紀伊半島旅行記 

 

2008年5月3日〜4日

 

 

 

キャンプ場、朝の一コマ

 

第一日目

 

0.準備

 

今年も黄金週間がやってきた。管理人の会社はカレンダー通りに稼働するので、見事な飛び石連休だ。しかし、5月の3〜6日までは完全連休になる。そこで、恒例となったテントの虫干し=キャンプツーリングを実行しようと考えたわけだが、行き先候補がいろいろとあった。まずは未踏の地能登半島、広島も良い、その気になれば九州も、北海道も?、軽く静岡の山にしておこうか・・・。結局天気の動向と、本格的に行ったことが無いという理由から10年以上前に通り過ぎただけの紀伊半島に決定。

実はこれ、出発当日の管理人の頭の中。前日はいつも通りにエアロビクスに通い、オークラ氏と会合、夜11時に帰宅といつもの生活をしていた。さらに、帰り際に雨がパラパラ。派手なギャル共が出てきてきそうだが、ともかく「明日は天気が悪いのか??」と思いつつ、寝てしまった。翌日起きて、ビックリ。天気良いじゃん。あわててキャンプ道具を用意しつつ、上記のように思考を巡らせたわけであった。

 

1.出発

 

モタモタしていたので、10時30分になってしまった。せめて8時には出ないとねぇ。というわけで荷物を載せた愛機TDMと共に西へ針路をとる。予定では紀伊半島の東側から西側へ周り、今日はできるだけ南に行きたい。通常ならば、国道23号線から四日市、津と南下するが、この連休で長島や鈴鹿の渋滞が予想される。そこで、やや遠回りであるが、愛西から菰野、亀山へ南下しようと試みる。名駅を抜けて、千音寺へ。案外空いているので助かった。燃料もまだ7割弱は残っている。

千音寺では、先日目をつけていたポール状に折りたためる椅子他を購入。この椅子がなかなかの優れもので、積載性が非常に高い。今までの椅子は長方形にしか折りたためないので、その差は計り知れない。

 

購入した折りたたみ椅子。ポール状になるのが嬉しい。

 

ついでに水分補給とルート確認。このままR1-Z氏に教えてもらった東名阪道下の県道を進むルートをとる。亀山から少し高速に乗って、距離を稼ぐとしようか。どうせこのあたりは見るものは無い。

それにしても良い天気だ。風は大陸の爽やかさ、日差しは初夏、気温も30度を超えるに違いない。お茶畑の中を走る国道306号を南下。ところで、お茶生産第二位の県をご存知か。管理人が中学時代に聞いた話では、三重県らしい。どうりで茶畑の多いこと。良い香りがするわけだ。

亀山にやってくると、伊勢道が渋滞となっている。仕方ないので、西から半島を周回することに計画変更。国道25号、通称名阪国道を飛ばす。この時点で既に13時30分を回っている。もっと早く出発すべきであった。ツーリングライダーとして情けなし。

 

2.小休止

 

 腹が減ったので、丁度南下のための分岐点となる名阪国道横の道の駅針TRSに立ち寄ることとしよう。ここは今世紀に入ってから?できた施設で、たくさんの店と温泉もある。その気になれば野宿も可能だろう。

 

  針TRSの外観。手前にアプリリアRSV1000の上級グレード車。

 

中をブラブラとすると、「大和茶アンパン」なるものを売るパン屋発見。早速購入。ついでにシュークリームも。このアンパンは白餡に特産の大和茶を混ぜているという説明があり、昨日はテレビでも紹介されたそうだ。

 

 大和茶アンパン。色はイマイチだが、味は良い。

 

一口食べると、うまい。まず餡だが、甘さにお茶の苦味が加わって調和している。もともとさほど甘くはしていないようだ。あと、パン自体も粘りがあり、食感が良いぞ。シュークリームは、皮がパリパリ、食感は良いが、クリームは普通。

どうでも良いが、最近は味の評価と食感の評価が混同されている気がする。揚げ物はかりっとさえしていればそれだけで良いか。本来は揚げたその肉なり、魚なりの味の方が重要なのではなかろうか。

パンをムシャムシャやりながら、周囲を眺めてみる。4輪も多いが、2輪も多い。どこにこれだけの2輪があったのだろう。冬なんてほとんど見かけないのになぁ。こういった施設で見る2輪車は通常の型が多い。今やどこへ行っても爆音、オーディオ付きのスクーターばかりだ。ちょっと安心。隣はZZR400、これは今年生産終了だ。向うは'88NSR250SP、ロスマンズカラー。とっくに生産終了している。オーナーは若い方なので、丁度同じ歳くらいかもしれない。そうこうしているとハーレーがやってくる。アイドリングが妙に低い。オイルはまわるのだろうか。

 

3.本格化

 

余計なお世話だと自分で突っ込みつつも、出発の準備を整える。ふと気が付いたが、ライダー同士の会話が無い。通常北海道なら知らない者同士でも、何かしら話すものだ。ところで、ここはもう奈良県だ。奈良県といえば、B級アイドルの代表、元ミスヤングマガジンの中村優の出身地だ。この間偶然にもエロ本にグラビアが載っていた。そんなにかわいいわけでもないが、背が高く、ムチムチだし、丸顔で愛嬌がある。色白は友人の梅澤氏の好みだと付け加えておこう。

さらに、元ミスヤングマガジンというと、今巷を騒がしているのは仲村みうという人だ。中村優、仲村みう。非常に紛らわしい名前だ。管理人は前者が好みだ。

くだらないことを考えつつ、国道369号を南下していく。この道は山間ののどかな農村を走っており、やっと本格的なツーリング気分だ。途中「宇陀」という場所にて、歴史の町並みという看板を発見。早速入り込んでみる。ウダダァ〜ウダダァ〜ウダウダダァ〜なるほど、昔の町並みが1km程保存されている。観光客もまばらで、良い雰囲気だ。バイクの排気音を遠慮がちに響かせて通り過ぎる。

やや大きな吉野葛の店先にて停車して、写真を一枚、記念に一本。

 

  歴史の町並みにて

 

先を急ごうっと。その前に給油を。国道沿いのスタンドで給油する。なにかにやけた、歯の空いたおじさんが無口に給油してくれた。152円/Lで16.1L、2575円也。一昨日暫定税率が復活したので、ついに150円代のガソリンを入れることとなった。もちろん自分自身過去最高値であるし、本当に最高値らしい。因みに420km走行していたので、25km/Lと高燃費を記録。我が家のエンジン達は皆優秀で、それだけにガソリンの値段はさほど気にはならない。

話は変わるが、ガソリンが高いとオバサン達(オジサンもいるだろうが)が騒いでいるが、そいいう人に限ってワヤな運転をする方が多いと感ずるのは気のせいだろうか。信号は明らかに赤であるにもかかわらず、直前まで加速する者、前が詰まっているのに加速してブレーキをかけるという一連の操作を繰り返す者、スタートダッシュが激しい者、管理人には訳がわからない。ガソリンそのものを有効利用しようという観点が抜けてはいないだろうか。もちろん管理人自身も反省すべき点がまだまだあるはずだ。この国には広範囲で総合的に物事を判断するという思考が抜けていると思われる。政治家自身がそういうことをしているからだろうか。

燃料満タンで、どんどん進もう。気分も本格的にツーリングという感じだ。国道371号から370号、さらに県道39号、37号へと乗り換えながら吉野山を通過。たしか源義経が逃げた場所だろうか。静御前が義経を想う詩を歌い、頼朝の前で舞を踊ったと記憶している。もっとも日本は元来女系優位の国らしく、鎌倉期でもそうだったらしい。今のような男系になったのは、明治期以降と歴史上でみるとかなり最近のことだそうだ。

また話が逸れた。今度は国道を避けてに並行する県道39号へ再び乗り換え、西進する。国道は混んでいても、並行している県道は概ね空いていることが多い。長野県飯田のふるさと農道は良い例だ。そんなことを考えていると、後ろからジムニーがつっついてくる。軽く付き合って軽快にコーナーを抜けて楽しむ。

 

4.野営地へ

 

和歌山県橋本市に突入。そろそろキャンプ地を選定する時間だ。まずは食材の調達から。コンビニかスーパーを探すが、なかなか見つからない。一応市街地なんだけどなぁ、どうやら自分の居住区の常識は通用しないようだ。小さな駅の周辺だから何かありそうだ、おお、コンビニ発見。レトルトカレー、カップ入りココア、明治ハイレモンを求める。それから、地図で決めておいた市街地から10km程の所、県道118号線沿いにある葵茶屋キャンプ場に向う。葵ちゃんといえば、友人と年に1度行くイカガワシイ?飲み屋の娘にそんな名前の人がいたような。キャンプ場では、受付のオバサンに案内されてこのあたりが良いよとお地蔵さんの前のサイトを陣取る。お地蔵さん、一晩お世話になります。オバサンの口調から関西圏にきていると実感。それにしても料金3000円とは高い。すかさず「もう少しなんとかなりませんか」と頼んだら、一人だから2500円でいいよ、って。北海道のワンコインの感覚は通用しないようだ。そりゃそうだ。来る人の数が違いすぎる。キャンプ場も道楽でやっているわけではないだろう。

ここからが慌しい。まずはテントの設営、年に1回か2回しか開かないので、いつも設営説明書を片手に携えている。因みにこのテント、管理人の2代目であり、2004年購入のものだ。今回が6回目の登場となる。先代は1994年購入で、北海道に初めて渡った時にを含め15回くらいは使用していると思う。テントの使用回数を数えることができてはまだまだだ。ところで、先代テントであるが、ある日兄貴に貸したら、「おい、なんか内側が剥がれてきたぞ」と言われ、見てみると目止めシールが駄目になっていた。兄貴が何かしたんではないか??あいつは俺のものを壊す名人だからな。

あ、蚊がいるじゃん。蚊取り線香点火。おっと、午前に購入した椅子も出しておこう。それほど座面は広くないが、地面に座るよりはずーと良い。

 

  キャンプサイトにて。先の椅子も活躍中。

 

慌しくテントを準備した、その後は風呂だ。なんでもここから30分くらいかかる場所にあると教えられていた。TDMで向うが、ここがまた猛烈に狭い道だ。3ナンバー車では怪しいんじゃあなかろうかと思われる。対向車に十分注意を払いつつ、細かいコーナーを抜ける。ところで、この道は川沿いの道であり、その川には所々に砂が堆積して河原ができている。管理人は釣りをやらないが、渓流釣りが好きな方はきっと垂涎の場所ではなかろうか。

途中ヘビも現れ、飛び掛られないか不安であったが、宿少年旅行村に到着。なんだ、ここもキャンプ場か。しかし、提灯があげられた店が並び、それらしくない。こういう所はゴメンだなぁ、と思いつつ525円支払い温泉へ。小さな温泉だが、硫黄臭の強いなかなか良いお湯だ。湯に浸かると今日の疲れや緊張が一気にほぐれた。脱力。温泉には先客がおり、色々と聞かれた。オートバイは大きいのか、起こせるのか、この質問は必ず聞かれる。面倒くさいので、900ccで、起こせると答えておくが、そんな簡単に転んだら体が持ちましぇーん、デカイか小さいかは何をもって決まるのかわかりましぇーん。

ところで、この温泉は飲用も可であるようで、湯口にコップが置いてある。一口含んでみるが、硫黄臭がきついので湯当たりしそうだ。大事をとって止めておいた。そうこうしていると初老のオヤジが入ってきて、もう一人の客となにやら会社のことを話している。月収100万の会社もあるとかなんとか言っていたが、休みはあるのだろうか。

それにしても、この温泉は源泉の不足により、週に3日しか営業できないようだ。湯水の如くという言葉も最近では死後になりつつあるのだろうか。事実、管理人が入浴中も、源泉の出は何度も止まっていた。

風呂を出てひとしきり落ち着いたので、500ccの水を2本購入しておいた。手に入るところで、手に入れておかないとえらい目に遭うこと間違いない。一本はその場でがぶ飲み、一本は夜用だ。TDMの横に腰掛けてくつろいでいると、そよそよと涼しい風が吹いて来る。緊張もほぐれて今日はよく寝れそうだ。元来た道をテントに戻る。

ゆっくりしたいところだが、ランタンを準備して、飯を炊かないといけない。ランタンはマントルが崩れていた。トホホ、仕方なく新しいマントルを作り点灯。さらに米を洗い、水加減を適当に。最初はやや弱い火で、水分がなくなったら強火で炊くわけだが、ここにきて重要なものを買い忘れていることに気が付いた。「魚肉ソーセージ」だ。これは一昨年のR1-Z氏と出かけた北海道ツーリングで氏に教わったことだ。飯ができるまで、かじりながらDHA、カルシュウムが摂取でき、腹にもたれないで小腹も満たせる。しまった。米の炊けるにおいで我慢しておこう。

米が炊け、蒸らし中にレトルトを温める。

 

 我ながら良い出来栄え

 

ラジオもつけて、星空の下カレーを食べる。こんなものでも非常に旨いからキャンプは楽しい。腹が減っていたので、いっきに食べてしまった。ふう、やっと落ち着いた。お湯を沸かしてココアを入れる。

幸い今日は離れた所に家族連れが一組いるだけだ。静かな夜を過ごせそうだ。ココアを飲みながら色々と人生について考えてみる(管理人は酒を飲めない)。いつもこういう状況では振り返ることが多い。こういう時間でもないと振り返ることすら難しい人生を送っているのであろう。中でも重要なことは学生時代の専攻と職業、結婚と離婚のことが多いように思う。管理人はなんとなく生きてきてしまっている気がしてならない。若いうちにしっかりと行くべき方向を・・・見据えている人などいないか。それはそれで可能性を狭めてしまい、後悔の種になりかねない。ただ、結婚したことは安易ではあったように思われる。が・・・していなかったらこれまた後悔していることだろう。歴史に「もしも」はないというが、人生も同様だ。先のことはわからないので、結果論でしか話はできないのだ。重要なことは今日を生きるということ、それが明日にできる最大かつ最高の貢献なのであろう。

また、今年で管理人はバイク人生17年目を迎えている。走行時間も5500時間、林道も100時間以上は数えていると思う。北海道2回、日帰りは数知れず、こうして毎年1〜2回はキャンプもしている。TDM900も5年目で累積4万キロを超えた。今まではRFの42000kmが一台における最高の累積走行距離だが、このままいけば更新はほぼ確実だ。10万kmも視野にいれている。TDMは飽きのこない本当に良いバイクだ。こんどこそ長い付き合いにしようと固い決意を新たにした。

ところで、こうして思いつきでフラフラと出かけ、キャンプをするということはなかなか難しいものらしい。歳をとるにつれて羨む方が多くなるように思われる。もちろん、そういう方は家庭を持っていたりする訳だから、そちらで頑張っておられる。ただ羨ましがるだけの人もいるようだ。確かに、今から免許をとってバイクを買って、北海道に渡ったり、キャンプを覚えたり、なかなか道は険しいかもしれない。さらに、若い頃と比較すれば制約も多い。ただ、羨ましがっているだけでは話は進まないことも事実だ。何百万も金がかかるわけでもない。覚悟を持ち、とことん自己責任で楽しむだけのことだ。

人生としては落伍者の管理人であるが、こと遊びに関しては割合と早い時期にバイクに出会い、自分の哲学を構築し、時間数を稼いできたのでそれなりに結果が出ているのかもしれない。バイクに乗っていて本当に良かったし、これからも体力の許す限り乗り続けたい。

もう22時を過ぎた。慌しい一日であったが、楽しかった。キャンプは日の出共に行動が基本となるので、能書きたれてないでさっさと寝よう。

 

本日の走行 300km

 

第二日目へ続く