エアロビクスインストラクターが誕生するまで

〜管理人自らが挑戦した、120日間+∞のドキュメント〜

第10回講義 (7月8日)

 

0.今日は実技なし

 

今日は前述のボディービルであるK先生のケガに関する授業のみで、師匠の実技はお休みである。代わりに、来週はウォームアップを披露し、先輩の付き人として研修を受ける準備をすることになっている。

 

それゆえに、今回は当方の覚えとして講義内容を記載する。尚、このレポートは師匠に提出したものの転載なのであまり面白くないが、参考までにUPしておく。

 

1.  肩関節の障害

 

1−1.五十肩(関節周辺炎)

 

肩関節の痛みと運動制限が特徴である。特に後方拳上(帯を結ぶ動作)、外旋運動、症状が進むと前方拳上が困難となり、夜中に痛みで目が覚めることもある。これは、関節拘縮という骨以外の組織が固まって、関節の動きが悪くなることが原因である。

 

リハビリには肩のストレッチングや筋力強化、振り子体操(コドマン体操)が有効である。

 

*コドマン体操は、回旋筋腱盤をストレッチし、リラックスさせる効果がある。

 

1−2.肩峰下インピンジメント症候群

 

Impingement=衝突のことであり、文字通り、肩峰下滑液胞や腱板が烏口肩峰アーチで圧迫、衝撃・衝突することにより、痛みが生じる。

 

20〜40歳位で、バレーボール、テニス、野球など、腕を繰り返し上げる運動をしている人に多くみられる。また、リハビリには、腱盤の筋力強化やコドマン体操を指導すると良い。

 

1−3.外傷性腱板炎(腱盤損傷)

 

腱板は、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の4つの筋肉から成り、前者3つは上腕骨大結節で停止しており肩関節の外旋、肩甲下筋は小結節で停止していて内旋時に力を発揮する。

 

これら筋肉は、全ての肩の運動時に肩関節の位置を適切に保っており、転倒や打撲と言った外的要因、加齢的変化を基に、使いすぎが加わって発症する炎症である。症状は拳上困難、夜間痛などがある。

 

 リハビリには腱板の筋力強化、コドマン体操が有効である。

 

1−4. 上腕二頭筋長頭腱炎

 

20代から40代に多く発症し、肩の痛みや運動制限といった症状が現れる。酷い場合には肩から「コクコク」と雑音が聞こえることもある。また、リハビリにはストレッチングや筋力強化を指導する。

 

⇒これら怪我が起きた場合は、RICE(安静・冷却・圧迫・拳上)を行う。特に炎症にはとにかくアイシングを指導する。これにより、炎症を起こしている部位の組織にある血管が収縮し、炎症が抑制される。方法は氷水をいれた氷嚢で患部とその周辺を冷やすとよい。

 

また、治療やリハビリをしなくとも、数年で自然治癒するが、その間の過程が重要である。つまり、回復後の筋力レベルや昨日レベルに大きな差が出るのである。

 

豆知識:肩関節は前方に約30°程度傾いているので、腕を外転、拳上する際はやや斜め前に向けるとよい。

 

2.  腰部の障害

 

2−0.

 

近年では、腰痛は世代を問わず多くみられる疾患である。これは、筋力の低下が一因とされている。腹筋等の筋力強化はもちろん、疾患の状況に応じて「慎重に」トレーニングを指導する。

 

2−1.急性腰痛症

 

いわゆるぎっくり腰と呼ばれる症状で、前かがみで重いものを持ち上げた時、捻挫・打撲といった軽度の外傷の際に生ずる局所的痛みである。そして、原因は靱帯、椎間板、椎間関節の損傷による。

 

治療は安静を指示し、活動時は簡易コルセット装着が有効であるが、最も大切なことは予防であり、日頃から腰部のストレッチング、腹部、腰部の筋力強化が重要である。

 

*腹横筋のトレーニングが有効で、仰向けに寝て、状態を持ち上げる腹筋のトレーニングや、姿勢を、息を最後まで吐き切るまで維持することにより鍛えられる。 

 

また、トレーニング姿勢は膝関節が屈曲した状態が腰への負担が小さい。これは、腰椎の前弯が緩和されるためである。一例として、仰向けで股関節、膝関節の屈曲が90度程度になるように、台を用いる方法がある。

 

2−2.慢性腰痛症

 

3か月以上継続して腰部が痛む状態で、原因は筋肉の過労による「筋・筋膜性腰痛症」、椎間板の変性による「椎間板腰痛症」、椎間関節の変性による「椎間関節性腰痛症」などが考えられる。

 

2−2−1. 腰部椎間板ヘルニア

 

腰痛や臀部、足先に走るような痛みに加え、しびれを感じる症状が特徴である。原因は加齢や捻挫・打撲といった軽度の外傷、長時間一定の姿勢を強いる作業などにより発症する。また、重いものを持ち上げた時や、くしゃみなどにより発症することもある。また、治療は安静を指示し、活動時はコルセット装着を指導する。また、リハビリには腰部のストレッチや腹部、腰部の筋力強化が有効である。

 

3.  膝部の障害

 

3−0.膝関節について

 

膝関節は頸椎、胸椎、腰椎、股関節、足関節と共に、常に重力を受け止める関節であり、荷重関節と呼ばれる。

 

変形性膝関節症とは、関節軟骨が老化、摩耗して起こる進行性の変性疾患である。膝関節は最も負担がかりやすい関節であり、歩行時には体重の2倍、階段昇降時には3〜4倍の負担がかかる。それ故に障害が発生しやすく、変形性膝関節症はその典型である。

 

リハビリには大腿部、下腿部の筋力強化・ストレッチングで膝への負担を減らすとともに、ウエイトコントロールも重要である。

 

3−1.ジャンパー膝

 

バレーボール、サッカー、バスケットボールなど足の急激なストップ動作を繰り返す活動により引き起こされる疾患であり、運動時に痛みが増し、安静時は軽快する。

 

原因は大腿四頭筋腱、膝蓋骨、膝蓋靱帯、脛骨粗面で構成される、膝伸展機構の使い過ぎである。そのリハビリには、運動を中止し、大腿四頭筋のストレッチング、筋力強化を行う。また、再発防止にウォーミングアップとアイシングを含めたクールダウンをしっかりと行うよう指導する。

 

3−2.オスグット病

 

成長が盛んな小児期のスポーツ活動により、膝蓋靱帯の付着部である脛骨粗面に痛みや腫れをもたらす疾患であり、10〜15歳の男子に多く見られる。

 

原因はジャンパー膝同様に、膝伸展機構の使い過ぎにより、膝蓋靱帯の異常な張力が働くことにより、骨端線(成長線)が損傷することによる。

リハビリでは、大腿四頭筋のストレッチングや筋力強化を行うとともに、運動前のアップと運動後のクールダウン、アイシングを指導する。

 

3−3.腸頚靱帯炎

 

腸脛靭帯とは腸骨から大腿部の外側を通り、脛骨に付着する靱帯である。

 

腸脛靭帯炎はランニングより起こる疾患の一つであり、ランナー膝とも呼ばれる。原因は運動時に膝の外側上顆部(膝蓋骨の横辺り)で腸脛靱帯が擦れることによる。

 

リハビリは腸脛靱帯のストレッチ、大腿四頭筋やハムストリングスの筋力強化を指導し、ウォーミングアップとクールダウン、アイシングを指導する。

 

また、再発を繰り返す場合、O脚の強い人には靴に中敷きを入れることも有効である。

 

3−4.シンスプリット(脛骨疲労性骨膜炎)

 

エアロビクスインストラクターによく見られる疾患である。

 

ランニングやジャンプ、ダッシュなどを繰り返すスポーツ活動により発生し、下腿中央から下部にかけての内側に痛みを感じる。

 

治療はまず1か月程度スポーツ活動を中止し、下腿部のストレッチングや筋力強化を行う。また、これにより改善が見られた場合、十分なウォーミングアップとアイシングを中心としたクールダウンを指導し、活動を再開させる。

 

トレーニングはカーフレイズで腓腹筋などを強化し、足の指でものを掴む運動で足底のアーチを鍛える。また、エアロビクスインストラクターは、シンスプリットの他に、アキレス腱炎、足底筋膜炎などにもかかりやすいので、筋力強化とアップ、ダウンを欠かさないようにすることが大切である。

 

3−5. 大腿四頭筋

 

膝蓋骨は大腿四頭筋により、その位置を保っている。ただ、大腿直筋、中間広筋、外側広筋は起始部が直上から外側であるのに対し、内側広筋のみが内側である。つまり、膝蓋骨の正しい位置を保持するには、内側広筋の強化が重要になる。

 

内側広筋は膝関節が完全に進展する直前あたりで力を発揮するので、レッグプレス等でここを意識してトレーニングするとよい。同様のトレーニングで、上腕三頭筋も肘関節が伸展し切る前を意識して、キックバック等を行うとよい。

 

また、大腿直筋は骨盤に起始しており、うつぶせで膝を屈曲させて足首を引っ張るとストレッチさせる。この際、この筋の柔軟性が足りないと尻上がり現象がおこる。

 

4.  生活習慣病

 

4−1. メタボリックシンドローム

 

高血糖、高トリグリセリド(中性脂肪)、低HLD(善玉コレステロール)、高血圧などの動脈硬化危険因子が、個人に集まった病気である。

 

肥満が原因であり、内臓脂肪の過剰な蓄積を改善することが重要である。

 

診断基準はウエスト周囲径が、男性は85cm、女性は90cm以上(内蔵脂肪面積が100?以上)であることに加え、血清脂質異常、高血圧、高血糖のうち2項目以上が該当すると、この病気である。

 

また、肥満かどうかを判断する基準にBMI値がある。この値が22前後の時、病気の発生率が一番少ない。

 

また。この値は、体重()/身長(m)2で計算される。ただ、K先生のように、ボディービルダーとして活躍している方などでは、75/1,67m2=26と肥満になってしまう。当然彼は肥満ではない。このことから、この数値は単なる目安と言えなくもない。

 

⇒平成20年度からメタボリックシンドロームに着目した特定健診・特定保健指導が始まった。これは病気を予防することにより、医療費を削減しようという目的であり、厳しい値を設定してバシバシ引っかけて、指導をするというものである。

 

4−2.高血圧症

 

血圧とは、血管の中を流れる血液の勢いが、血管の壁に与える圧力である。ガイドラインでは、収縮期(最高血圧)140Hg以上、または拡張期血圧(最低血圧)90Hg以上の場合、高血圧とされる。

 

軽度の高血圧症の方に運動療法は有効であるが、必ず「虚血性心疾患」や「心血管系の臓器障害」が無いことを確認すること。

 

運動の強度は、ボルク指数でいうところの「楽である」程度を目安とし、1日60分、週に2,3回、あるいは1日30分、週6日をおすすめする。

 

そして、運動のエンドポイントにはボルク指数で「ややきつい」くらいの強度へもっていく。また、種目は有酸素運動が推奨される。エアロビクスダンスエクササイズ、水泳などが適していると言えよう(ボルクの自覚的運動強度については、P31の表を参照するとよい)。

 

*等尺性運動(アイソメトリック)は血圧の上昇をきたすことが多いので、危険である。また、最近流行の加圧トレーニングなどはもってのほかである。

 

4−3. 脂質異常症(高脂血症)

 

血中コレステロールや中性脂肪が増加する病態が高脂血症であり、動脈硬化の危険因子である。これにより、脳卒中、心筋梗塞などが引き起こされやすくなる。

 

2007年版の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」では、低HDL(善玉コレステロールが少ない病態)についても、動脈硬化の危険因子と認識されてきたので、病名が「脂質異常症」という名称になった。

 

具体的な数値については、P32 の表1を参照するとよい。

 

脂質異常症の運動療法としては、継続的な有酸素運動が効果的である。逆に、1回だけの運動では、血中脂質レベルは変わらない。

 

もちろん、定期的・継続的な有酸素運動は、健常者においても血中トリグリセリド(中性脂肪)レベルを低下させて、血中HDL(善玉コレステロール)値を向上させる。

 

運動強度はボルク指数11〜13程度、または50%〜60%VO2maxレベルで、1日30分以上行うと良い。因みに、無酸素運動に近い高強度(70%VO2max以上)では、脂質値に影響はない。

 

*血管合併症(狭心症、心筋梗塞等)がある方は、運動療法を行う前に適応があるかどうか調べる必要がある。判断基準は「死に至る可能性が高い方を優先的に採用する」ことである。

 

食事療法も効果的である。したがって、まずは食事療法を試みて、それから運動療法を採りいれる。

 

4−4.糖尿病

 

糖尿病は血中ブドウ糖濃度(血糖値)が高い状態が持続する病気である。通常血糖値が高くなると、すい臓からインスリンが分泌され、それにより血中ブドウ糖を脂肪として取り込み、血糖値が下がる。しかし、何らかの原因でインスリンの分泌量が少なくなり(膵臓に負担がかかるなど)、作用が弱くなるなどすると、血糖値が異常に高い状態が続いて糖尿病になる。

 

糖尿病は儀燭鉢況燭あり、儀燭肋児や若い人に多い。この原因はすい臓がウイルスに感染し、ランゲルハンス島が破壊され、インスリンが分泌できなくなることによります。

 

況燭脇本人糖尿病患者の95%を占め、食べ過ぎ、運動不足、肥満、ストレスなど、生活習慣の乱れにより発症する。

 

余談であるが、当方の会社では、社員は勤務時間のほとんどが椅子に座っており、過大なストレスがかかる業務を行っている。まさに糖尿病予備軍を製造していると言っても過言ではない。

 

*GI(グリセミック・インデクス)

 

血中へブドウ糖が吸収される値を100とした場合、その他の食品についてはどれだけ吸収されるか、という比較値である。一般に繊維質を多く含む食品は低い傾向がある。例えば、同じ芋でも、サツマイモの方がジャガイモよりもGIは低い。また、当然ながら、甘いものはGI値が高く。肉は小麦や米に比べると、以外にも低い。さらに、60位の値ならば、低いと言える。

 

この現象を利用したダイエット方法が「低インスリン・ダイエット法」である。つまり、GI値の低い食品を多く摂れば、血糖値が上がらないのでインスリン分泌量が減り、ブドウ糖が分解されて体内に蓄積される脂肪が減るというものである。

 

糖尿病の検査は採血して血糖値を測定するが、この方法では検査前数日の節制で値を操作できる。このことから、最近では血糖値に加え、ヘモグロビンA1Cという値が使用される。これは、赤血球に含まれるヘモグロビンとブドウ糖が結合したものを測定したもので、1〜2か月前の血糖状態を調べることができる。

 

糖尿病の運動療法としては、全身の筋肉を使った有酸素運動が効果的であり、日常生活でも歩数を稼ぐために、なるべく自動車を使わないなどの心がけも必要である。

 

50%〜60%VO2maxレベルで、1日30分程度、週に3〜5回と高い頻度で行うことが必要である。また、例外的に、糖尿病の運動療法では、食事後30分程過ぎたあたりから運動を行うと、血糖値の上昇を抑えることができる。

 

強度を高め過ぎると、今度は低血糖の症状が現れて、危険なことがあるので注意する。

 

5.  まとめ

 

・ どの生活習慣病においても、概ね中程度の有酸素運動が効果的と言える。

・ 継続的、かつ高頻度の運動が必要である。

・ ストレスにより症状が悪化することもあるので、運動により解消することも手段の一つである。

・ バランスの良い食事が病気の予防、治療に効果的である。

・ 検診を受けて自分の状態を把握しておく。これにより、運動などの指針が立てやすくなる。

・ プロのインストラクターは、正確な知識と判断材料を持って指導をすること。そしてもっとも大切なことは、運動する人に思いやりをもって、自分のできる範囲で最大の事をお伝えするという姿勢   である。そのためにも、日々自分の技量を向上するよう精進することが必要である。こちらも継続的な活動が求められるのである。

 

第11回講義へ続く