2010年5月22日
椹木谷林道にてOLD機と管理人機
林道ツーリングを始めて早5年が経った。ご存知の通り、管理人のOFF車第一号機はKDX125SRであり、走行性能には文句はなかった、というか当方には手に余る程であった。つまりは、超高剛性のフレームと倒立フォーク、パワーはあるがピーキーな特性のエンジンと、それを補うための6速クロスミッション。全てオフロードを速く走る為のマシンだった。これに対して管理人も体力増強をと思い立ち、スポーツジムにてエアロビクスを中心とした持久力向上を目的としたトレーニングに励んでいる（現在も継続中）。とはいえ、そちらも健康維持程度のものなので、ツーリング時に必要な体力を全てまかなうということにはならない。こういった経緯で現在の2号機XLR125Rを購入したことは以前にも記載した通りだ。
さて、そのXLRであるが、この間エキパイとハンドルバーを塗装してみた。まあ素人なのでこんなもんかという仕上がりだが、何もしないよりかははるかにマシかという程度にはきれいになったと報告しておこう。
そして本題、今日のプランはKDX時代から一度訪れたいと思っていた、筈ヶ岳周辺の領域である。地形図を見ると山を取り囲むように何本か道が走っている、かなり深そうなエリアだ。今回XLR号の購入で体力的に余裕ができたことだし、当方がいつも閲覧している健氏主宰のページ、林道浪漫にも情報提供を呼びかける旨記載があったので、DT125Rを駆る、林道検索の分野では若手のホープであるOLD氏を伴って出かけることとした。
先回の林道ツーリングではけっこうな距離を走り、かなり疲れた。そういうこともあり今回は上記エリアに絞って走行し、距離を抑えて帰りに温泉でゆったりするというプランに従い、10時30分集合となった。まずは補給を兼ねて香嵐渓へ向かう。ここまではいつものルートであるが、この日はこの香嵐渓手前にあるゴルフ場で、大きな大会が開催されていた。よって、国道153号線は大渋滞である。すり抜けや裏道を用いてなんとか進んでいくが、こんなことなら鞍ヶ池方面から補給ポイントを目指すべきであった。管理人のプラン作成が甘かった。
さて、この国道153号線沿いにあるいつものコンビニであるが、国道を外れて裏道を走行中に遠まきに見てみると、かなり混雑していたようだ。そこでもう一つある別のコンビニへ向かうが、なんと潰れているではないか。この時点でいつもの店まで戻るべきであったが、何か面倒だったので、そのまま走行を続行して市の施設である百年草にて補給を行うことにした。
ここは温泉やデイケア用の部屋、観光客向けのハム工房、パン工房もあるなにやら不思議な施設である。ともかく、この先補給ポイントは無いので何か補給物資を手に入れなくては。とりあえずは、場に不釣合いなオフロード走行用装備をガチャガチャさせながらパン工房へ向かう。ところが、なぜかここへ行くには建物の１階まで降りて別の建物へ行き、さらにまた階段を登るという複雑な経路を辿らなければならない。つまり、それだけたくさんの人の目にさらされるということだ。上記のように明らかに場違いな格好をしていたので、注目を集めてしまったかもしれない。
それにしても今日は暑い。昨日は真夏日だったし、今日もそれに近いくらいに気温が上がっていることだろう。汗がでてきてしかたない。周りの人は皆半袖だ。
店に入り、パンを2、3個選び会計を済ます。暑いことだし、この店の喫茶コーナーでブリーフィングを兼ねて昼食を摂ることにする。これから入るエリアの地形図を出してOLD氏に説明をしていると、厨房のオヤジが出てきて「なんだ、いちばんマズイのを選んだのか」と声をかけてきた。そんなもん俺の勝手だよと思うのだが、適当に流しておく。すると「暑そうな靴を履いているなぁ」とか言ってさらに首を突っ込んできたので、「面倒だなぁ」と思っていると「これが一番旨いぞ」と試食用のパンを持ってきた。これはラムレーズンと胡桃のパンであり、なかなかいける。だったらおすすめとか書いておけばいいじゃんかよ。
プラン確認中
見方を変えると親しみやすく声をかけてきたと言えるが、当方は日常を離れてきているので、あまり変な気を遣いたくない。もっとも同業の方が交流をしようと話しかけてくる場合ならば問題はない。
この後オヤジは他のお客にもそんなことを言いつつ離れていったので、OLD氏とルートを決めて承認。パンは結構いけるのだが、オヤジがイマイチだったので残念だ。
この後は県道33号線をheading090で上っていく。すると暑さも徐々に和らいでくる。ワインディングを走行しつつ、川面山中林道への接続点を探すが、見つからない。そりゃそうだ、当方が大きな勘違いをしていたので、あるわけない。本当は県道33号線を右折して、市道を走行後、右折して川面線に入る予定だったのだ。さっそくミスコース。仕方ないので、椹木谷林道から目的のエリアへ入るようにルート変更。
県道33号線を左折して前述の川面山中林道と椹木谷林道の交差点を通過する。すると日陰には林業のおじさん達が休息していた。こちらを見て「物好きなやつらだなぁ」という表情が印象的であった。
周りが杉林となり、路面もダートに変わる。着座位置をタンク寄りにして、あるいはステップ立ちになったりしてダート路を上っていく。ここまでくればかなり涼しい。そして、いよいよ本格的未舗装路走行、という上り坂にさしかかる所で一旦休息。設置された看板を見て、森林の空気を吸い、一息入れる。「山はよいですねぇ。山好きですよ」とOLD氏、やはり男は山が好きなんだよと前回のツーリング時に言った冗談を懲りずに繰り返して再出発。
休息地点にてOLD氏
椹木谷林道をさらに上っていくと、少々路面が荒れてくる。路面が削られて、そこから尖った岩がむき出しになっている。しかも勾配もカーブもきついので、慌てずに一速まで用いてゆっくりと確実に行く。OLD氏もなんとか後を着ていることを確認。
こうして荒れた区間を通過すると、勾配もなくなり砂の路面となる。南側へ分岐する道はないかと注意深く探していると、それと思われるものを発見した。地形図を確認して道の接続する角度や方角から「たぶんこれだろう」とこちらへ機首を向けて、さらに坂道を上っていく。早速分岐路があるので勘で右手を選ぶが、あえなく行き止まりだった。仕方ないので、戻して左側へ入っていく。すると、先ほどよりもさらにひどく荒れた区間が現れた。道を外れれば谷底へ転げ落ちていくことは間違いない。そう思いながら慎重に荒れた場所を越えていく。余談だが、我々は林道ツーリングという奈落の底へ落ちていることは間違いない。
この後再び、分岐が現れる。やれやれ、わけがわからない。仕方ないので、ここで一旦ルートを検討する。一方、ルートを考えている間、OLD氏は野生の植物に見入っている。どうやら普段目にしない珍しいものがたくさん生えているので、とても嬉しいようだ。当方も一緒に見てみると、確かに葉の大きさ、形、色、実に様々な植物が自生している。林道走行ならではの楽しみである。
結局南西方向の左折を選ぶことにした。しかし、これは間違いだったことがこの後判明することとなる。当方の技術不足で南へ行かなくてはならないという思い込みである。道は必ずしもその方向へ向かうわけではなく、特に山間部はカーブが多いので、いつの間にか違う方向を向いていることもある。その辺の考えがまだまだ甘い。所詮400時間ですから。
さて、左折ルートを降りると、椹木谷林道本線へと飛び出した。あれ？？このまま筈ヶ岳の東側を抜けていくことができると思っていたのだが・・・。いずれにしても混乱してしまったので、このまま本線を下り、一度退出して県道33号線へ戻り、川面山中林道から、筈ヶ岳の西側、南側を通るルートへアクセスすることにする。
県道から椹木谷林道へ一度入り、先ほど林業のおじさんがいたところを右折するのだが、ここでハプニング。OLD氏がリアタイヤをロックさせてしまい、転倒。幸いにもケガは無かったが、当方大いに焦った。ミラー越しにDTのケツが先行していく場面を見て、その後ガシャンという音と共にOLD氏がアスファルト面に転がったからだ。OLD氏曰く「OFF車は頑丈ですね」と。
いずれにしても誰もがやることだし、当方なんて何回やらかしたか覚えていない。また、XLRに関してはまだ60時間程度の飛行歴しか無いのでOLD氏を評価する立場でもないのだが、やはり彼は上手い部類だと思うし、今後の乗り方ではかなりの伸び代があるはずだ。共に上手くなるという立場で当方も精進していくつもりだ。
幸い、マシンの損害もほぼ無かったし、OLD氏の意思も「ツーリング続行」ということだったので、予定通り川面山中林道へ進入する。ここはKDX時代に全路線舗装済を確認している。もっとも、2000年のマップルではまだダートになっているので、舗装はそれほど昔でもないようだ。
さて、地形図によれば、1km程走行した地点に入り口があるようだ。慎重に入り口を探しつつ林間の舗装路を行くと、あるじゃん。非常に解りやすい入り口だ。ただ、チェーンゲートが設置してあることがフェデラル、いや難関だ。しかし、このゲート、全くゲートの意味を成していない。つまり、だだチェーンが張ってあるだけで、施錠がされていないのだ。ここは失礼とばかりに、走らさせていただくこととする。
しばらくはグイグイと標高を上げていき、カーブもそれなりにきついが、路面状況は最高である。新しい砂利が入っているが、しっかりと踏み固められているからだ。やや速度を上げて3速を用いてスライド走法へ持ち込むことも容易だ。ミラーでOLD氏の状況を確認してみると、同様に時折アクセルを大きく開けて楽しんでいるようだ。
また、この区間は展望が良く、眼下には県道33号線とそれに沿う集落や川が見える。おっと、景色に見とれていては危ないので、集中してダート走行を続けていこう。少し勾配が落ち着いてきた所に分岐点が現れた。これは地形図には無いし、見たところ新しいようだ。打たれている杭には「作業道小筈線」と記されている。今後のルート検討しながら記録写真を撮影している間、OLD氏は植物の観察をしている。この季節は丁度新芽が成長していく時なので、様々なものが見られる。
作業道小筈線と本線の分岐にて
ひとまず本線を行くことにして、走行を再開。展望は無くなり、路面状況もやや悪化してくる。驚いたのは、直系1mくらいの穴が開いており、その中が空洞になっていたことだ。ヘタしたら陥没してしまうと思うと背筋が寒くなってきた。気を引き締めて行こう。
そしてアップダウンを数回繰り返したところで、ゲートが出現した。今度は無理かなぁと思ったが、何のことはない。ただユルユルに張った鎖に工事現場の仕切りが針金で縛ってあるだけだ。力のある若いOLD氏が件の仕切りを持ち上げている隙に、当方が車両を移動するという連携プレイで乗り切った。
ここからはまた路面状況が改善されて、新しい締まった砂利ダートとなる。どうやら峠を越えたらしく、2％程の下り坂を慎重に進んでいく。すると反対側からマウンテンバイクに乗る方々が2名上ってこられた。軽く手で挨拶してお互いの安全を願う。向こうから人が来たということは、向こう側に抜けることができるということなので、足どり、いや車輪どりも軽くなろうというものだ。
森も抜けて陽が入るようになってきてますますご機嫌の二人だが、ここで再び悩ましい問題が発生し始める。何本もの分岐路だ。地形図では本線に数本の記載があるだけであるが、なんかそれ以上に分岐点があるようだ。丁度黒柳徹子が話した分よりも相槌が多いようなもので、実態がつかめない。ひとまず勘で本線と思しき方を選択していくのだが、時々分岐点で停車して地形図を確かめる。もっとも分岐している方は形式こそ同じだが、今までのような甘いゲートではなさそうだ。また、東海自然遊歩道と重複区間もあり、人が出てくるかもしれないので慎重に慎重を重ねて走行を続でていく。
遊歩道との重複区間にて
こうしてドンドンと下っていくと沢沿いの道になり、やや長い直線が現れたのでちょっとだけ速度を出して、高速林道走行を楽しんでみる。また、水はけ用に横溝が掘ってある部分の手前が盛り上がっている所では、ジャンプしてみたりと軽いモトクロスごっこもやってみた。オフ走行の楽しいところは、ロードではトロトロの速度でも、ものすごい速度が出ているように感じるところで、2倍強は速く感じるのではなかろうか。
こうして怪しい分岐点をやり過ごして右カーブを曲がるとゲートが現れた。これもなかなか手ごわそうであるが、何のことはない。横から抜けるように先人が通路を確保してくれていた。これで出口も確定したので、最後に先ほどやり過ごした怪しい分岐路まで戻り、探索を開始する。
ここまで来ると、もうさっぱり自機の位置が判らなくなっていて、リクエストポジションという状態だ。ひとまず出口はあるので、思い切って分岐路へ突入していく。するとここにも先ほどと同形式のゲートがあるが、こちらも側道があるので問題は無い。さらに入っていくとまた分岐だ。止まって地形図を確認するが、もうさっぱり解らない。仕方ないので、作業道落合萩ヶ根線へ左折してみる。すると1km強で行き止まりとなったので、ここから戻ってさらに途中にあった分岐を行くも、ここも行き止まり。結局作業道の入り口へ戻り、本線を行く。するとまたも分岐があったが、面倒なので本線と思われる方を選択していく。
この道も路面状況が良く、中速カーブが続いているので気持ちよく走ることができる。ここで今日は今ひとつ調子悪い左コーナーについて、派手目にアクションを興して原因を探って見る。どうも腕に余計な力が入っていて、バンクが浅いようだ。「アナル」をシートの角に乗せるくらいのイメージでリーンアウトのフォームを決めると丁度良い、ということを思い出した。少しはマシになっただろうかな。
と思っていたら、勘で切り落とした方の分岐路から元の道に飛び出した。ああ、周回路だったのかと納得し、本線へ戻る。こうして今日の探索を終えて、最後のゲートから県道367号線へ退出することができた。因みにこの林道の入り口には菅ノ口線と記載があった。
林道菅ノ口線出口にて、植物を観察するOLD氏
あとは帰るだけだなと思って舗装された道を下っていくと、このエリアの広域案内板が立てられていたので、よく検証してみる。しかし、さっぱり解らないので、写真に収めて帰宅後にじっくりと、地形図と照合してみることとして県道を下り、そこから県道364号線を右折して怒度沢町から最初走行した県道33号線へ戻ってきた。ここまでくればもう安心だ。それにしても、筈ヶ岳をくるりと一回りした割には距離が少ない。ひょっとして認識が違うのだろうかと自問自答しつつ国道153号線を戻る。
後日地形図と看板を比べてみたら、やはり当方の認識が違っておりました。まだまだ修行が足りませんな。
さて、やや混みあった国道から、枝下I.C.までグリーンロードの無料区間を走行して、今日のもう一つ目的地である、浄水にある竜泉寺の湯へ向かう。もともと今回は、最初から距離を少なめにして帰りに温泉へ浸かる計画をしていたのだ。林道走行で疲労した筋肉を温泉につかって休めるとは、なんとも嬉しい話だ。これもツーリングの楽しみと言える。
素っ裸になり温泉に浸かり、腰や足のコリをほぐしつつ、OLD氏の近況を聞く。氏はこの4月から社会人として勤務しており、今のところは仕事だけで精一杯ということだ。それはそうだろう。学生、生徒はなんだかんだいって時間的には余裕があったし、拘束感も少ない。しかし、仕事をするということは、決まった時間はしっかりと拘束されているし、全てが初めてのことばかりであろうから精神的な疲労も大きい。まあ誰しも通る道であろうし、それがあるから休日が有難いわけであり、こうして趣味を楽しむことができるというものだ。人それぞれの事情があるので細かいアドバイスなんかはできないが、とにかく悔いの無い様に過ごすことが大切ではなかろうかと思うのだ。
また、今までの林道走行の感想や、3FW型機の整備計画等も話し合う。ひとまず林道の雰囲気は掴んでいただいたようで、無理のない走行をしていればソロでも楽しむことができるレベルになった氏なので、そろそろDTもタイヤ交換やら、フォークオイル交換等の車体周りの整備をしていきたいところだと氏。そうすれば更に良いマシンになることは間違いなかろう。もちろん整備助手の依頼は大歓迎である。
また、氏の車輪生活の構想も伺ってみると、250�佞離�ンも所有してみたいとのこと。そうなれば、夢の8輪生活・・・楽しみである。
今回走行したエリアは、当初我々が考えていた以上に奥が深いようだ。今回は主道とその周辺を少しだけ走行したのだが、数回通ってみて、可能な限り走破してみたいものだ。もちろん、最後に温泉に浸かるのも忘れてはならない。
というわけで、今回はこれまで。
その2へ続く・・・。
本日の走行 120km
（内未舗装路35km）