バネ下重量に関する一考察

 

2009/05/17

 

0.はじめに

 

管理人による真面目な読み物。題してバネ下重量に関する一考察。「今更お前がそんなことしなくても、その類のことを解説したものはいくらでもある」という声が聞こえてくるが、全くその通りである。私のようなズブの素人がやらなくとも、専門家がいくらでも説明している。ではなぜ?実はある知人より、当ページにて管理人の考えを聞きたいという依頼があったことに起因している。またそれにより、管理人も勉強し直す(底の浅さをさらけだすともいう)かという気になったことが一番大きな理由だ。つまり、種々の情報源を利用して理解を深め、それを管理人の言葉と考えでもって考察するということが本稿の目的である。それゆえ一般的な考えとは違ったり、間違いが発生する危険性を多分に含んでいることを念頭において読み進めていただくことを強く推奨する。

 

1.バネ下重量って何よ?

 

 ものごとを考察する際には先行してなされた実験等の結果、それにより一般化され常識とされていること、さらには考察するべくものの定義をしっかりと吟味する必要があることは言うまでもない。ここでは、管理人の手元にある資料を基に、バネ下重量とは何かをもう一度考えなおしてみる。

 

さて、バネ下重量というからにはバネの下に存在する質量(またはそれを持つ物体)ということなんだろうが、具体的には何と何がそれに該当するのだろうか。そもそもバネの下ってどういうこと?同じ高さに存在する場合はどうするの?様々な疑問が浮かんでくる。いきなり困ってしまうので、管理人が頼りにし、妥当性があると思われる雑誌から使えそうな記載をさがしてみると、ありました。オートメカニック1998年2月臨時増刊号「くるまいじりのためのメカニズム図鑑」(内外出版社)261ページによると、 

 

「・・・バネ上重量(スプラング・マス)とはサスペンションのスプリングによって支えられるボディなどの重量、またバネ下重量(アンスプラング・マス)とはタイヤとサスペンション・スプリングの間にあるアクスルやデフの重量をさす。」

 

と記載がある。これは4輪車雑誌の記載であるが、基本的考えには変わりない。だって、我々が話題にしているのは単車であるからだ。因みに単車についてWikipediaを調べてみると、「オートバイの通称。側車付き(サイドカー)に対しての呼称」と記載がある。これを管理人的にこれを拡大解釈すると、側車付き2輪車に限らず、2対の前後車輪をもつ4輪車を半分にして一対のそれをもつ乗り物という意味と考えることができるので、ここではこの定義を採用する。もっともそんな回りくどく言わなくとも、4輪と2輪の懸架装置はダンパーとスプリングの組み合わせであるという共通点があることから、この定義を採用可能である。

 

さて、ここでまた気になる言葉が出てきている。スプラングとアンスプラングだ。これは英語のspring(v.t.=他動詞)の過去分詞である、sprungの形容詞的用法であり、これにun=反対を表す接頭辞をつけたものがunsprungということだ。檀れいによって、基となる語springをThe New Merriam-Webster Dictionaryで調べてみると、

 

to move suddenly upward or forward

 

と記載があった。なるほど、「すばやく上方若しくは前方に動かすこと」か。つまり、上方に動くものがバネ上重量で、上方に動かないもの(=2輪、4輪車では下方向に動くもの)がバネ下重量ということになる。もっというと、バネに支えられていて上方に動くということは、バネを上方から縮ませるものがバネ上重量、バネを下から縮ませるもの(=下に動いて伸ばすもの)がバネ下重量となる。

 

これら面倒な言葉の定義を考慮するとオートメカニックの記載は俄然解りやすくなってくる。やはり定義は大事なのである。

 

2.バネ上(sprung)重量、バネ下(unsprung)重量に該当する部品は何?

 

バネによって支えられている(sprungされている)ものとそうでない(unsprungされている))ものを具体的にTDM900にて考えてみよう。

 

我が愛車TDM900

 

 

 上の写真はご存知の通り、管理人の愛車である。これは国道152号線の分杭峠で撮影したものだが、まずは前輪のサスペンション(フロントフォーク)側で考えてみる。上記の定義に従うと、バネ下重量にあたる部品はフォークアウターチューブ、フェンダー、ブレーキキャリパー、ホイール+タイヤ、ブレーキディスク、ブレーキパッド、アクスルとそれぞれについているゴミ等の汚れである。

 

また、後輪サスペンションで考えてみると、リアサスのロッドが刺さっている方、サスペンションリンク、スイングアーム、ブレーキディスク、ブレーキキャリパー+それをスイングアームに留めているネジとアーム、ブレーキパッド、アクスル、スプロケット、チェーン

 

ということになる。リア側はバネ下重量がかなり重いな。

 

ここで引っかかることがある。サスペンション本体でもバネ上とバネ下に分かれるということだ。TDMの場合、フロントサスではインナーチューブはアウターチューブの底を基面として、フォークキャップ(実際にはスペーサーが入っているが)を押し上げる(=sprung)のでバネ上重量、アウターチューブはその際下方に押し下げられる(=unsprung)ので、バネ下重量となる。

 

TDM900リアサスASSY

 

一方リアサス側ではスプリングの底面はダンパーロッドがついている円盤状の部品はバネ下、ダンパー本体、リザーバタンクとフレームへの取り付け口はバネ上ということになる。

 

それがどうした(目をひん剥いて言われても・・・)。ここではTDMに限った論を展開しているが、これがVTR1000SP狭罎覆蕕匹Δ覆襪世蹐Δ。リアサスについては同じであるが、フロント側が異なる。

 

おなじみSP狭

 

そうだよ、倒立フォークジャン。つまりインナーチューブの底を基面にして、アウターチューブが押し上げられる方(バネ上)でインナーチューブが押し下げられる方(バネ下)だよ。ここに倒立フォークの意味を見出すことができる。これについては、後に詳細を検討することとする。

 

3.バネ下重量とバネ上重量の関係から

 

ここまでウダウダと定義に軸足を置いて、サスペンションを中心としてバネ上重量、バネ下重量に該当する部品を分類してきた。ところで、一般にバネ下重量は軽いほど良いと言われている。その理由は何か。その答えを導き出す前に、バネ下重量とバネ上重量の関係について考えておく必要があろう。

 

4輪車では概してでかく、重い車の方が乗り心地が良い場合が多いことは、体感的に知っておられる方が多いと思う。ワゴンRとランクルではランクルの方が明らかに揺れが少ない。これを重量的観点から解釈すると、車重対してバネ上重量が占める割合が大きいことに由来する。つまり、でかい車はでかいボデー、でかいエンジンを採用しているからでかい(=重い)。これにより、バネが押し上げてくる力に対抗するそれを大きくすることができる。もっと言うと、バネの急激な動きを抑えることができるからだ。2輪車が4輪車に対して乗り心地で劣ることは、こう考えると納得できる。そもそも2輪車は圧倒的にバネ上重量の絶対値が軽いからね。じゃあ乗り心地を良くするためにはジャンジャンとボデーなりのバネ上を重くすれば良いのか。そんなことはない。そう考えて、顧客をバカにして儲けているのは世界で一番台数をさばいている愚かなT社だといっても全くの嘘にはならない。

 

もう一度おさらいを。「車重に対してバネ上の重量が多いほど乗り心地が良い」、ここでバネ下重量が登場する。バネ下のみを軽くすることができるとすると、車重は減るが、バネ上重量は変化が無い。つまりは車重に対してばね上重量の占める割合が増えることになる。ということは乗り心地がよくなるということだ。さらに、バネ下のみ軽くするということは、路面からの入力に対して、サスペンションが追従しやすくなることを意味する。想像してみてほしい。ムチムチの熊田曜子、いや違った、ランクルに軽自動車のホイールとタイヤを装着した場合のことを。そのまま走行した場合、サスペンションの動きはどうだろう。おそらく追従性のみについて考えれば、ものすごく有利なことがお解かりいただけるものと思う。実際はホイールの剛性やら、タイヤの容量やらが小さすぎてまともに走れないことは言うまでも無い。ここではバネ下重量とサスペンションの追従性についてのみ考えている。

 

ここまでくればお察しいただけると思うが、バネ下重量を軽くするということはサスペンションにかかる負担を小さくすることにより、その能力が向上したかのような状態をつくりだすことができるということだ。ところで、4輪と2輪で車重に対するバネ上重量の割合はそれほどの差異はないようだが、先にも述べたように絶対値が違うし、懸架装置の構造は2輪の方が簡素(=路面からの入力をフレームに伝えやすい)である都合上、圧倒的に2輪の方が外乱に弱いことは言うまでもない。

 

4.バネ下重量を軽くすること

 

ここからは以上の基礎知識を鑑みた上で、実際にどうするとバネ下重量が軽くなり、それがどういう意味を成すかを検討してみる。まずは もう一度バネ下重量軽減の効能についてまとめてみよう。

 

・車重に対してバネ上の重量が多いほど乗り心地が良い(=バネ下重量の軽減でも同様の効果がある)

・バネ下重量が軽減されると、サスペンションの動きが良くなる(=路面に対する追従性の向上)

 

ここでもう一つ、バネ下重量を軽減するということは上記の事に加え、

 

「車重そのものの軽減にも貢献する」

 

ということを忘れてはならない。実はこれが一番重要なのであると管理人は考える。なぜならば、車両重量の軽量化は2輪、4輪の基本性能「走る」、「曲がる」、「止まる」を高めることになり、仮にバネ下重量のみで軽量化ができるなら、それに加えてサスペンションの性能を引き出すことにも貢献し、乗り心地もよくなるということなるからだ。「バネ下の1kgはバネ上3kgに相当する」という言葉があるが、その意味はこういう事実から来ているようだ。 

 

これらを考慮すると、「じゃあどうするとバネ下重量を軽くできるんだ」、と突っ込まれそうだが、焦らないで欲しい。まずはTDM900におけるバネ下重量相当部品をもう一度あげてみよう。

 

フロント

リア

ホイール

ホイール

アクスル

アクスル

ブレーキキャリパーASSY

ブレーキキャリパーASSY

ブレーキディスクASSY

ブレーキディスクASSY

フロントフォークアウターチューブ

スイングアーム

フロントフェンダー

スプロケット

タイヤ

チェーン

フェンダー

タイヤ

サスのボトム側

 

おおよそこんなところだろう。この中で軽量化できるものの代表はホイール、ブレーキキャリパーASSY、大アナでブレーキディスク、アクスル、フェンダーくらいだろうか。

 

実は本稿の依頼主もホイールを軽量化する件について考察願いたいとのことであった。それに対して答えだけ出すことは簡単なのであるが、ある程度順序立てて、それなりの理論的背景を考慮した方が面白いと思うに至ったゆえ、こんなに冗長な文章を書いている。理由はただ「面白い」からという理由だけである(管理人が暇人であるという噂もあるが)。

 

5.バネ下重量を軽くしよう(ホイール編)

 

ホイールの軽量化はどうすればよいだろうか。ホイールを交換することがもっとも手っ取り早い。現在のまっとうなオートバイのホイールはほぼアルミ製であると言って間違いない。管理人の2号車であるKDX125SRでもDID社のアルミ製だ。もちろんTDMもアルミキャストホイールを装着している。それらを交換するとなると、スポークホイールではアクロンが有名だろう。また、キャストではマルケジーニ、ダイマグ(まだあるのかな?)、ドゥオーモ(名前が怪しい)、マービック、ゲイルスピード、アプリリアが純正採用しているOZレーシング、オークラ氏主宰のO乙レーシング?なんかがある。材質はマグネシウムが主体だが、軽量アルミ製も存在している。余談であるが、ホイールを軽量化するということは、回転する慣性を小さくする(=回りやすく、止まりやすい)効果もあると追記しておく。

 

さて、これ以外にも純正品を削って軽量化する方法もあるが、あまり一般的でない。下手に削ると回転バランスが崩れるからだ。やれるとすれば鋳肌(純正品は大抵鋳造品)を削って鏡面仕上げとするくらいだろう。それでも100gくらいは軽量化できるかな?でも注目度は高いぞ。

 

ここまで読み進めてくると、大枚はたいてでも軽量化のためにホイールを交換するべきだと考えている方が多いと思われるが、物事には得るものがあれば、失うものもあることが常である。それらを天秤にかけた上で、行動に移すべきだと管理人は考えている。

 

ではホイール交換のデメリットとはいったい何であろうか。利得の裏を返すとそれは簡単に見出すことができるのだ。仮にマルケジーニのマグネシウム合金製を選択したとしよう。これは本当に軽い。純正品と持ち比べてみると半分くらいの重量しかないのだろうと容易に想像できる。その軽いホイールを装着すれば、サスペンションの性能が上がったかの如く、路面追従性が良くなることは何回も述べているが、回転慣性を小さくすることはどうだろう。つまりホイールそのものが車両発進時に回りやすく、ブレーキ時に止まりやすい、さらにはコーナーリング時にタイヤの向きを変える際、それがより小さい力で反応することを意味する。これ逆に言えば「直線走行していても、ちょっとしたことでタイヤが向きを変えようとする=落ち着きがなくなる」ことになるのではなかろうか。普段バイク、特にオンロードのみを走行しているとほとんど感じることはないが、フロントタイヤは常に路面からの入力により向きを変えようとしている。それをホイール全体の慣性がまっすくにいくように対抗しているというわけだ。オフ車で林道走行をされている方ならば、ホイールの慣性によりハンドルが振られても直ぐにまっすぐに戻ろうとする機能が働くことを実感されていると思う。そのまっすぐにいこうとする力が減るのである。これは速度が高くなればなるほど顕著になる。更にフォークや、ステムベアリングがしっかりと整備されていないとチャタリングに悩まされることにもなりかねない。

 

次にマグネシウムという材質の問題がある。たしかにアルミよりも比重が軽い。しかし、イオン化傾向が高い=酸化し易いという欠点も見逃すことはできない。前述の元計画で勤務していた時、中古車でマグホイールを装着している場合は例外なく腐食していた。お客に売る際も、「ちょっとでも傷ついたら、タッチアップペイントで塗ってください」と強く薦めていた。さらに強度というか、弾力性も圧倒的に劣るようだ。同じく店のお客で、峠を走行している際に誤って中央線のキャッツアイに乗り上げてしまい、「ホイールが割れた」ということもあったし、引き上げた事故車のマグホイールは「だいたい前側半分が砕け散って欠損」していた。事故はともかく、キャッツアイに乗り上げたくらいで割れていたのでは、公道では使い難い。純正のアルミならば、凹む程度で済むから修正も可能だろうに。

 

 

6.バネ下を軽くしよう(ブレーキキャリパー編)

 

ブレーキキャリパーも最近ではニッシンやトキコ、ブレンボといったメーカ物が純正装着されている。これらはそれなりの重量があることは、パット交換などで脱着したことがある方ならばお解かりいただけると思う。これらに対しても軽量・高性能を謳ったものが用品店で売られている。大抵はニッシンかブレンボ製の削り出しタイプのレース用のものだ。軽くなって、性能も上がるならいいじゃん。世の中そんなに簡単ではありません。確かに軽いことは良いことだが、果たして公道においてレース仕様のブレーキが必要か。いや、適応できるかという問題がある。度々このページでも発言している通り、レースマシンはサーキットという極限られた場所において、特定のライダーが乗ることを前提に造られている。ご存知の通り、サーキットの路面はものすごく摩擦力が高く、ものすごく滑らかである。タイヤを消しゴムに例えるなら、サーキットは紙やすりだといえばお解かりいただけると思う。そういう状況だからこそ、レーシングスペックが活きるのである。対して公道は常に路面状況が変化する。そんな中でレーシングスペックのブレーキが役に立つだろうか。公道で求められるものは、どんな道でも安全に走り、曲がり、止まることである。言い換えると、一定の制御幅を持つことが大前提だ。そうだ、レーサーは点の性能を極めれば良いのに対し、公道では幅を持った性能が必要である。もちろんライダーは不特定多数だ。さらに付け加えると、レース用キャリパーは頻繁に分解することを前提とし、抵抗を嫌ってダストシールを持たない。これらを考慮したうえ、腕に覚えのある方で、走行ごとにマシンを分解整備する覚悟のある方なら大した問題にはならいだろうが。

 

7.バネ下を軽くしよう(大アナ編)

 

最近は特にカワサキ車で波型の外形をしたブレーキディスクが採用されている。また各メーカーなりショップなりからもポン付け用のものが発売されている。この波型ディスクはパットの削りカスがディスクから離れやすくするため、また重量軽減の目的から採用されている。確かに、カワサキ車に純正採用されているものは控えめに外形が波打っており、幾分軽量化されていると思われる。これはどちらかというと、前述後者の目的と、見た目の向上を狙っていると思われる。対してポン付けのものを用品店で見てみと、派手に波打って大胆に軽量化されているように思われる。見た目もかっこよく見えるが、しかし、随分と厚い。実測の重量を測定したわけではないのでなんとも言えないが、軽量化はいかばかりか、少々懐疑的にならざるを得ない。

 

タイヤそのものも軽い製品を選別することが可能だ。具体的にはフランスはミシュラン社製のものが比較的他社製のものよりも軽量化だろう。そのかわりタイヤのトレッドが薄いので、パンクし易いとか組み付け時にビードワイヤーが飛び出てくるとか、取り扱いに難点ありか。

リア側ではスプロケットの軽量化というものもある。ISAというメーカーが超軽量の製品を発売しているし、定番ではAFFIRM製のアルミ製なんかも見かける。確かに軽いだろうが、ちょっと雨が降ってチェーンオイルが流れてしまえば、アルミ地金に貼ってあるアルマイトなんて一発で削れてしまうだろう。もちろん値段は純正よりも1.5倍から2倍となっている。

 

あと、フェンダー等のプラスティック類。これが厄介だ。「カーボンは軽い」と盲目的に信じて装着している方がみえるが、一口にカーボンと言ってもウエットカーボンとドライカーボンがある。前者はFRPの派生種で、クリア塗装とガラス繊維の間にカーボンの織物を挟んで成形したというまがい者。もちろん重量的メリットは無いし、対候性も低い。ちょっと古いドカ車で、カーボンフェンダー装着車を見てみると大抵は白くくすんでクリア塗装が剥れているものを見かける。これは間違いなくウエットカーボンだ。

 

後者はカーボンの織物をプラスティック樹脂で固めて、余分を吸出しながら焼き固めて成形するというものだ。もちろん純正品よりも軽量であるし、実際にF1等のフォーミュラカーの車体にも20年以上前から採用されている。また8割を機体構造部に採用し、2009年第2四半期に初飛行に漕ぎ着けるボーイング社の787型機も採用しているという本物の軽量、高剛性、高抗対候性を持つ材料だ。もちろんこれにも欠点があり、衝撃には脆いようであるが。こちらは艶がないので一見低品質に見え、ウエットの方がピカピカなので高品質に見える。この辺りは良く見分ける必要があろう。値段的にも当然ドライの方が3倍は高い。

 

さらにもう一つ、フロントフォークの倒立化であろう。総じてインナーチューブの方がアウターチューブよりも軽量である。しかし標準的な正立型ではインナーチューブはバネ上、比較して重たいアウターチューブはバネ下に配置される。これを逆にしたものが倒立フォークである。バネ下重量の軽量化を構造そのものから追及したコロンブスの卵的発想である。こちらは取り扱いも整備性も正立に比べて大差はないので、手堅い手法ではないだろうか。

 

あと、ちょっとマニアな方なら、鉄製スイングアーム装着車を流用可能な純正アルミ製に換装するという手もあろう。さらにはアクスルをチタンなどで製作してもらうなんてことも面白いかも(請求が怖いか)。

 

8.いろいろ申し上げましたが

 

またまたウダウダといろいろなことを述べてきたが、「バネ下重量の軽減」というと一番最低レベルでもこの程度の事項を考慮していないと後で痛い目に遭うのはライダー本人だろう。もっとも金が余るほどあり、数万や数十万の部品なんていくらでも購入できる。また、バイクが壊れてもいくらでも買い替えができるという方なら以上のことは考慮する必要はなかろう。

 

この世界によくありがちなのであるが、「・・・は良いらしい」という言葉のみが独り歩きして、その意味や効能、リスクを考えずにいろいろと部品交換を行うということがある。だいたい目的は何なのであろうか。コーナーを気持ちよく駆け抜けたい、だからバネ下重量を軽くしたい。だって、レーサーはマグネシウムの高価なホイールに、レーシングキャリパー、アルミのスプロケットを装着してるじゃないか。よくあるもっともらしい言い訳であるが、実はそこに重大な落とし穴がある。先ほども申し上げたが、レーサーはサーキットのみで性能を発揮すればよいのに対し、公道車は峠しか走らないといっても一定の許容範囲が必要だ。その峠だって路面状況他の要因は常に変動している。それはサーキットと比べてあまりにも差がありすぎる。そのような状況下にレーサーが使用しているのだから良いだろうという程度の認識で、レース用部品を取り付けることは本当に意味があるのだろうか。これはレーサーと公道車の基本概念を理解せずに物事を実行している例だ。やはり、公道走行には制御幅が必要なのである。物事は総合的にみてそれが機能を発揮するかどうか、ここにバイクの難しさがあり、また楽しさがあるのだと思う。

 

また、上記のように速く走るために改造するということはしばしば見かける事実であるが、上手く乗れないということは腕がないということを認め、上手いとはどういうことか、どういうふうにすれば上手くなるかということを考え、それを実行することにお金を使うことが最も近道であるといえよう。一度元ワークスライダーの走りを公道で間近でみたことがあるが、ノーマルのXJR1300でも信じられない速度で走行していた。やはりバイクは腕なのであろう。因みに私にそんな腕はないことは言うまでもない。ただ、目の前で見たXJRはレーサーYZF−M1のようであった。

 

オートバイは普通の市販車でもとてつもない性能を秘めている。現代ではそれにソフト(人間)が追いついていない場合がほとんどであろう。ということはまず、そちらを鍛えることから始めることは言うまでもない。もちろん、前提条件として、ベアリングの注油等の普段おろそかになりがちな整備を完璧にした上で、つまりノーマル車というハードについては完璧でなくてはならない、それでもやることがなくなった(=ワークスレーサーレベルまで技術を突き詰めた)ので、部品交換するということならアリだと思うが。

 

また、中には部品を交換して姿が変わっていくマシンを見ることが好きな方もおられよう。そういう方が部品交換に精を出すことは至極まっとうであり、理にかなっている。要は目的と手段、それにかかる費用、手間、自分のやる気、さらにはその結果何があるかを詳細に渡って検討し、そしてもっとも大事なことは、「それが本当に楽しいのか」、これがもっとも優先されるべきことであると管理人は考えるのである。

 

 2009年5月

管理人記す

 

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