8年ぶりに記録機材更新

 

 2008/06/06

購入した機材、COOLPIX520

(写真はNikon社ホームページから)

 

 

 0.投資

 

管理人は当ツーリング研究所の(自称)所長である。もっとも自称ほど怪しいものもないわけでして、H末の元旦那も自称モデルでディザイナーだ。ところで、当研究所研究員は私一人であるからして、全ての事柄を自分で決定している。因みに設立は1991年、ホームページ立ち上げは2007年である。

さて、管理人の所有する記録機材(=フィルムカメラ、ディジタルカメラ、パソコン等)は古い。パソコンは2002年秋に購入、ディジタルカメラに至っては2000年春に懸賞で当たって以来、8年に渡り使用してきた。今年は3回目の北海道を計画していることもあり、ディジタルカメラのみ更新に踏み切った次第である。

 

1.新機材は?

 

新機材の購入に当たっては性能よりも値段、大きさを重視した。というのも、今回はツーリング時における携帯性と扱いやすさを最重要課題としているからだ。とはいっても、新機材は旧のものと比べると飛躍的に性能が向上している。今回購入したものは、ニコン製のCOOLPIX S520というカメラだ。値段が20,000円と手頃であったことに加え、画像処理能力=有効画素数が800万画素というバランスが良かったのみではない。レンズのf値が2.8と辛うじて2台にあったことが決め手である。

旧品は有効画素数が150万画素、f値は同じく2.8である。試しに愛車達を撮影してみた。結果は以下の通りだ。

 

            

敢えてどちらが新機材の写真かは記載しない

 

2.f値って何よ?

 

ここからは、カメラのレンズについて薀蓄をたれてみよう。というのも。管理人は光学系には結構うるさいのだ(威張るな!!!)。

とかくディジタルカメラで性能を語る場合には画素数、倍率なんかが話題になる。前述のように、今回は性能よりも大きさを優先したが、本来ならばカメラはまずレンズである。ディジタル、アナログに関わらず、カメラはレンズである。丁度エンジンよりも車体、パワーよりも空力、トルクよりもタイヤと言われていることと同じ関係だ。そして、しかも本当に画質のみを追求するならズームレンズではダメだ。徹底的に、本当に綺麗に撮りたいものを撮るには広角28mmから300mmまで4,5本はレンズを購入する必要があろう。その訳は何か。

真相に迫る前に、まず言葉の意味を考える。ズームという言葉であるが、zoom=move suddenly or quicklyである。素早く動くことらしい。因みにレンズがくっつくと、zoom lens=a device in a camera, or which can be attached to a camera, that can make the thing being photographed appear nearerである(共にCambridge dictionaries on lineから)。ほう、カメラに内蔵された、若しくは取り付けられた装置で、被写体を近くに見せることができるものだそうだ。これでは望遠レンズと混同してしまいそうだ。これらを踏まえた上で、一般的に使われる段階に話を広げて用語を定義しよう。

 

・ズームレンズ=可変焦点距離のレンズ。

・望遠レンズ=固定焦点距離の50mmを超えるレンズ。

・広角レンズ=固定焦点距離の50mmを超えないレンズ。

尚、固定焦点距離のレンズは単焦点レンズという言い方が一般的であると付け加えておこう。

 

ところで、繰り返すがまずレンズだ。いくら映像を細かく記録する能力があっても、入力される映像が綺麗でなくては話しにならない。レンズは口径が大きいほど集光力が高く、解像度も高い=性能が良い。性能を追求する際は、できるだけ口径の大きいものがよいわけだ。その際に目安になるものがf値と呼ばれる数値である。

この値は焦点距離を口径で割るという除法により計算されたものだ。例えば管理人の所有する望遠鏡であるが、焦点距離は500mm、口径は75mmである。500÷75=6.7であるから、f値は6.7である。購入当時は望遠鏡としてはきわめて小さなf値であった。

カメラ小僧や、入れ込んだ人、職業人が持つ大きな望遠レンズを目にすることがあるが、その中にサンニッパ、ニイニッパと呼ばれるものがある。前者は300mmでfが2.8、後者は200mmでf2.8という意味である。つまり300mmの方の口径は300÷2.8=107mm、後者は200÷2.8=71mmということになる。因みに焦点距離は倍率に言い換えると、50mmが1倍と考えて差し支えない。10倍は500mmということだ。要するに焦点距離さえ伸ばせば100倍でも1,000倍でも可能なわけである。倍率が高いということは視野が狭くなる=見えている部分を拡大しているということになる。同じ緯度の場所ならば太陽光はほぼ均一に地球に降り注いでいるので、単位面積あたりの光量は一定だ。ということは、拡大してものを見るということ=レンズに入ってくる光の量が減る=暗く見えるということになる。つまり、倍率が高くなるということはそれだけ暗く見えるということだ。

なぜ暗くなると問題か。当然シャッタースピードを遅くせざるをえない。それはブレる可能性が増大するし、早い動きのものを撮影することが困難になる。だから、長い焦点距離=高い倍率のものにはそれなりのレンズ口径が必要となるわけだ。それらのバランスを判断する値がf値ということになる。

性能を重視した場合、目安としては、広角ならば1以下、標準=50mmならば1の前半、200mm、300mmならば2の真ん中辺りが一般的なようだ。

 

3.ズームレンズと単焦点レンズの比較

 

前述のようにズームレンズも性能を徹底的に追求するなら物足りない(管理人はドのつく素人だから使いこなせないことは棚上げ)。

ここでは、画質の追求を前提にズームレンズと単焦点レンズを比較してみよう。例えば100mm〜300mmのズームレンズと、300mmの望遠レンズがあるとしよう。どちらも300mmなら同じじゃん?と思われそうだが、世の中もっと複雑だ。

まず光量の観点からみてみると、ズームの方は100mm使用時でも、300mm使用時でもレンズ口径は変わらない(管理人は可変口径のレンズは見たことが無い)。すると例のf値はどうだろう。70mmの口径を持つとすると、300÷70=f4.3となる。望遠の方は焦点距離固定で、レンズ口径も変わらない。一般的なf=2.8としておこう。

また、ズームレンズレンズは重量などの点から口径を大きくとることが困難なので、f値を小さくし難いこともにも触れておく(後述する)。

ところで、4.3と2.8、なにがどれだけ違うのか。仮に管理人のニュー機材でみてみると、無理やりf2.8の状況を作り出すと、シャッタースピードが1/250と出た。同じ被写体で、f4.3を作り出すと1/ 60になってしまう。後者ではブレを押さえることはかなり大変だ(息を止めて力を入れる)。やや暗い状況で、移動速度の速い物を撮影したい場合などには大きな障害となることは否めない。

また、深度を調整するという面からもf値は小さい方が好ましい。深度とは、焦点を合わせる被写体に対してその前後の距離どのくらいでピントが合うかということだ。

20歳前後の女の子が漫画誌の巻頭グラビアを飾っていることは今や常識で、胸部や臀部に目が奪われがちであるが、視点を変えてその周りの風景を見て欲しい。一枚くらいは周りが異常にピンボケになっているくせに、被写体本人はものすごく鮮明になっているものを発見できると思う。これは絞りを大きく開けている状態で撮影された写真だ。こういう状態を被写界深度が浅いと表現する。

あるいはレースなどで、遠くの最終コーナーを路面から立ち昇る陽炎のなかを走ってくるマシンの映像があるとしよう。この場合は遠くも近くも一応に焦点が合っている。これは絞りを思いっきり絞り込んで撮影している場合に写る映像だ。こういう状態を被写界深度が深いと言う。

 

被写界深度が浅い例(U香さん?)

 

前者の場合は光量的には問題は出ないので、f値はそれほど問題にはならないが、後者の場合は絞りを小さくしている=有効口径を小さくしているので、できるだけf値が小さく(=口径が大きい)焦点距離の長い(倍率の高い)レンズが必要となる。

また、発色という点からみれば、レンズの口径は大きいほど好ましい。というのも、色は太陽光の成分の内、その物体がどの色帯のものを反射しているかということで決定する。つまり、黄色いものは、太陽光の黄色の成分を反射しているというわけだ。ということは、色は光の情報であると考えられれるので、たくさんの光を集めることができる=集光力の高い=口径の大きいレンズが有利というわけだ。ってことは、やはり、焦点距離が同じならば、f値が小さい=口径が大きい方が有利だ。また、深度の深い写真でも発色をできるだけ良くしたい場合にも、やはりレンズの口径が物を言う。

さらにズームレンズが不利な点がある。色収差や重量である。色収差の詳しい説明は省くが、これは像のにじみに影響を及ぼす。また、レンズの端と真ん中近くを通過する光では、微妙に焦点が異なる(=像に歪みが生ずる)。これはレンズ自体の厚みにより、周辺と真ん中では、光はレンズを通過する量が異なるからだ。

ところで、カメラなどのレンズは一枚であることはほぼ無い。凸レンズや凹レンズを数枚組み合わせて前述の色収差やゆがみを補正している。カタログなどに●郡×枚とかの言葉で表現されている。固定焦点のレンズは、一つの焦点距離のみにおいて不具合を補正するので、比較的完全に近い状態にしやすい。しかし、ズームレンズの場合は、可変できる焦点帯全体において不具合を補正する必要がある。レンズの枚数を増やして対応するので、重量がかさむ。さらに焦点が異なるということは、見かけ上のレンズの厚さを変化させているということなので、その難しさたるや想像に難くない。なんとか気がつかないようにすることがやっとなのかもしれない。尚、ズームレンズの構造説明も省略してしまおう。

 

4.まとめ

 

非常に簡単ではあるが、レンズの薀蓄をたれてみた。誤解してほしくないことは、これらは画質などにおいては優劣がついてしまうが、用途によって使い分ける、もしくは使用者の熟練度によって選ぶということにより、さらに楽しい写真生活を送ることができるということだ。管理人にとってはシグマ社のズームレンズでも持て余しているくらいだから。

カメラ小僧なんかが大きなレンズ(恐らく500mmのf2くらいのものだと思う)を持っているが、あれは必要なものなのであろう。

また機会があれば、薀蓄をたれてみたいと思う。

 

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