管理人 海外へ行く

~セネガル編~

 

2017年 3月24日~4月3日

成田空港第1ターミナル チェックインカウンターの様子

 

第1日目(3月24日 その3)

1.いよいよ出国

十分に飛行機を堪能したので、そろそろ空港に戻るとしよう。日が沈みかかった屋外は急速に冷えてきて、バスが待ち遠しい。手を擦りながら待っていると、往路と同じ運転手が乗った京成バスがやって来る。これに乗って成田空港へ戻り終点第1ターミナルで降車し、コインロッカーに預けていたスーツケースを取り出す。これについては、本当はセントレアで「国際線乗り継ぎ」で預けることもできたらしいが、並ぶ列を間違えてしまったのさ。まだまだ初心者である。

さて、空港はこの時間帯から出発便が多くなり、各会社のカウンターはとても賑わっている。また、搭乗案内のアナウンスが続くのだが、この時に鳴る「ピロロロロ~ン」というチャイムは成田のオリジナルであり、旅の始まりを盛り上げてくれる。そんな浮足立つ気分で混雑気味のフロアを通り、南ウイング4階の一番端Jエリアにある、エチオピア航空のJカウンターへ向かう。関係無いが、中森明菜の楽曲は「北ウイング」であり、吹き抜けの向こう側になる。カウンターの列には日本人よりも外国人の方が多く、特に黒人も多くいるのでアフリカを連想させる。

おや、前に並んでいるアメリカ人ぽいおっさんが、受け付けのネエチャンにちょっかいを出している。まったくのエロオヤジだと思うが、当方も人の事は言えない。そう考えつつ、さっさと隣でチェックインを済ませる。この際「ダカールから先に乗り継ぎはありますか」とたずねられるが、そんな遠くへ行くことはない。「ありません」と答えて、ただの白い紙に印刷された味気のない航空券を受け取る。もっとも、ANAの場合、省力化のために航空券すら発券してくれないので、マニアとしては残念だ。

Jエリアにあるエチオピア航空のカウンター

時間的に余裕があるが、その足で国際線の出国手続き場所へ向かう。ここにはテレビなどでよく見る、大きな電光掲示板があり、いよいよ日本を離れるんだという気になる。保安検査を受けて3階に降りるのだが、ここもよく芸能人が海外に行く時に映る場所だ。そして、イミグレーションのブースで出国のスタンプを押してもらえば、長~い廊下が続く免税店エリアだ。「太~い」は阿古屋である。もちろん、手続きは極簡単に終わるのだが、これが標準でないことは後々知ることになる。

セキュリティエリア内の免税店街

華やかな免税店を横目に、地に足が着かない感覚で歩いていく。出発時の興奮は最高潮である。さて、今日搭乗のエチオピア航空は、第4サテライトの41番ゲートからの出発である。因みに、前回のポルトガル旅行時に利用したターキッシュエアも同じ第4サテライト内の47番ゲートを利用しており、半年前のことを思い出す。ただ、そのゲートは空であり、まだ飛行機が香港から来ていない。仕方ないのでターキッシュを見に行くが、こっちも19時頃に到着予定なので空である。そこで、他のゲートに来ている飛行機を見て時間を過ごす。その中でも、夕暮れに映えるユナイテッドのB747-400はとても印象的だった。この航空会社がお客を引き摺り下ろした「あの事件」が起きたのは帰国後のことだったので、この時は悪いイメージは持っていなかったと補記しておこう。

夕暮れの空にB747-400

んー、腹が減ったな。何かないかと歩いて回ると「Fa-So-La第4サテライトカフェ」を発見した。ここで、ホットドッグと紅茶、ついでに水も買っておく。何か落ち着かないが、椅子に座って食事をして気持ちを鎮める。「いったいアフリカってどんな所なんだろう」と考えると、ウキウキするのは当然だ。そういえば、自称旅行家の兄も「アフリカは領域外だ」と言っていた。いや、知り合いでアフリカに行った人なんて誰も知らない。そう考えると「随分大胆な行動に出たものだ」と、我ながら呆れてしまう。しかし、もう後戻りはできないよ。

ちょっと腹ごしらえ

18時を回って日暮れ時を迎えているので、再び41番ゲートに戻って待機する。すると件のチャイムの後「機材到着が遅れておりますので、出発が10分程遅れる見込みです」というアナウンスが入った。そのくらいなら、遅れにはならないさ。そう思っていたら、ピカピカのB787-8が入ってくる。登録記号は「ET-ASH」であり、帰宅後調べたところ2015年3月就航の新車で、787型としては283機目のものだと判明した。

搭乗するB787-8型機

この機種は2009年末に初飛行し、3年遅れの2011年に就航したが、2012年にはバッテリートラブルから運行停止になった経緯を持つ。最近はそれら問題は聞かないので、問題はひとまず解決されたようだ。それにしても、この流麗で複雑な曲線を描く主翼、径の大きなエンジン、空気を切り裂いて飛びそうなノーズ部、いかにも新型機という雰囲気だ。

惚れ惚れと機体を眺めたり、写真を撮ったりして過ごしていると、ET673便またはANA5341便は19時30分頃に搭乗開始となる。いよいよだと搭乗橋を渡り機内に入り、濃い緑の制服を着た黒人のCAさんに迎えられて、28Lの座席を目指す。機内は緑や黄土色っぽい黄色の座席が3-3-3の9アブレストで並んでおり、アフリカンな雰囲気でである。窓側に自分の席を見つけたが、先にトイレに行っておく。窓側の席に乗る際は、トイレに行く時に気を遣うからね。

機内の様子

結構ギチギチです)

こうして席に着いて、クッションを置く位置を定め、期待と同時に空気枕も膨らませて出発の時を待つ。また、機内から見る主翼は一段と複雑な曲線を描いており、空気抵抗低減と高揚力発生を極めたという感がある。因みに、こちらは三菱重工が製造を担当していると補記しておこう。

いかにも効率良く飛びそうな主翼だ

2.離陸

機材到着が遅れたが、定刻の20時10分の前にドアが閉められた。「ガタン」という衝撃と共にプッシュバックが始まり、同時にエンジンが左から息を始める。尚、搭乗中のB787は ロールズロイスとGEのエンジンが選択可能だが、エチオピア航空は後者の「GEnx」を装備している。そしてこれは、日本航空と同じ組み合わせだ。そう思っていると、右の第2エンジンも始動するが、最新型のエンジンは音がとても静かである。

安全デモの映像が始まるが、人物は黒人のアニメーションである。これも「フワッとアフリカン」である。尚、個人的には実写の方が好きである、と補記しておこう。ゆるゆると移動が始まり、いよいよ離陸を待つばかりだ。外の景色から判断するに、西へ動いているようだ。つまり、今回はA滑走路の34Lからの離陸となりそうだ。窓からは誘導路を示すライトが複雑にそこらじゅうで輝いている。ただ、色分けされているし、名前も付与されているからパイロットが迷うことはないだろう。

前の機が飛んで行った後、いよいよ滑走路に入り正対する。ここで顔を前に向けて、首に負担がかからないように気を付けなければならない。そう思っていると、エンジン回転が上がりだした。おや、アイドリングでも静かさに気がつくが、離陸出力でもその差は顕著だ。767のCF6エンジンの場合は「ゴォォォ~」という感じだが、このGEnxは「シュィ~~ン」と表現できる。感心していると強力な加速Gに襲われて、景色が流れていく。

そしてあっという間に路面からの振動が消え「これがこの翼の性能だ」と言わんばかりに先端がしなり、空に吸われるように飛び立った。もちろん、風切音も圧倒的に小さい。眼下には成田空港が見え、右旋回して後方に消えていった。さようなら、成田空港。また来週まで。

ほんの10分程度で九十九里浜を通過して、洋上飛行となる。これで景色は見えないので、モニターで遊ぶ。こいつで高度や速度を見ていると、30分も経たないうちに巡航高度に到達して、水平飛行になった。

ちょっと興奮も落ち着いたので、映画でもみることにしよう。日本映画は3本だけ用意されていたので、吉田洋と木村佳乃主演の「嫌な女」を選択した。吉田はイメージ通りの役だが、木村はまるで実物とは正反対のハチャメチャな役柄が印象的だった。

九州の沖に出た頃、機内食のサービスが始まる。今回は鶏肉と牛肉の選択ができたので、後者を選ぶ。メインは潰したジャガイモと肉汁ソースだが、パンもクラッカーも付いてきて炭水化物3重奏である。しかし、朝から忙しかったので腹が減っているから、このくらいでちょうど良い。味も悪くない。加えてなぜかデザートが2個あり、やや食べ過ぎとなった。

機内食にも満足

食事をしながら驚いたのは、空気枕がパンパンにならないことだ。通常はフニャフニャに膨らます程度でも、巡航中はパンパンになってしまう。これは、機内の気圧が10,000ft程度になることを示しているが、B787の場合は8,000ft程度に保たれいるからだ。また、胴体がカーボンファイバー補強樹脂で作られているため、アルミ合金のように腐食しないから、加湿器も装備しているようだ。最新型って素敵だね。忙しさと興奮でいささか疲れたので、食後はウトウトとしてしまう。

いつものように降下開始の揺れで目が覚めるが、なにやら機内が騒がしい。それもそのはずで、3列前に座っている黒人のオバサン?ネエチャン?がぶっ倒れたようだ。CAさんが皆集まってきて、毛布をかけ足を高くして介抱している。おいおい、大丈夫かよ。

そう思ってモニターを見ていたら、最初の寄港地である香港が近くなってきたようだ。窓からも陸地が見えている。そして、最後に左旋回で滑走路07Lに最終着陸態勢に入った。着陸は香港時間の23時50分頃で、ほぼ定刻であった。そして、ここで時計を1時間戻しておく。

本日の移動距離 1,800海里

第2日目(3月25日)へ続く