2015年 夏の北海道ツーリング

 

2015年 7月29日~8月8日

 

三角市場で見た

八角という魚

 

 

7月31日(2日目)

 

1.意外にも

 

朝から雨だろうなぁと思って7時30分頃に起床し、まずは外の様子を見る。なんだぁ、意外にも薄曇りで、晴れ間も見えているではないか。

 

こういう誤算は嬉しいものだ。昨日買っておいたこんにゃくゼリーを食べつつ、「まれ」を観て、天気予報を確認する。最近は地デジのDボタンで各地の天気を確認できるので、非常に便利だ。それによると、西から天気が崩れてくるものの、襟裳岬方面は辛うじて雨が降らないようだ。

 

荷物をまとめたりしてゴソゴソしていると、女将さんがやってきた。そして天気予報と同じことを助言してくれたので、そちら方面へ向かうことにした。

 

TDMに荷物を搭載していると、今が旬だからということで、女将さんからさくらんぼの差し入れを頂く。あら、すいません。朝からうまい果物を食べられるとはツイているじゃあないですか。これも、たまたま宿泊者が当方のみだったからに他ならない。

 

渡り鳥哲也にて

出発前の様子

 

色々とお世話になりましたとお礼を述べて、9時頃に渡り鳥哲也を後にする。普通のライダーハウスだがくつろぐことができ、場所的にも市街地から近いので便利も良い。サービスの良い宿よりも、こういう普通の宿が好みだなぁ。もちろん、テントが一番気楽なことは、言うまでもなかろう。

 

2.出発

 

そう思いながら、朝飯を食べにマシンを走らせる。いつもの鱗友朝市かと思われるだろうが、今回は宿の女将さんから教えてもらった「三角市場」なのだよ、ヤマトの諸君。その女将さんの話では、もともとは魚屋しかなかったのだが、最近は食事もできる店が増えているよということだった。上記鱗友朝市と対抗しているのだろうか。

 

元来た国道5号線を追いかけて、小樽駅を目指す。三角市場は小樽駅の北隣にあるらしく、駐輪場から看板が見えるということだった。

 

それにしても今日も蒸し暑い、こんなに暑い北海道って今まであっただろうか。汗をかいて朝の、しかも平日の市街地を走行していく。バスがいたり、通勤中と思われる車が走っていたり、これが小樽の日常なんだろう。

 

そう考えていたら、特徴的な外観の小樽駅が見えてきた。この駅はまだ新しいようで、レンガ風の茶色い外観がエキゾティク~ゥ~、ジャパン!!という感じだ。小樽は北海道の主要都市であるが、駐輪場は無料なので空いている場所にマシンを止める。地元の主要都市である名古屋市の駅は、こんな簡単にはいかないからねぇ。

 

三角市場はすぐにわかるということだったので周囲を見回してみると、「三角市場」と書かれた大きな看板が出ている。ああ、そっちですか。階段を上って100m程度歩くと、本当に三角形の形をした土地に市場が並んでいる。そのままジャン。

 

三角市場の入口

 

その三角形の頂点にある入り口から入ろうとすると、「お土産にカニはいかが」と声がかかった。いやいや、まだ今日旅が始まったばかりで、お土産は最後に買うよ。ごめんね、また次回ということで市場へ入っていく。すると、狭い店内にびっしりと魚屋が軒を並べている。そして、渡り鳥の女将さんの言う通り、魚屋は兼任で食事ができるスペースが設けられている。さて、どこで朝飯を食べようかな。市場は奥まで続いているので、一回りしてから考えよう。すると真ん中辺りにある「かわしま」から声がかかった。「おまかせ丼が2,000円でお得ですよ」と。どうするかなと思っていた時、店先に並んでる「八角」という魚が目に入った。丼にはこれも入っているということだったので、魚に目がない当方は、即決でここで食事することにした。

 

かわしまの様子

 

席に通されてしばらく待っていると、おまかせ丼がやってきた。甘海老、イカ、サーモン、カニ、イクラ、ホタテ、ウニ、そして八角が乗せてある。今思うとこの八角は、当方が言及しなかったら食べられなかったかもしれない。いわゆる「交渉次第で」ということだったのだろう。市場での買い物はこういうことも醍醐味でもある。

 

さて、丼のお味であるが、もちろんうまい。何が良いかと言うと、やはり鮮度だろう。小樽には漁港があるから、直販で仕入れているのだろう。そして八角部屋であるが、スズキのような白身だけど味が濃い。ヒラメをちょっと脂っこくしたという感じだろうか。そして丼には味噌汁もついてくるのだが、これがまたよい出汁が出ていて、あっさりしているが味が深い。また、具のアオサもよく合っている。

 

おまかせ丼

 

独りで感激していると、隣の席に日本一周中という方がやって来た。沖縄を出発して、昨日北海道に上陸したそうだ。これで稚内まで行けば、旅に区切りがつくのかと思いきや「また沖縄に戻って、旅は終了」ということだった。縦断じゃあなくて、本当に一周だったのね。そいつは驚いた。

 

3.走行開始

 

日本一周氏とお互い、旅の安全を誓いつつ支払いを済ませた。いやいや、朝から満足して市場を出た。それにしても今日は蒸し暑い。雨が降るにおいはしないけど、これは確実に雨が降るだろう。何とかさっさと東へ逃げて、振り切ることができればよいのだが。

 

とりあえずは、渡り鳥で聞いた、新しくできたという赤井川の道の駅を目指そう。何でかと問われると、今回はスズキワールドの店でもらった「全国道の駅スタンプ帳」があるんだよ、ヤマトの諸君。実は、TDMが累積走行10万㎞を迎えた時に、何気なくスズキの店に行ったことがある。もちろん、買い替える気は全く無いのだが、Vストローム650がちょっと気になっていたんだよ。旅を終えて今レポートを書いているが、やっぱりTDMの方があらゆる意味で良いと思う。具体的には足つき、パワー、積載性、乗り味、当方の好みをうまく押さえている。ただ、このひやかしの時に店員から「スタンプ帳どうぞ」と渡されて、「3,000円の金券になります」ということだったのだ。これはやらない手はなかろうと、北海道で全部埋めてやるつもりで持参したわけだ。

 

まずは国道5号線を磁方位120°方向へ少し進み、国道393号線、通称赤井川国道に乗り換えて山を上っていく。さて、今向かっている道の駅は「赤井川」なので、これはわかりやすい道路だ。ドルー氏でも間違えることはなかろう。

 

そして、市街地を抜けて「毛無峠」が近くなってくると勾配がきつくなり、道もうねってくる。荷物を積んでいるとはいえ今回の機材は信頼と実績のTDMだから、別に構える必要はない。いつものように楽々とコーナーを抜けていく。

 

さて、抜けていくと言えば当方の頭髪であるが、最近またさびしくなってきたように思われる。特に頭頂からデコにかけては、明らかに数が減っている。そして冒頭にも記載したように、自分の顔を見ると「誰?このじいさんは?」と突っ込みたくなってしまう。それをあざ笑うかのようなこの峠、「毛無峠」だ。

 

雨が降らないうちにさっさと進みたいのだが、毛無展望台に立ち寄る。残念ながら今日は煙っているのだが、天気が良ければ小樽市街地が良く見えることだろう、ここから夜景が見られれば尚良いかなぁと思う。

 

笑えない看板だ

 

峠付近は多少暑さも和らいだが、徐々に高度を下げていくにつれてまた蒸し暑さがやってくる。それでも地元に比べれば大したことは無いので、それほど気になることもなかった。

 

途中、「キロロスノーワールド」の看板を見つけた。あの2人組はどうなったんだろうか。一時期はヒット曲を連発していたが、よくよく考えたらあれは20年近く前のことか。そう考えつつ走行して、赤井川の道の駅に到着した。ここは、すべてが木造の立派な施設で本当にできたばかりです、という外観だ。関係ないが、一休さんの所属する安国寺の住職は、ガイカン和尚だ。

 

駐車場の隅にマシンを止めて、早速スタンプを押しに行く。本体の建物の横には、地元の農産物を売る建物もあるのか。調べてみると、今年の4月にオープンしたばかりのようだ。中に入ってみると、自家製パン屋と土産物屋があるのみで中は案外ガラガラだ。箱ものの建設は公共事業の常とう手段だが、こんなガラガラでよいのかな。

 

スタンプを押して外へ出てきたら、雨が降り出してきた。それも結構な勢いであり、あっという間に道路が濡れてきて、あの独特のにおいがしてきた。ついに来たか、そう思って諦めてカッパを装着した。

 

道の駅 赤井川にて

 

4.太平洋側へ

 

あまり良い気分ではないが、幾分涼しくなったので気をとりなおして走行を再開する。霧に煙った国道390号線走行していく。この区間はわりあいと開けた所を通っており、晴れていればさぞかし気分も良いことだろう。また、雲が無ければ羊蹄山も拝めたかもしれない。

 

市街地が近くなると、道がまっすぐになってくる。マップルを見るとそれが明らかで、あらかじめ決めておいた航法通りに進んでいるという証拠でもある。

 

こうして中心部で国道276号線の尻別国道に乗り換え、機首を090°に向けて走行を続けていく。さて、天気であるが、この頃には雨が上がっており、道路も乾いている。この辺りは雨が降らなかったようだ。それにしても暑い、水分補給をするために京極名水プラザの道の駅へ入る。

 

やれやれ、走っていればちょっと暑い程度だが、バイクを下りると汗が出てくるよ。まあ、寒いよりかはずっと良いのだけどね。カッパを脱ぎ、先に購入してあったペットボトルのお茶を飲んで、トイレがある建物の方へ歩いていく。その途中に、名水が湧き出ている場所の看板を見つけた。説明によると、羊蹄山に降った雨が地面の中を通って濾過されて、ここに湧いているということだった。

 

山がある所に名水あり、そう思いながら自身の水を放出して準備を整える。そして、ついでにスタンプも押しておこう。このスタンプを押すのって、なんだか楽しいかもしれない。また、道の駅に立ち寄ることにより、その土地の概略を知ることもできる。スタンプ帳を埋めるよう、頑張っている人の気持ちが少しはわかるような気がした。

 

さて、カッパをどうしようか。今は雨が降っていないが、この先また降るような空模様である。ここは仕方ないので、再装着して走行を再開する。

 

道の駅京極を出発し、国道276号線を走行していく。この辺りも市街地を出れば、周りは畑のみである。相変わらず羊蹄山は見えないが、一瞬雲が切れて頂上付近が半分だけ見えた。この山は当方と相性が悪いのだろうか、見える確率が少ないように感じる。

 

再び雨が降り始めるが、2013年のような土砂降りと違い、しとしとなのでそれ程問題にはならない。あの時はカッパの上からでも、雨粒が痛かったからね。

 

こうして、喜茂別で国道230号線と合流し、きのこ王国前を通過する。ここでもさくらんぼを売っているということだったが、朝に宿のご厚意で頂いたので今日は通過する。

 

留寿都との分岐点を見送って、機首は140°を維持していく。この辺りも市街地を過ぎれば広大な畑が広がる、なんとも牧歌的な風景だ。これで晴れて青空が見えていれば、尚良かったのになぁ。ただ、行く先は明るく雲も薄くなっているので、雨はもうすぐ上がることだろう。

 

果たして予想通り、広島峠、美笛峠と越えて支笏湖が見える辺りで雨は上がった。路面も乾いておいる。なんだ、やっぱり俺って晴れ男か?ツイてるじゃん。

 

かなり自惚れつつ、支笏湖の湖畔を走行していく。この湖も綺麗で、良い水のにおいがする。そう思っていたらモラップまでやってきて、ここで右折して国道を追いかけていく。この辺りは原生林の中を通る道でとても市街地に向かっているとは思えないが、苫小牧市のアイスホッケーが描かれた看板を見つけ、さらに日差しも出てきた。

 

いいぞいいぞ、孤独のグルメのようなセリフを言いながら、市街地へ向けて走行していく。そして、国道36号線にぶつかった。おお、太平洋側へ来たな。そう喜びながら、国道36号線に乗り換えて、機首を再び090°へ向ける。

 

もう12時を回っているのか、そこで海沿いを走る道道259号線にスイッチし、セイコマに入って補給することにした。今回の渡道では初セイコマである。入店すると、いつもの挨拶に出迎えられる。ああ、北海道にきているのだなと実感しつつ、大福や徳島産のお菓子などを購入する。ふう、ちょっと落ち着いたかな。

 

この旅初のセイコマ

 

5.東へ進む

 

ここでカッパからは解放されて、晴れやかな気分で走行を再開する。この辺りでは雲がとれて、夏の日という様相になってきた。県道234号線を走行していくとツルハドラッグを発見し、風呂に入れない時用の体拭きを購入するために立ち寄ることにした。

 

店内はエアコンが効いており、とても涼しい。思い出してみると、こんなに暑い北海道は21年前の1994年以来ではなかろうか。1993年は記録的な冷夏で米が収穫できず、その翌年の1994年は逆に猛烈な暑さで深刻な水不足となった。

 

上記体拭きとキャンプ時の食事としてレトルトカレーなどを購入して、店を出る。んーやっぱり暑いよ。頭を拭いてからヘルメットを被り、道道を沼ノ端まで走る。そこからは国道235号線で東へ向かう。この道は日高自動車道の名前が付けてあるが、料金のかからない無料区間である。また、交通量も少ないので、50ノット以上で走行することもできる。ただ、ここで取締りをしていないことはないだろうから、37ノット程度を維持していく。

 

途中でT社の王冠がすごい勢いでぶっ飛ばしていったので、こいつをペースメーカーとして当方も追従していく。もちろん、後方は十分に注意しており、問題は無い。ただ、こいつは案外すぐに自動車道を下りていったので、元の37ノットへ速度を戻す。

 

こうして終点の日高門別I.C.まで走り切り、通常ならば国道235号線を目指して右折するが、左折して道道351号線で海から離れた道を行くことにする。今までは海沿いの国道を使うことの方が多かったのだが、内陸の道道を走ってわかったことがある。

 

馬の牧場しかない

 

ということだ。道沿いは隙間なく牧場が広がっており、「サラブレッドの産地」という看板に偽りはない。正直、海沿いを走っていたらそれほどでもないかな、と思っていたのだ。いや、今回は9回目の渡道だけど、まだまだ知らないことがいっぱいあるということを、改めて思い知ることとなった。

 

牧場脇にて

 

その牧場だが、だいたい一区画に数頭の個体が放してあるのだが、どの区画にも子馬の姿を見ることができる。親の大きさからすると、まだ生まれたばかりなのかもしれない。馬ってそんなに儲かるのだろうか、いやそれ以上に世話が大変だろう。何頭もいる中で競馬のG1レースで勝利して、多額の賞金を得ることができる確率は相当に低いだろうが、そういう馬がいるかもしれないと思って育てることが仕事なのだろう。

 

下世話なことを思っていたら小さな町が見えたので、ここで現金をおろしておこう。だいたいこういう町にも1軒は郵便局があるはずだが、ありました。古びた扉を開けて中に入ると、局員のおばさんが一人で仕事をしていた。お金をおろしたい旨を伝えると、紙に金額を書いてと渡されて、それと一緒にキャッシュカードを提出する。すると、大きな電卓みたいなものを渡されて、そこに暗証番号を入力して返す。

 

ここは簡易局なので、ATMではなく、MTH(手動現金支払い人)がいるということか。渡道した時でも大抵はATMで現金を引き出しているので、ちょっと驚いてしまった。しかも、暗証番号を間違えてしまって、2回も電卓を操作することになった。でも、こういうふれあいから会話が生まれ、人と人のつながりが発生するものだ。機械相手に慣れきってしまった現代人であるが、こういうことも必要なのかもしれない。

 

郵便局前にて

 

それにしても、やはり暑い。走行中は割と涼しいが、止まった途端に汗が出てくる。ちょっと頭がボケ気味なので、水分を補給してシャキッとしてから走行を再開する。町の中は牧場が途切れているが、1㎞程先で道道1026号線に乗り換えると、山林と牧場が交互に現れてくる。やはり、この付近は馬にとっては天国なのだろう。のんびりと草を食べたり、走ったり、思い思いに過ごしている。

 

ところで、馬にも性格があるとは競馬をされる方ならばご存知だと思うが、当方は馬をやらないのでよくわからないでいた。しかし、この牧場を通る道を飛ばしていくと、我関せずと草を食べ続ける者(馬)もいるし、排気音に反応してこちらを振り向く馬もいる。

 

そんな馬の個人(馬)差を楽しみつつ、また、この大地に広大さにもあきれつつ、道道209号線、再び1026号線、71号線、1025号線、637号線、1025号線、348号線、1025号線、381号線繋いでいく。ところで、この辺りの道には「馬横断注意」の看板が立っているのだが、偶然にもその場面に出くわした。道路の脇にトラクターが止まっており、もう一方の脇には馬の手綱を持った人が立っていた。当方は速度を落としてその様子を見ようと思ったが、トラクターの人が「先に行け」と合図したので、残念ながらゆっくりとその場を通過した。そしてミラー越しに後方をチラチラと見ていたら、馬さんがパカパカと横断している姿が映った。近くで見たかったなぁと思うが、馬をびっくりさせてもいけない。

 

こうして浦河の街に到着し、疲れたのでセイコマに滑り込んで水分補給を行う。牧場はちょっと見飽きたので、ここからは海沿いを行くことにしよう。さて、この時点で時刻が17時30分となっている。そろそろ今日の宿泊地を探しておかなければならないのだが、雨が心配だ。今日は不本意ながらライハにするかな、そう思って0円マップ等の情報を検索する。おや、マップルに「浦河情報ステーション」というライハがあるぞ。ここから距離も近いし、セイコマも近い。風呂が無いが、今日は体拭きを購入したので何とか凌ごう。

 

6.ランディング

 

こうして、今日の宿泊場所に「メド」ベージェフ大統領なので、日高幌別まで国道236号線を進んでいく。それはそうと、浦河は案外活気のある街であり、多くの人がで歩いている。特に中学生や高校生が多いようで、北海道の地方都市としてはわりと珍しい光景だ。今まで人をあまり見なかったので、なんだかホッとしてしまう。いや、当方は混みあった場所が嫌いで、かつ人間も嫌いな筈だが、どういう心境の変化だろうか。

 

ただ、国道を進んでいくと、ある場所からぷっつりと街が途切れてしまい、また寂しい海沿いの道となる。ただ、5㎞程度走行したら再び街が見えてくる。ここは日高幌別だが、肝心のライハがどこにあるのかよくわからない。とりあえず駅まで走り、ここで情報を得ることにしよう。しかし、駅には人がいないので困っているとちょうど飲食店を開ける人が出てきたので、ライハの位置をたずねてみる。すると、セイコマの斜向かいだということだった。

 

やれやれ、今日も無事に走行を終えることができてよかった。TDMに感謝して少し西へ戻っていく。ん、なかなか見つからないなぁ、ここかぁ、いや違う。まあいいや、歩道を走ってしまおう。そう思っていると、ライハが見えてきた。ああ、あれだあれだ。

 

やれやれ、やっと到着した。そう思ってライハの内部を確認する。あまりにもひどい状態だったらどうしようとドキドキするが、玄関にアリがいる以外にはまともな部屋だ。臭い等も無く、掃除機も備えてある。ここなら一晩を十分快適に過ごすことができよう。そして、これがタダで利用できるとはありがたい。

 

マシンから荷物をおろして、室内に運び込む。やれやれ、本格的な走行初日なのでちょっと疲れたなぁ。幸いにも今日の宿泊者は当方だけのようだし、寛いで過ごすことができよう。

 

ライハの様子

 

着替えを済ませて、300m程離れたセイコマへ買い物へ出かける。すると向かいの交番から「こらこら、バイクのライダーさん」といきなり声をかけられた。ナニナニ?と驚いていると、「さっきここの歩道を走っただろう」と。

 

いや、確かにそうだけど、それはライハと間違えて倉庫に入ってしまい、そこからライハが見えたので、歩行者がいないことを確認して歩道を通行してしまったのだ。

 

その旨を言い訳してみるが、「そんなことは関係ない。違反だぞ」と脅しをかけてきた。おいおい、じゃあその場ですぐに挙げればいいじゃないか。こっちも腹が立ってきたが、「注意書を書くから交番へ来て」ということだったので、渋々行くことにした。その時巡査殿が「今日はここに泊まるのか。(ライハは)水が無いから、あとで汲みにくるとよい」といきなり職務とは関係ない態度に変わった。

 

やり方はムカつくが、人間はそんなに悪くはないようだ。そこで当方も「交番の向かい側なので安心できます」とおだてておいた。すると「ん、そうか(笑顔)」と答えていた。常々「警察って組織の問題かなぁ」と思っているが、この人に関してはそれが当てはまりそうだ。

 

注意書を書かれて放免になったが、いろいろと聞かれて雑談に花が咲く。結局は自転車の注意書と兼用の様式のこの書類、発行枚数のノルマの足しにされたというわけか。

 

気分が悪いが人はそれ程ではなかったので、自分をなだめてセイコマで買い物をする。今日の晩飯は野菜を取り入れよう、牛乳も飲みたいなぁ、肉も食べたいなぁ、朝はいつものやつかなどと考えつつ、買い物を終えて宿へ戻る。薄暗くなり始めた北海道の小さな街である、日高幌別に紛れ込んだ管理人であるが、住人はいつもの日常を過ごしていることだろう。

 

今日の晩飯

 

それにしても蒸し暑い。窓からは涼しい風が入ってくるものの、海からの湿った風だから湿度がやたらに多い。そう思って食事をしていたら、自転車の方がやってきた。彼もここに宿を求めてきたようで、かなり疲れている様子だった。そして荷物をおろすと、「風呂へ行く」と言って出かけて行った。あれ、街に銭湯でもあるのかと思いきや、4、5㎞離れた場所に「AERU」という温泉施設があるようだ。

 

当方も出かけようかと思ったが、飯も済ませていて疲れている。今日は体を拭くのみとして、明日の朝にでも入りに行こう。というのも、明日は午前は天気が悪いようなので、その間を温泉で過ごそうと思ったから。

 

メモをつけてルートを確認して、もう寝ようかなと思っていたところにチャリダー氏も帰ってきたので、そのまま消灯となった。

 

本日の走行 320㎞

 

8月1日(3日目)へ