4輪ユーザー車検

〜スズキ式 ZC11S型編〜

 

2014年9月19日

 

新しい車検証と有効期限表示シール

 

0.ユーザー車検

 

「車検は店に頼むもの」と思われているようだ。ある日、「車検はお金がかかるなぁ」と困っていた方に、「当方が車検場(自動車検査登録事務所)で車検を受けてきましょうか」と申し出た際、車両の持ち主が「車を買ったのはOOのダイハツ店だよ」というやり取りがあった。これは当方が「車検場で検査を受ける」と言っていることに対して、「購入店(指定工場)でしか車検は受けられないのでは」と返答したというように言い換えられる。

 

これは本来の考えからはまるで逆のことであることは、言わなくともおわかりのことだろう。そもそも車検というものは、1951年施行の「道路車両運送法」によれば、「車両が保安基準に適合しているかを定期的に検査する」ものである。また、ここが重要なのだが、同法には「点検・整備は車両の使用者の義務」とも明示されているのである。

 

何のことはない、車両使用者が自分の車を点検・整備して、検査登録事務所で検査を受けるというもの、これが元々の車検である。くどいようだが、車検はユーザー自ら車検場で受けるものだ。

 

では、なぜ現状のようになったのだろうか。当方の独断と偏見で判断するには、ただ、2輪、4輪共に多数の部品から構成されており、「整備は複雑で素人にはできない」と思わされているだけのことだ。もっとも、複雑さは年々増す一方だし、プロのメカニックでさえも修理に頭を抱えることもある。もちろん、そうでないユーザーにしても、車検場が業務を行っている平日は仕事があるので、自ら出向くこと自体が難しいという事情もあるだろう。

 

そこで「整備工場に頼むか」ということになるのだが、それが独り歩きしてしまって、上記のような流れになったのではなかろうか。もっとも、車両の保有台数も劇的に増えたので、陸事だけでさばくことはできなくなって(やりたくなくなって)しまい、車検場と同じ設備を備えた民間車検工場、いわゆる「指定工場」が認められたということも「ユーザー車検離れ」を後押ししたのだろう。

 

ついでに余談だが、「車検を通したから2年間は整備はしなくてよい」と勘違いしている方がおられるが、車検はあくまでも検査時に「保安基準に適合しているかを検査」するのみである。それ以上でも以下でもないのだよ、ヤマトの諸君。

 

上記事項を踏まえた上で、「面倒だから車検は店に任せよう」という選択をするのならばトラブルも少ないだろうが、そうでないと話がややこしくなる。本ページを読まれている貴殿なら、この程度の事は容易に理解できることであろう。

 

1.準備

 

そういうわけで、今回は当方の4輪機材である2008年型のスズキ スイフトの4回目の車検を、当方が自ら整備・点検して、自動車検査登録事務所に持ち込み受験した様子をリポートしてみようと思う。

 

さて、車検を受けるに当たり、最初に行うことは、「車検を受ける自動車登録検査事務所にて予約をとる」ことだ。最近はインターネット上で予約をとることができるので、随分と便利になった。少し前までは電話による受付のみで、番号ボタンで操作をしていた。因みに、今回は第一ラウンドが空いていなかったので、第二ラウンドに予約しておいた。

 

余談だが、ナンバーを取り付ける新規登録は、居住地を管轄する事務所にて行わなくてはならないが、俗に言う車検=継続検査は、日本全国どこの陸事でも受けることができる。極端な話、北海道ツーリングのついでに室蘭陸運支局で受けてもO.K.である。

 

次に車両の点検と整備を行う。2年前に中古で購入した車両だが、目立った部品の消耗は見当たらない。敢えて言えばタイヤだが、まだ5分山程度残っているので検査自体は問題なかろう。まあ、趣味の一環で受ける車検なので、一度タイヤを外して点検しておこう。ついでに下回りも清掃したいので、コイン洗車場へ行ってみるかな。

 

自宅近くの洗車場にて

 

まずは高圧噴水器で砂や泥をきれいに落とし、その後ジャッキアップしてタイヤを外す。この際、フロント側についてはブレーキパッド、ドライブシャフトブーツ、サスペンション本体等、リア側についてはサスペンションビームや同じくダンパー等を見ておく。

 

おや、リア側のダンパー本体とそのカバーが少し当たっているじゃあないですか。プラスチックのカバーが熱で歪んだだけだろうか。まあ、こいつについては問題なしということで。あと、リアサスビームについて、溶接箇所に少し錆が出ているなぁ。これについてはシャシーブラックを吹いておくか。

 

2.現地にて

 

こうして予約した当日に自動車検査登録事務所へ行くのだが、上記のように、今回は第二ラウンドの検査なので、朝はゆっくり目でよい。尚、積車がある場合はそれに載せて行く方がよいのだろうが、そんなものは持ち合わせていないので、車検場までは自走していく。

 

車検場に到着したら、まずは自賠責保険に加入する。管理人が行きつけ?にしている所では、保険代理店をしている、隣のテスター屋を利用する。そして、次回車検までの期間を満たす分の保険料を支払って、新しい保険証をもらう。尚、この際に現有の保険証を提出すると話が早いと付記しておこう。

 

次に車検場内の社団法人 自動車会議事務所にて必要書類を購入する。できれば、あらかじめ手に入れておくことが望ましいが、ここは平日しか業務を行っていないので、当日でも構わないだろう。ただ、自動車税の納税証明書と印鑑は必ず持参しよう。と言っても、最近はこの会議事務所でも発行できるようになったので、心配はいらない。

 

建物に入り、窓口で無愛想に「普通車の継続検査書類一式」と言えば、それに負けないくらいに無愛想に「45円です」と返答があり、書類と領収書が出てくる。この際に点検記録簿をあらかじめ作成しているならば、「記録簿はいらない」と付け加えておく。もちろんここで購入してから記載しても問題は無い。それにしても上記社団法人であるが、国土交通省の役人の天下り先であろうと推測される。世の中そんなもんか。

 

書類を手に入れたら、次は税金を支払う為に証紙を購入するために、印紙売り場へ向かう。当方の車両は車両重量が990kgなので、1トンまでの重量税印紙(20,000円)、検査登録印紙(400円)、そして審査証紙(1,300円)を購入し、自動車重量税納付書(検査自動車)に購入した20,000円の印紙、また審査依頼書・審査結果通知書に1300円と400円の印紙を貼り付けておく。尚、今回は窓口業務が暇なのか、証紙を書類に貼り付けてもらった。

 

この後検査登録事務所へ移り、見本に従って書類に必要事項を記入する。具体的には継続審査申請書、自動車重量税納付書(検査自動車)、審査依頼書・審査結果通知書、定期点検記録簿に名前や住所、車体番号、登録番号などを書き入れ、申請書のに印鑑を押す。

 

こうして出来上がった書類を検査の受付窓口に提出する。尚、今回は空いていたので待ち時間はなく、その場で書類を確認して受領印を押してもらえた。

 

3.ライン

 

いよいよ検査ラインへ並ぶのだが、管理人の出向いた事務所は4輪用のラインが3本ある。今回も前回のフィットの車検時のアドバイス通り、「駆動方式などを機械が自動判別してくれる2番ライン」の列に並ぶことにした。尚、師匠のオークラ氏は「特にそんなことは考えない」ということだった。

 

ラインの手前で待っていると、検査官がやってくるので書類を提出し、灯火類の作動やシートベルト、発炎筒の有無を確認してもらう。その後ボンネットを開けてから車両番号などの確認を行うが、スイフトの場合は右側端のカバーを外さないと見えないようになっている。当方はそれを知らなかったのでどこかどこかと探してしまったが、検査官に促されてカバーを外した。恥ずかしい話だ。

 

その後、ホイールナット等の緩みを検査するため、カナズチでトンカンされる。もちろん、ドノーマル車なので何の問題もなく合格だ。

 

書類に合格印をもらい、ラインに進入する。まずは排ガス検査からだ。50cmくらいの検査棒を排気管に突っ込んで待つ。すると電光掲示板に「○」と表示が出る。マフラーは純正品なので、通らないということはまずないだろう。

 

排ガス検査中

 

審査依頼書・審査結果通知書を記録機に挿入して「○」を打刻した後、車両を進めてサイドスリップ検査に移る。電光掲示板に従ってテスターを時速5/h以下で通過する。ところで、このサイドスリップだが、要するにタイヤのアラインメントが狂っていないかを検査するものだ。検査ラインにスライド部があって、タイヤの横方向への力が必要以上にかかっていないかを点検しているらしい。もちろん、当方の車両は修復暦はないので、「○」である。

 

3番目は前進してローラーに車両を載せてスピードメーターのテストだ。2輪の場合はローラーが勝手に回りだし、40km/hを示した時点で「フートスイッチ」を離すのだが、4輪の場合は自分でギアを入れて、40kmになった時にパッシングをする。前回の時は「あれ?ローラーが回らないなぁ」って思っていたら、「ああ、そうか自分で回さなきゃ」と思い出した経緯があるので、今回はすぐにギアを入れアクセルを踏み、タイヤを回す。そして速度計を注視して40km/hでパッシングする。当然「○」の表示が出て問題無し。余談だが、師匠のオークラ氏は「ファのシャープ」の音になったら押す、と聴覚でも解るらしい。さすが!

 

検査用のローラー

(メーカーはその筋では有名なバンザイ)

 

4番目は光軸と光量の検査だ。実は2輪でも4輪でもこれが一番のフェデラル、いやナンカン(難関)である。ギアをニュートラルにして、ライトをハイビームにして待つ。すると、横から箱が出てきて「ガタガタ」いって検査が始まる。大丈夫だろうなぁと心配していたが、両方共に「○」だった。尚、今回の車両はHIDランプ装備車なので、衝突したりしていなければまず狂うことはないよ、とはスイフトを購入した店の談。後日、ブレーキオイル交換のために販売店を訪れた時に聞いた話だ。なんだ、楽勝だったんじゃん。

 

次のサイドブレーキのテストだが、思いのほか手こずってしまった。タイミングが合わないのか、レバーを引いてもタイヤが回っているよ。どうしようかと思っていたら、係員が出てきて指示してくれた。多分4回はやり直したと思うが、通ればこっちのもんだ。落とすと面倒だから、わざわざ通るようにしてくれたのだろうか。そしてフートブレーキだが、ブレーキの検査の秘訣は「親の敵くらいの強さ」が原則である。サイドブレーキの時に、これを忘れていた。もちろん、今度はと思いっきり床までペダルを踏み抜いてやったので、「○」っと。やれやれ。打刻機で結果を打ち、次の検査へ。

 

記録の打刻機

(これは排ガス用の機械)

 

最後の下回りだが、これは車両の左右の車輪が通る間に、床の無い部分がある。ここには地下室があり、そこから検査官が検査するわけだ。ゆっくりと車両を停止位置につけ、エンジンを停止するかしないかのタイミングでハンドルがガタガタと動き出した。いきなりタイロッドを動かされたのでビックリしてしまったよ、いやいや、そんな暇は無い。「ブレーキ踏んで」とか「エンジン再始動」とか矢継ぎ早に指示がくる。しかし、ここは「ベテラン?」の貫禄で、落ち着いて動作を丁寧にこなしていった。

 

そしてちょっと沈黙があった後、電光掲示板に「○」が出て「記録してくださぁーい」と声が聞こえた。やれやれ、これで終了だ。何だ、今回は検査項目が全て「○」だったので、総合判定に行って尾張小牧、いや、ここは三河だ。

 

検査用の地下室

 

4.まとめ

 

この後無事にラインを出て、総合判定所にて所定の印鑑をもらい、再び検査登録事務所へ行き、車検証交付窓口へ書類を提出する。今日は空いていたので、ほんの2、3分で新車検証が発効された。料金は冒頭で記した通り、全部で21,700円であった。

 

車やバイクには「車検」という「税金の関所」があるので、金がかかる。ただでさえ高額なガソリン税に消費税を上乗せして徴収するなど、国家単位の詐欺に付き合わされた挙句、2年に1回関所を通らねばならない。

 

さらに、昨今の経済情勢を考えると維持費の捻出は頭の痛い話だ。しかし、こういう時代であっても趣味を持ち、仕事の動機付けにして乗り切りたいものだ。ユーザー車検はその一つの実践例と言えるのではなかろうか。

 

ご存知のように、管理人は貧乏人であるが、2輪2台と4輪1台の8輪生活を満喫している。それはこういう所で労働して、ケチっているからできることなんですよ。当方が金持ちだと思っておられる方、当方の年収は41歳の平均の3分の2もありませんから、ご安心ください。

 

これにて、4輪ユーザー車検記は終了。お付き合いありがとうございました。

 

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