するが、早速驚いてしまった。と言うのも、OLD候補生の走りは昨年とはまるで別モノになっているからだ。コーナー入り口での減速はは無駄が少なくなったし、出口では時折小石を巻き上げ、リアタイヤを空転させることができるくらいにアクセルを開けている。いつの間にこんなに上達したのだろうか。やはり氏の若さと情熱が大きく寄与していることと思われる。また、DTの操縦特性にもかなり慣れてきているようで、意図的なスライド走法も試みているようだ。また、昨年タイヤをIRC社製の「110(ワン・テン)」という銘柄に交換しているので、心理的にも安心感が増しているのだろう。それにしても、このタイヤの選択が渋い。普通はBSかダンロップ、いいところミシュランから選択することがほとんどなのだが、IRCとは。というか、IRCからこういうタイヤが発売されていることすら知らなかった。また、これについて、タイヤのプロであるR1-Z氏は「昔からある、エンデューロ用のやつでしょ?」と、当然の如く知っていた。サスケ、いやサスガ。

 

こうしてOLD氏に従って走行をしていくが、いきなり最初の分岐点で間違った道を指示してしまった。「基本的に右を選択していけばOK」なんて偉そうに言っておいて、なんで左の方を指示してんの?まったく俺って。結局そのまま終点まで走行して、ピストンで戻ることにする。それはそうと、この道の峠付近も、まだ雪がかなり残っている箇所があり、ちょっと驚いた。さらに、終点付近では沢が増水していて、軽い川渡りもすることができた。まさにスプラッシュ!

 

元来た道を戻り、再びスプラッシュ!をして、最初の分岐点に到着、そのまま今日の予定コースを走行していく。それにしてもこの辺り一帯は非常に走りやすい道だ。適度に締まったフラットな路面、さらに直線も長い。OLD氏も2スト特有の青白い排気煙を上げて快走している、ノリノリ走法だ。

 

こうして岩肌からの湧き水が凍り、ツララができている所で停車し、休息と写真撮影を行う。「(俺が偉そうに批評するのもおかしいが)随分と上達したねぇ」と当方が発言すると「いやいや、管理人さんにはかなわない。何度も飛びそうになっていますよ」と謙虚なOLD氏。これで「ロードバイク購入計画」が現実になったならば、きっと上手く乗るに違いないころだろう。

 

                             

                           ツララ郡を見て驚くOLD氏                       つららを持って暴れる管理人(血迷ったか?)

 

ところで、いままでいろいろなライダーを見てきたが、こういうオフから入っていく様式を選択する者は小数派ではなかろうか。当方にしても、W氏にしても、R1-Z氏にしても、当方の兄貴、先輩の赤ディー氏、様々なライダーを思い出してみるが、皆オン車から入っている。特に最後の2名と当方はNS50F、VT250系とステップアップしている。個人的にはこれが王道かと思っているのだが、オフでステップアップする方が後々良いのかもしれない。いずれにしても、OLD氏は期待の新人である。共に学んでいきたいものだ。

 

この後も引き続きOLD氏のコントロールで走行し、やや路面が荒れ気味のコーナーや勾配も現れ始める区間に突入する。しかし、相変わらずの好走を続けていくOLD氏、それに対してやや疲れてきたか俺。なんとかいつもの見晴らしが良い地点で、再び休息を取る。

 

さて、快走するOLD氏は、実は花粉症に悩まされている。そしてこの見晴らしポイントからの景色は・・・、一面の杉林だ。氏曰く、「これからがキツイんっすよねぇ」と。幸いにも当方の症状は極軽いが、今年は花粉の飛散量がかなり多いと予想されている。また、「だいたい、こんな杉ばっかりの山にするんじゃあねぇよ」と戦後の植林政策に恨み節もでてくる。そりゃそうだ。木を植えりぁいいってもんじゃ焼き、いやもんではない。今後の山林管理計画に期待したい。

 

こうして最後の区間を走り出す。氏の好走はますます度合いを上げてきて、もう誰も止められない。当方も負けじと、「よっしゃ、俺もたまには良い所を見せちゃおうかな」なんて考えていたら、右コーナー進入で「あ・・・」前輪がすくわれて、アンコントローラブル状態に陥る。ここで「どうやら轍の間の盛り上がりで前タイヤのグリップを失い、右側に車体が進んでいる」と感じたようで、無理やりに車体を左へもってこようとしていた。すると今度は前輪は盛り上がりを越えてしまい、後輪を軸にするように路肩へ向かっていく。「ということは、崖に落ちる」、と思い、バイクから離れた。前述のOLD氏のコケ方と同じ、典型的なオフゴケだ。

 

当方は路面に転がることはなかったが、マシンは路肩に引っかかって下に落ちそうになっている。「やっちまったよ」と思いながら、マシンを引っ張ってみるが、全然動かない。どうやらステップが路肩の土にめり込んでいるようだ。今度は下に回って押し上げようと試みるも、全然力が入らない。こうなったら仕方ない、水分補給をして、写真でも撮ってOLD氏を待つとしよう。

 

あはは、やっちまったよ

 

暫くして、OLD氏が血相を変えて戻ってきたので、「おおい、ここだぁ〜」と助けを求める。「大丈夫すっか」とOLD氏はすっかり慌てているが、この程度のことは時々あることだ。下まで落ちなかったので問題ないよ。

 

ひとまずバイクの引き上げを手伝ってもらい、休息する。氏はすっかりと走行に夢中になっていたようで、ふと気がついたら当方がいなかったとのこと。それで良いのだよ、ヤマトの諸君。変に気を遣うと自分が危ない目に遭うからね。気がついた時に戻ればよいのさ。

 

こうして、このまま終点を越えて、林道走行は終了。途中コンビにで休息を入れて無事に帰宅した。

 

4.DX協会の設立

 

久々の林道ツーリングで楽しかったので、今日の総括をする為に一旦帰宅後、晩飯を食べにいくことにした。今回はOLD氏にはGPSの軌跡取りをお願いしてあったので、その結果も見てみたかったのだ。場所は氏推薦「カフェ・メルス」とした。当方だといつも「とん喜幸」になってしまうので、この方面でも氏に協力を求めた次第だ。

 

この店は量、味共に満足の店で、通常盛の1.5倍が普通盛のようだ。味付けもくどくない。WRTの会合に用いてもよかろう。それはそうと、最近の多機能携帯には驚いた。走行軌跡はもちろん、速度や標高までもグラフ化されて表示される。詳細を分析してみると、今日は標高1000m級の山を走行したようで、休息も含めて平均速度は30km/h弱ということだった。

 

さて、話は変わって、OLD氏はWRT連合会の正式メンバーであるが、同会の活動はオンロードツーリングに限られている。しかし、OLD氏の場合、現状の機材ではオフロードツーリングに行かなければ意義が薄くなってしまう。

 

そこで、今日、この場の思いつきで「DX協会」の設立を決定した。これはWRT連合会のオフロード版団体として位置付けられるのだが、特にWRTとの区別は無い。ただ、OLD氏の立場を明確にしたいだけだ。正式に当方等の仲間なのだから、そのくらいのことは常識だ。ということで、ここにDT協会憲章を制定した。

 

DX協会憲章

 

「やはり2輪は手弁当(全ての責任自分持ち)」

「ゴリ押し、無理強い禁止」

「計画ルートに拘らず、予定時間も目安程度」

「ルート間違いも計画のうち、出たとこ勝負もまた一興」

「査察を受け、技量維持に努めれば安全運転にも繋がる」

「家に帰るが究極の目的」

 

なんのことはない、WRT憲章と同じ考えである。ただ、査察をする人がいないことがやや心配だ。ともかく、当面は技量維持に努めなくてはならない。

 

これにて、今年初の林道ツーリングは終了。お疲れ様でした。

 

本日の走行 160km

 

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